第75階 超常の力
無事魔物国に辿り着いた私は
フォアローゼズ達と再会
黒髭海賊団に人質にされていた
マサムネさんの家族も含めて
ばっちゃの玉座に皆で集まっていた
「後でね、今は先客がいるの」
私は微妙に濁した
なんせこれからやるのは
この魔界の常識を遥かに逸脱した
行いだから
「まずはシンガプーラちゃんから」
私の指がシンガプーラちゃんの
頭の中に吸い込まれていった
そして私は黒く濁った塊を
そのまま取り出す
「まさか!!精神体の
一部を取り出すというのか!!!」
私は叫ぶネクさんに笑みを浮かべて
こう告げた
「御名答」
「なんだそれは?」
ゼムさんが鼻を鳴らす
「禁忌だ、一般的には
記憶操作ともいえる
記憶の改竄ともいえる
悪行中の悪行だ」
テュポーン卿が説明する
「おう!ヤベェなそれ...」
ゼムさんはマサムネ王の顔を伺う
「基本的には防衛反応と結び付いて
危険を回避する為に叫ぶや泣くなどの
信号を発するけれど
今回は暴力という強い力によって
本来正常な反応を示す部分まで
押し広げられていた
この黒い塊は暴力の危険記憶そのもの
今は取り出して泣き止んで
疲れて眠っているけども」
「悪しき記憶を
取り除いたという事か?」
マサムネ王が冷静に言葉を紡ぐ
「えぇ、それに近いわね」
「..................................
アオナ...................
何者じゃ?.......................
それはまさしく神様の所業
いや!神さんだってそんな事
出来やしないわ」
ばっちゃが言葉を紡ぐ
「ばっちゃ、これが私だよ
和泉国の女王
アカナ・エカルラートの妹にして
ミリカンテアの勇者
アオナ・エカルラートは
星王と三竜王を率いて
七大神王を打ち滅ぼした
魔界の天皇を超えたんだよ
大勇者キレ・ルイデの1人娘は」
私はばっちゃに微笑んだ
ゴクリと唾を飲み込む面々
「私は星闇宮に出向く為に
この魔界に来た
魔皇ミラース・ラーバ・ラーサを
追って」
ばさっと私は
魔皇の赤黒いローブを身に纏った
「.....三方よ、秘匿せぬか?
此処で起こった事は忘れた方が良い」
ゼムさんもマサムネ王もネクさんも
テュポーン卿の言葉に頷いた
「他のキャメロット達には
キツく言っておこう、問題外だ
出向いたら歓迎するのは変わらないが」
テュポーン卿はゼムさんと
顔を見合わせ他の大地の歪種も頷いた
私は手際良く
アビシニアンさんと
ターキッシュアンゴラちゃんの
悪しき記憶も取り除いた
私はそれを組み直し魔法の短刀にして
3人に手渡す様にマサムネさんに伝えた
「リスクがまるで無い
これが遥か超常の力なのか?」
マサムネさんが感謝しきれないと
首を垂れる
「本来の歴史上、死ぬ人間を
ズラしている禁忌に近いから
祖国で"天災"と異名をとる
私以外には出来ないわ」
それでも構わないと
マサムネさんは再度首を垂れた
その金色の瞳には涙を滲ませている
最後にマサムネさんは
玉座を出て行った
フォアローゼズ達が
奥さんと姉妹を寝室に
連れて行ったからだった
私が魔法の短刀を渡す為に
残って貰ったのだった
「父と母があぁだもんね
そりゃ仕方ないわ」
玉座に座っていた
ばっちゃは笑っていた
「やっぱり、ばっちゃは
お父さんとお母さんの事
全部知っているんだ?」
「生い立ちから
馴れ初めまで知っておるよ
まさか魔界の天皇さんに
会ってローブを貰っているなんて
思いも寄らなかったけどねぇ
道理で...開けられるかもしれないねぇ
そうじゃハツミ!
魔獣の国には寄りなさい
そして全ての国を訪れて
星闇宮に行きなさい
それが良かろうて!」
「ばっちゃが言うなら
そうしようかな」
「テュポーンの奴には
言っておかないとねぇ
魔獣の国は五国の中心にあるから
便利が良かよ!」
「そっか!そうだよね!」
そして私もばっちゃに
おやすみなさいをして
可愛いフォアローゼズ達が
先に眠る部屋に向かった




