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魔皇の魔法とハツミリア  作者: 道草 遊者
魔界観光編
68/262

第67階 悪しき歴史との邂逅

濃度の変化が9度程起こり

10段階目といったところで

結界の効力外に出た様だった


「ハツミは元気かねぇ」

ばっちゃは浮いているのも

辛そうだった


「日頃鍛えているからね」

心配させたくないしなんともないので

もっともらしい事を言っておいた


それからしばらく道なりに歩いた

魔界と時代が幾星霜か違う次元で

作られた道の様だった

もう、この時点ではっきりした


「着いたよ」

ばっちゃの声が震える


それもそうか....

分かるんだね、感じ取れるんだね

ばっちゃ。


そこに安置してあったのは

赤い異形ともいえるものだった


「第七世界の聖書に

赤い悪魔とも龍とも蛇とも獣とも

見える者サタンと記述があるけど

まさしくそれなのじゃないかなと

私は思うのさ」

ばっちゃが開いたページは

ぼろぼろで解読も難しい様な

ページだった


「それに翼が腐り落ち

捥げている様にも

見えるかなとも思うんだがね」

確かにこの異形には

残り翼が3枚ともいえる

要するにあと1度全世界を

滅ぼせる効力を内包していると

いうことだった


「えぇ、当たっているわよ?

これは"サタン"よ

そこにも記載が無かったかしら?

明けの明星ルシファーが

堕天したって」

全体的に赤みを帯びていて

無数の蛇が獣の毛皮の様に

絡みついて狙いを定める為の

悪魔の角にバランスを取る為の

龍の様な髭...それに12枚の翼、

間違い無いわ、かつて持て余した

4度全ての世界を滅ぼすと

シュミレートされた兵器

"ルシファー"に違いない

単に6度全世界を滅ぼしただけでは

未だに座するか

9枚捥げているということは

史実通りに

第一世界を滅亡させたガブリエル

第三世界を崩壊させたウリエル

そして第三世界に止めを刺した

ラファエルの効力だけが届いた

という事か、ふふふ

かなり危ないところまで

来たんじゃないかしら私は、

けれど止まる気はさらさら無いわ

元より反してこの今の世界に座して

いるのだから


「記載があるわよ」

ばっちゃは神々しい絵と

共に記載されたページを開いていた


「ばっちゃ、龍王アルテンさんが

近付けない程の超結界を張ったのも

これを見たからよね?」

ばっちゃはコクっと頷いた


「...星王にも魔皇にも

伝えるべきでは無いとして

スソリフと私と龍王だけよ」

正直言うと星王と魔皇が

もし見つけていたとして

どうなったのかは分からない

もし、神々の世界に放ったら?

ありとあらゆる種族が死んだだろう

その可能性を踏みにじった

アルテンさんは苦渋の決断の末に

触らぬ神に祟り無しとしたという

事かもしれない

素晴らしい判断力だと思う


「えぇ、それで良かったわ!」

最強最悪の置き土産ね

今の優族だって創れないわ

こんな馬鹿げた兵器


東の大国で異界の神が

無の力を使っていたけれど

あれなんてまるで雀の涙だわ

まるで比較にならない


「ねぇ、ばっちゃ戻ろうか?

ばっちゃが感じている通り

何もしない方が良いわ」

ばっちゃはコクっと頷いた


私達はあの場所を後にして

おにぎりを食べた場所で

しばし休憩を取る事になった


「あれはなんだい?」

少し休んでばっちゃも

落ち着いて来た


「もう、戻れなくなるわよ?」

ばっちゃは苦笑していた


「構わないよ、残し伝える

それが本の役目なのよ」

私は躊躇った、正直

あのまま全世界を滅ぼす効力を

残したまま魔界に安置され続けるのか

第七世界の崩壊と共に唯の歪な異形の

機械で終わるのかそれを決めるのは

人の手にかかっている

私がわざわざ甘やかす意味も無い

それでも


「時空の歪みによって存在する

遥か未来の負の遺産よ

とだけしか知らないわ」

私は本当っぽく嘘をついた

ばっちゃが調べるよりは

マシと思ったから


「そうかい、困ったものだねぇ

あんな物怖くて...」

創った本人達も処理が難航し

魔界に置いてあるのだから

そりゃそうだね


「何かあれば、私も考えるから」

私はニコッと微笑んだ

今の技術力じゃ起動させる事も

充填させる事も不可能だし

私がいる間は対処が出来る

正直言えばあれより遥かに

強力で指に乗るサイズの物の

開発も可能だから


「それじゃあ、相談させて貰うよ」

ばっちゃは笑顔を取り戻し...

笑顔が描かれたページを開いて


「帰ったら夕食作るから

楽しみにしておきなね!」

私は満面の笑みで


「うん!」と答えた

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