表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔皇の魔法とハツミリア  作者: 道草 遊者
王路院編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

269/294

第268階 100%

「ハツミ!98%ぐらい終わったよ」


 世世。

もう形を成している、私の中で花が翼を持って飛翔し、

生命を鼓舞するように息を吸い上げて、勢いよく吐き出す。


「うん!!」


 返事をした矢先、

お父さんのにこやかな表情が視界を支配する。

私は安心していた。


「ナティラ母さんに任せておけばいい

そのままゆっくりな!」


 穏やかで逞しくも優しい声。


「うん!そうする」


 私は少しばかり緊張していた身体から力を抜いていた。

とはいってもほとんど力のない身体は、生きて命を

維持しているのが不思議なくらい、集然(わたしのまほう)がなければ。


 ラナンキュラス。

太陽人の人類史でも特上に恵まれた身体とは

一線どころか天と地の差を強く深く感じていた。


 先の彼女(フルール)との一戦は

従来もっと楽で戦いやすい一戦になるはずだったわ。

それでも集然(わたしのまほう)はすべての身体的優位性を覆した。


 アオナ・エカルラートとして過ごし戦ってきた日々に

頼ってしまった、勝つために頼らざるを得なかった。

せっかく今回の転生で人類の至高の種族に成りえたのに。


 でも、今は違うと断言できるわ。

お母さんのおかげで、断片的だった私の歩んできた道が

すべて繋がって、交わり合って、一つに成った。


「ハツミっ、調子はどう?すべて、100%終わったよ」


 お母さんの声はとても穏やかだった。

風が新緑の葉を人々の行き交う道に、虹を描く様に舞い彩る様に、

私の気持ち、心、考えを優しくせせらぎの水をすくう様に包み込む。


「なんだか、ものすごく調子がいいの。

なんていうか空でも飛べそうなぐらいに」


 お父さんは私の言葉に何度も頷いていた。


「ハツミの気持ち、俺とっても分かるな。

ナティラ母さんの魔法による調整を受けた時は

いつもハツミと同じ気持ちだ」


 分からない、なんでこんなに心が熱くなるの。

お父さんの笑顔を見るとこんなにも

心が温まるの、と自身に問いかける。


「ハツミ、ゆっくり起き上がって」


 お母さんの声で背中に

手を添えられる様に身体が軽く、

自然に流れるように起き上がれたわ。


「なんともなーい!?」


 覗き込んでくるお母さんの

ダイヤモンドの様に輝かせている大きな瞳。

ミスリルの様に白い手が私の額をなでていく。


「とくに熱はなさそうね…?」


 額から手が遠ざかるのに合わせるように

私は起き上がっていく。

身体が軽い、今にも雲の上に浮かべてしまいそうだわ。


 木の葉が舞う様に私の身体は軽かった。

そのまま木の葉が地面と接吻をする様に立ち上がる。

集然(わたしのまほう)の滑らかさが素晴らしく、すべてが二歩以上早く感じていた。


「お母さん!調子がいいわ!!身体が軽い!」


 私は調子に乗って身体を捻って回転した。

要するにターンしたってこと。

でもやっぱりバランスが崩れる。


「あ!」


 私の背中のほのかな熱が薄い毛布の様に隔てた。

それは摩擦を殺し私を弱い私を受け止めるための

洗礼された技術。それは天使の翼の様な優しさの奇跡。


「おとうさん」


 お父さんは心配するでも注意する様な表情でもなく

ただただ私を安心させるような陽だまりの女神様の様な笑顔で

いつもの笑顔で私を覗き込んでくる。


 青々とした木々が、もう何年も何十年も何百年も何千年も何万年も何億年も

もっともっともっと古くから奏で続けている、木という生命を嘘偽りなく。

だから私とお父さんとお母さんは穏やかな気持ちになれるのかもしれない。


 私はふと思い出して、一つの思い出からある物を取り出していた。

【天夢々魂】。

それは【ソレイール・アンジュ】の9998階でフロースから手渡された刀。


 彼女(フロース)の言葉の重み、彼女(フルール)に瓜二つでとっても良く似た

その瞳に顔立ち、そして声色に振る舞いに肌の色に筋肉の付き方、そして足運びに剣筋。

『とある名のある勇者に』


「ん?ハツミ?それは…?」


 お父さんは大勇者。白金の勇者と謳われ、【神々の夢】と称された。

世界で一番かっこいい、私の私だけの私とお母さんを大好きな自慢のお父さん。

刀を握る姿に、幾多の戦いを繰り広げ魔物を屠ってきた手に、私は小さな恐怖と天をも貫く畏怖を感じた。


 それは私の心を舐めつくしていく、私のお父さんから受け継がれてながれている赤い炎のような

戦士の魂が震えていた。

『それは』手に刻まれた戦いの歴史の傷痕。死神の鎌を見ている人の心と相反する心情、あぁ私はお父さんと。


 剣で語り合いたいんだわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ