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魔皇の魔法とハツミリア  作者: 道草 遊者
王路院編

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268/295

第267階 お父さんとお母さんの元へ

 そこは沢山の木々が、とても大きく育ち

枝と枝が今にも重なり合いぶつかりそうな勢いで生きている場所。

そんな場所に木々の隙間を縫う様に開けた道がある。


 その道を抜けた先に、木でできた自宅がある。

その木はこの場所の木々で、とても次元が高いわ。

だから低次元の炎では一切傷付けられない。


「ただいま。渡したいものが出来たから帰って来たよ」


 今日の私はハツミリア・ルイデ。

ラナンキュラスも、アオナ・エカルラートも、この時ばかりは一旦お休み。

どの姿でいようと、私であるため単に私の転生は死者専用ではないのよね。


「おかえり」


 父は突然の帰宅に何も言わなかった。

むしろ歓迎していると言わんばかりに白い歯を見せながら笑っている。

横顔を見せながら、とてもくつろぎながら。


「ハツミっ!少し変わったねっ。ちょっとこっちで横になって」


 お母さんに言われるままに横になる。


「何か変わった?」


 どこもいつも通り、そう思うけれど。


「ちょっと見せてね」


 そう言ってお母さんは私の身体に魔法をあてていく。

きっと身体の何かを見ている。


「身体が疲れやすいとか、とても眠たいとかないかしらっ?

ズレが広がっているし、乱れてるねっ。何かあった?」


 どうだろう。


「わかんないよ。特に変わりないわ」


 なぜかお母さんはすごく笑顔だった。


「キレちゃんも色んな思いを物理的にも精神的にも背負っているから、

身体と精神と心が嚙み合わなくなってくる。たったそれだけっ」


 私は身をゆだねる。

今は何も考えたくない。


「そのままね。すぐ終わらせるからっ」


 お母さんの魔法が私の全身を軽やかにしていく。


「ハツミ!そのままでいい。聞いてくれ」


 私は眠るのをやめた。


「生まれた時から、不安定なのは分かっていた。

でも俺とナティラは特別だった。だから、どんな子供が生まれてこようとも育てる気だった。

そしてそれは今も変わらず、正しかったと断言できる」


 お父さんは間を空けなかった。


「何を突き付けられたのか、何を背負っているのかまでは俺達には分からない。

でも、これだけは言える。この『神々の夢』と畏れられたキレ・ルイデと

『零魔王』と謳われ羨望されたナティラ・ルイデのたった一人の娘に変わりはない!!」


 私の胸は熱くなった。煮えたぎる溶岩の様に。


「やっぱり、やっと理解できた。それに増えてる。キレちゃんと同じだわ」


「俺の7万種類の魔力と同じなのか?」


 7万種類の魔力?


「いえ、そこまで数は多くないっ。でも一つ一つの密度が違う。今は4人いるっ」


 へ!?なぜ分かるの???


「帝国の王達と殺り合う姿に違和感はなかった。けれど3人いるとも考えたけれど」


 アオナ・エカルラート。ラズベリー・サン。ラナンキュラス。


「起きてるのか、寝ているのか、不確かだった4人目が目覚めようとしているのよ、キレちゃん」


「ナティラ、それは更に強くなるのか?」


 お父さんは無邪気に笑っていた。


「そうなるはず。今から、調整する!キレちゃん!

刃物を持ってきて!!!」


 お父さんはニコルを持ち出してきていた。


「任された!!!」


 そしてお母さんはその小さな手の指で刃に触れる。

そのまま私の無防備な背中へ

や!なんだか恥ずかしすぎるわ!!


 ほのかな体温を含むお母さんの指が

私の背中をなぞっていく。

何か法則性の様なものを私は感じていた。


 「じっとしていてね、ハツミっ。

整えるだけだから」


 お母さんの指が一定の時間なぞり終えるたびに

心の中の違う色の私達が手を繋いで

穏やかになっていくように感じられた。


 赤と緑は引き出された。

私が知っていた色は青、橙、紫、黄。

強く逞しく頼れる赤、優しく穏やかで陽だまりの様な緑。


 漂う様に繋がっていた色が

強さ大きさを元に、あるべき場所に

収まって治まっていく。


 流れるように転生法を繰り返していたから気付かなかったわ。

大きな力に翻弄されていた身体が呼吸が

より研ぎ澄まされていく感覚を味わっていた。


 引き出された赤と緑が糸の様に

青と橙、紫、黄を紡いでいく。

思いに想い、心情、生きて感じたものすべて。


 繋がっていく、手を取り合っていく。

別の時間、別の国、別の空気の中で呼吸を重ねた彼女達が。

私の中で。


 息遣いが、命が、流れが、生命の奔流の声が交わし合っていく。

六つが一つを成していく、それは花が咲く様に六つの花弁と成って開く。

開いた花は力強く茎を葉を根を張り巡らせた、花開き続けるために。


 咲いた。

世治(わたしのまほう)は蕾、世世という名の花を咲かせた。

心の奥底から感じる、世世(わたしのまほう)の鼓動を脈動を循環を。

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