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魔皇の魔法とハツミリア  作者: 道草 遊者
王路院編

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266/303

第265階 クラレットの瞳

「ラナン……」


 彼女と会う約束をした。

ついさっきの事。

飛ぶ様に、時空を跳んで会いに行った。


「クラ?全然平気だったわ」


「うん……」


 クラの瞳からは涙が今にも零れ落ちそうだった。

自由にしていた片手を急に両手で握られる。

振りほどくのは簡単な細く白く長い腕。


 私は無言で受け入れた。

クラの行動を、何もせずに。ただただ。

弱弱しい力で懸命に握る人の温かさを。


 私が【黎宙】の一員として

フルール御姉様と邂逅したことは知らされている。

プラ先輩の報告対象に含まれていたわ。


 クラは彼女は、この西の大帝国において

それが許される尊さを与えられている。

火の四大貴族の長としての地位もそうさせる。


「…ラナンがフルール御姉様に

正式に実力を認められたって聞いて、

私は2つ驚いた」


 私は何も言わずに頷いた。

クラと会えて嬉しくて頬が緩んでいたかも、

だけど。


「もちろん1つ目はラナンが認めさせた事。

私は何処かでやっぱり不安だった。

それはごめんなさい、謝りたくて」


 私はもう片方の自由にしていた手を

クラの手の上に重ねて、クラの方に身を乗り出した。


「気にしていないわ。

だってそれがクラの気持ちの1つだもの。

私は黙って受け入れるわ」


「……ありがとう」


 やっぱり私は何も言わずに頷いた。

声が、クラの声が聞きたかったから。


「もう1つは……魔法の色の事」


 あぁ、あれね。

プラ先輩、オーニソ先輩、アマランサス先輩、時鯨達にも

色んな感情を渦巻かせていた私の私だけの色。


「黎宙のエースであるプラタナス先輩から

無話(きみつ)情報として、四大貴族の中でも私だけに

伝えられたラナンの事」


 プラ先輩は身内だけの情報として扱おうとした。

それだけ特異な出来事だったのだろうか。

詳細な真意は図りかねるけれど、素敵な心遣いだわ。


 プラ先輩の事、人としてもっと好きになれそう。


「そうね。みんな驚いていたわ」


 私は軽い感じで答えていた。

クラの表情は重く暗い、淀んでいる訳ではないけれど

強く受け止めていると受け止められる。


「そういうことじゃないよ、ラナン!

そういうことじゃ」


 はにかむクラ。


「ラナンが、ラナンが!ラナンが!!

超えたって、フルール御姉様の伝説を!」


 私は静かに微笑んだ。

プラ先輩の目線でそう見えたのならそういう事。

私に授けられ、与えられた。何か(まほう)は羽になった。


「私がクラの為に伝説を創る、創って魅せる」


 私の手を握るクラの手が強くなる。

潤んだ瞳で私を強く見つめてくる。

なぜかその瞳の色に違和感を感じていたわ。


 「もっと鮮やかで温かな綺麗な虹色?」


 思わず口にしていた。

見られてはいけない物を見られたような

驚く表情をするクラ。


 「私達だけの秘密にしよう」


 クラの瞳を覗き込みながら私は確かにそう口にした。

クラの瞳は安心したように穏やかさを取り戻していた。

私以外には見えない様に精巧に創られた膜で覆われていた。


 それは魔法。

クラの知る彼女の魔法。

彼女だけの特別な魔法、私と同じ様に。

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