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魔皇の魔法とハツミリア  作者: 道草 遊者
王路院編

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265/304

第264階 帰宅

「可愛い可愛いラナンちゃんのすごすごな魔法の色も見れたし、

そろそろお開きにしない?

流石に魔女五傑(マレヴォレント)とも顔を合わせましたし、気疲れしましたわ」


 そう言ってオーニソ先輩は背伸びをしながら

小さく開いた口を左手で押さえながら欠伸を隠していた。


「同意します、プラさんよろしいでしょうか」


 アマランサス先輩もどこか眠そうで。


「ん、いいよ。オーニソもアマランも。

ラナンも疲れただろう、また次の任務までゆっくり休んでくれ」


 プラ先輩は柔らかな笑みでそう告げる。


「はい」


 手を振ってこっちだよと言わんばかりにユキさんが

自身のヒレを上下に動かしてくる。


ーー風変化

 瞬時に移動する。


 「風に成れるのですね、それはそうと。

テンには沢山頼っちゃってください!

時鯨としての基本は叩きこんでいるので」


 朗らかな表情のまま、なぜか近付いてくる。

耳打ちが出来る距離までに。


「フユの事を頼みましたよ。

深い深い所で一人でいるのが好きな子なので

今回何故、表舞台に出てきたのかは分からないのです」


 大丈夫だよと。

安心させるように私は。


 「任せて、多分テンちゃんと

一緒にいたいんじゃないかなとも思うから」


 なるほどと言わんばかりに

ユキさんは右ヒレと左ヒレを合わせる。


 「では、またね!ラナン!」


 私は手を振ってユキさんに応える。

ユキさんは軽やかにプラ先輩の方へ向かっていった。


 「次は『心刀』を習う事になると思います。

でも今日はゆっくり帰ってお休みしよう」


 テンちゃんに微笑み返した私。


「楽しみね」


 私は人影の方へと振り向いた。


「ん?話は終わったのか、帰宅するのだろう?」


 ユキさんは恥ずかしそうにプラ先輩の足元に隠れている。


「…よく私が来るのが分かったな」


 珍しくプラ先輩は無表情だった。


「えぇ、鮮明に。

なんだか薄い感じでしたけれど」


 無表情が砕ける。

いつものプラ先輩へと。


「……私もまだまだということだな。

まぁ、ゆっくり休んでまた顔を見せてくれ。

この場所で」


 プラ先輩は手を差し出してくる。

握手を朗らかで穏やかな花の様な笑顔で。

私は言われるがままに握り返していた。


 「はい!」


 プラ先輩と手を振るユキさんが

遠ざかっていくのを確認して。


右人差し指で小さく回転させながら練って発動させた。

ーー異場所 とおす

世治。

 私は自宅までの距離を零にした。


 命の雫が真上にある

その温かな光と届いた熱に照らされて

気持ちよく自宅の扉を開けた。


 驚くガーベラお母様。

床を知らない機械で掃除しながら。

言葉を私に告げる。


 「おかえりなさい、ラナン」


と。

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