↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/27

8.転校生ということで

滝沢 侑也……主人公。神の種を宿してる。

仲野 千鶴子……主人公の幼馴染。人類代表の超人。

キリコ……警察庁特務係。班長。

チャコ……警察庁特務係。キリコの部下。影使い。

モニカ……精霊代表。雷の精霊。

「それにしても凄かったな」

 俺は昼飯のおにぎりを入れながら仲野に話しかけた。

「あんなに可愛い留学生が来たら騒ぎになるわよ」

 連休明けの初めの登校日。

 俺と仲野は昼休みを運動場の側に木の陰で共に過ごしていた。

 仲野の騒動の噂の影響でクラスどころか学年、いや、学校で浮いてしまっているのだ。教室で昼休みを過ごすのも過ごしにくく、かと言って部活にも入っていないため部室で過ごすみたいな選択肢もなく、仕方なく外で昼休みを過ごしているのだ。

 俺が単独のダークヒーローだ、俺と仲野の共犯だ、と根も葉もない噂が広まっている。仲野に関しては本当なんだけど、それを言ったところで今の状況が改善されるわけでもなく誰も信じないだろう。

 本当、何とかならないと高校生活この二人で過ごすことになりかねないぞ。

 仲野はどう思っているのかと気になって顔を見るが何を考えているか分からなかった。


「なに見てるのよ?」


「いや、今の状況どう思っているのかな、って」


「そりゃ、全然現実だって受け入れられないけど、なっちゃったものは仕方ないかなって……」


「俺なんか、今でもそんな風に考えられないよ」

 今朝のことを思い出しても、まだどこか現実に起きているとは思えなかった。


 ♢


「突然ですが、本日よりスウェーデンからこのクラスに留学生を迎えることになりました」

 モニカが留学生として裏工作の結果、同じ学校に来ることは知っていたが、同じクラスになるとは思っていなかった。仲野もモニカの件は伝えてあったが、俺と同様にこのクラスに来るとは思っていなかったようだ。


「スウェーデンからやってきたモニカじゃ。よろしくたのむ」

 神話に出てくる北欧の雷の神トールからスウェーデンの留学生ということに決めたらしい。こういうのは日本人というか人間と同じで妖精でも縁みたいなものを大切にしてるんだなと少し親近感が湧いた。

 それにしてもこの口調のままでクラスに馴染めるのだろうか。

 一応、キリコさん達も含めた連絡用のLINEグループを作ってあってそこにモニカにも入ってもらって情報共有をすることになっている。

 仲野の事件のことやクラスで浮いていることも伝えてあって、神の子のことはもちろんのこと、俺や仲野と初対面というか、あまり積極的に絡むのはやめようということに決めていた。

 どうせ高校に通うなら浮いている俺達といるより友達を作って楽しい学校生活を送ってもらいたいからだ。

 それでもあの口調でクラスに受け入れてもらえるのか改めて心配になる。


「かわいい」

「スウェーデンから来たとかすごーい」

「髪も目も綺麗!」

「少し変わってるけど日本語ぺらぺらなんて凄いね」

 ホームルームが終わって1時間目の授業が始まる前にモニカは男女様々なクラスメイトに話かけられていた。

 しかもモニカは受け答えもしっかりしていて受けがいい。実際の見た目と年齢が違うから経験値も違うのか。あと、俺を雷撃でなんとかしようと思ったのと同一人物とは思えない人当たりの良さだった。変な口調だけど──

 そんなことを考えていたら、クラスメイトの合間からモニカに睨まれた。まさか思考を読まれた。そんなことないと思いたいけど、もう何が起きてもおかしくないし考えるのも大人しくしておこう。

 そんな出来事があったのが今朝のことだった。


 ♢


「モニカちゃんは上手くやっていけそうでよかったんじゃないかな」

 仲野のその言葉で昼休みに意識が戻される。


「確かにあれならクラスで上手く友達見つけてやっていけそうだ」

 本当は俺もそうなりたいのだけど。


「うちの話をしてのか?」


「「えっ⁈」」

 俺と仲野が同時に顔を上げるとモニカが来ていた。


「どうして?」


「どうしてもなにも、クラスにいたら質問攻めにあって疲れるのじゃ。そこでユウの気配を探してここに来たってわけじゃ。それで──」

 モニカは仲野を見る。

「お主がうちのライバルになるチヅコじゃな」


「ライバルというか──」

「神託書に名前が並んじゃ。それならライバルじゃ」

 モニカは右手を差し出す。まさか雷撃を喰らわせるわけじゃないだろうな、って心配したが例の腕輪で自身の命の危険がない限り積極的な攻撃はできないように制御されているらしい。

 それを知っている仲野は右手を握り返した。

「そうね、それならライバルとしてよろしくね」


 二人が並んだのを見て、モニカのスカートはやっぱり少し短過ぎないかと思った。

 この高校の制服は少し変わっている。制服自体が変わっているわけではなくて制服のルールが変わっているというのが正確なのだが。

 基本はブラザータイプの制服がベースになる。

 男子はワイシャツにネクタイ、女子はブラウスにリボン。これが基本の式服という形式だ。入学式、卒業式はもちろんのこと、始業式などの式が付く日は全校生徒この形で登校が義務となる。この日ばかりは式服で来ないと学校にすら入れてもらえない。

 しかし、それ以外が変わっている。まず、夏服冬服の概念が無い。一年中夏服で過ごすような生徒はいないが、その逆はいる。一年中、冬服の式服で過ごすのだ。ブレザーをずっと着ることになる。そんな生徒も本当にいる。

 次に式服が義務にならない日はネクタイもリボンも必須ではない。付けたければ付ければいいし、めんどくさいと思ったら付けなくてもいい。あと、夏服としてポロシャツ、冬服としてベストが学校指定のものとしてある。カーディガンは学校指定のものは無いが規定に沿った物なら着用可能。そして、男子のズボンの色は2種類、女子のスカートも2種類、あと時代に合わせて女子もズボンも可能になったので女子は4パターンあることになる。靴下も規定はない。

 つまり、学校指定のものや規定はある程度あるが、式日以外は組み合わせ自由で登校可能なのだ。

 私服登校が可能な学校ほどの自由は無いが、この制服の自由さで入学希望してくる生徒は昔も今も変わらずいる。


 仲野はスカートの長さも着こなしも一般的なのだが、モニカはスカートがかなり短い。階段とか下から見たらパンツが見えてしまいそう。

 登校前に一緒に暮らしているチャコにも短過ぎないか、と心配されていたらしいが、

「妖精はスカート短いイメージじゃろ?」

 そう言ったモニカにこのスカートの長さでと押し通されたと聞いている。


「ユウは座ったままなのか? そこからならうちのパンツも見えるじゃろ? 欲情してしまいそうか? でも、さすがにここで子作りはうちも、ちと恥ずかし──」

「そんなこと思ってない」

 俺は慌てて立ち上がる。


「俺達といるの分かるとクラスで浮くとか心配ないのか?」

「別に今でも偽ってるわけではないが、ずっと質問攻めに合うのも疲れるし、早いうちに素の自分を見せた方がいいと思うのじゃ。それに──」

「「それに?」」

 俺と仲野が同時に聞き返してしまう。

「うちら三人で放課後、ボランティア部に入部するやうにって言われていたじゃろ? 遅かれ早かれ三人一緒に行動するのじゃ」


 そう言えばキリコからの指示で俺達三人で今日からボランティア部に入部するように言われていたのを忘れていた。

 一体なにをさせられるのか?

 指示で行くのだ。そこにいる人物はきっとこの状況を知っている人なのだろう。


 昼休みが終わる予鈴を聞きながら、俺は放課後のことを考えて気が重くなってしまった。

お読みいただきありがとうございます。

まだ始まったばかりですが、15〜20話程度を予定しております。

ブックマークや評価をいただけると励みになりますので、お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。