7.精霊種
滝沢 侑也……主人公。神の種を宿してる。
仲野 千鶴子……主人公の幼馴染。人類代表の超人。
キリコ……警察庁特務係。班長。
チャコ……警察庁特務係。キリコの部下。影使い。
モニカ……金髪の少女
「で、お主はなんで私に触れても倒れなかったのじゃ?」
雨の中、来訪した謎の金髪ツインテール美少女はこちら側が質問する前に聞いてきた。
とりあえずチャコ共々、近所迷惑にならないように家の中に入ってもらった。
聞きたいことは山ほどあるのだが、まずは質問に答える。
「倒れるも何も手を握り返した時に何も感じなかったというか、普通握手をしただけで倒れるものじゃないでしょ」
「不感症なのか?」
「違う!」
裏世界の住人は全部こんな感じなのか。もう少し普通の登場人物に会いたい。
「それで君は誰?」
「うちはモニカじゃ」
名前を名乗られただけじゃ分からないのだけど。
「えーっと……えっ? 精霊種?」
キリコから使うようにと言われた専用のノートパソコンをチャコが起動させて情報を集めていた。
「ふふん、そうじゃ、うちは雷の精霊じゃ」
「どうやら二人目のお嫁さん候補なのは間違いないみたいっス。キリコさんからのメールに神託書にも名前が浮き出たと書いてあるっス」
「握手した時に気絶させようと放電したのに、お主は何で触れても平気だったのじゃ? まさか、うちと結ばれる運命だから雷耐性がスキルが付いているとか──」
「違うっス」
モニカが言いかけているところをチャコがぶった斬った。
知らない間に俺に雷耐性のスキルとか付いていたなら嬉しかったのに。
「何じゃと?」
モニカが不審そうにチャコを見る。
「だから違うんスよ。タキザワっちはあくまで神の種を持っているけど、他は一般人っス。雷耐性どころか裏世界の住人の誰にも勝てないっス」
チャコがサラッと酷い言い方をするが、まぁ、当たり前だ。裏世界とやらどころか、こちらの普通の世界でだってヤンキー漫画にあったりする高校生の喧嘩すらしたくないし、絶対に勝てない。
「じゃあ、何で倒れなかったのじゃ?」
「モニカっちみたいな神託書のルールの範囲のギリギリを狙って攻めてくる輩がいるとも限らないから、能力無効の結界を張ってるっスよ」
「そんなことができるはずない! うちの雷撃は上級とまではいかなくても中級でもかなり上位で……それを人間の結界なんかで防げるわけないのじゃ!」
モニカがまくし立てる。なんか裏世界には階級みたいなのがあるらしい。
「ところが人間にも化物みたいなのはいるんスよ。この結界は特級しか破れないっス」
「特級って……裏世界にも二十人くらいしかいないって言われてるのに……本当にそんな化物みたいな人間がいるのか?」
「仕組みは私もよく分からないっスけど、モニカっちは今こうして能力を封じられているわけで──ちなみにその腕輪も同じ能力で作られているので、今二重の結界にいるので雷は放てないっスよ! 何なら試してみるっスか?」
チャコはそう言ってモニカに嵌めた腕輪を指す。
「それじゃあ、うちの完璧な計画が……」
「完璧な計画?」
俺はその言葉が気になって聞き返してしまった。
「そうじゃ、うちがこの日のために考えてきた完璧な計画を聞きたいか?」
モニカの能力も封じられた今、身に危険もないだろうと思い俺は頷いた。
「そうか、そうか、聞きたいか。まず雨の日はうちの力が増すからこの日を選ぶ。そして、予告なしにこの家を訪れる。この美少女の姿を見れば一目惚れするじゃろ。そして、油断して握手したところに気絶するくらいの電流を流す──」
「ちょっと待つっス。そしたら、その、こ、子作りが、で、できないっスよね?」
モニカのだいぶ危うい計画を聞いてどうしたものかと思っていたところにチャコが割り込んだ。相変わらずチャコは変なところでウブなのだけど。
「それは心配しなくていいのじゃ。気絶したら下半身にまた微弱な雷撃を与えて、イチモツが勃ったところを跨って──」
「ちょっと待った!」
俺は思わず下半身が縮こまってしまったが、声をあげて突っ込んだ。
「そんな危ないこと考えてたの?」
「さっきも言ったじゃろ、雨の日は力が増すと。ちゃんと雷撃の威力がコントロールしやすいなのじゃ。だから、気絶してても下半身もちゃんと勃つようにコントロールできるのじゃぞ」
モニカはドヤ顔だ。チャコは対照的に顔を赤くして下を向いている。この人、今後この任務大丈夫なのかな? こういう癖のある裏世界の住人が来るってことだよね? 対応できるか心配になる。
それにしても俺はそんな悲しい形で貞操を失うところだったのか……
ちゃんと対策してくれたキリコさんに感謝しないといけない。
でも、この金髪美少女になら普通に告白されたら流されていたかもしれない。
「あの、ちょっと疑問なんだけど、美少女って自覚してるなら正面から告白しようとは思わなかったの? そしたら俺だって──」
「精霊種の年齢を聞いてもそう言えるか?」
モニカが真剣な顔になる。
「お主はまだ裏世界のことを知らないからそう言えるのじゃ。アニメや漫画でもあるだろ……そうだなエルフとか分かりやすいか。どんなに若い見た目をしていても何百年、下手すると千年以上生きていたりする」
「じゃあ、モニカも何百歳──」
「そんなお婆さんと一緒にするでない!」
女性に年齢を聞くのはタブーなのは分かるが聞かずにはいられないだろう。
「じゃあ、何歳なんですか?」
「ろ、六十五歳じゃ……」
「えーっ⁈」
思わず大きな声で叫んでしまった。
隣のチャコが驚いていないのを見ると知っていたな。教えてくれてもいいのに。
それにしても、この見た目で六十五歳はないだろう。同年代にしか見えない。
「見た目はともかく、実際の年齢がそこまで離れていたら嫌じゃろ? 人間と長寿種の婚姻なんて無理なのじゃ」
モニカは俯いてしまった。
「いや、そんなことない! 元々、アニメとかのエルフには憧れていたから、その点は問題ない」
「それなら早速ここで子作りを──」
「いや、それもできない」
「なんで?」
「なんでって……いきなり雷撃で気絶させようとする人と付き合えないでしょ」
「じゃあ、うちは失格……」
「そうじゃなくて、モニカもそれ以外もちゃんと見極めたいなって思って。もう少しお互いのことを知った方がいいと思うんだよ」
「でも、うちは精霊種で、お主とどうやって過ごしたら……」
「なんか精霊種の長から落とすまで帰ってこなくていいって連絡があったみたいで、私の上司が色々調整して留学生として高校に通えるように手配してくれたみたいっス」
「「はっ⁈」」
俺とモニカはハモッてしまった。
そんな簡単に留学生とかになれるのか……やっぱり裏世界は凄いな。
「タキザワっちとモニカっちはこれで同級生っスね」
チャコは俺にウインクしてくる。そんなよろしくやってみたいなこと言われても……
「じゃあ、うちはここで暮らしていいのか?」
「ダメっスよ! それは贔屓になってしまうっスから私と向かいの家で暮らすっスよ」
「一緒に暮らせばうちの色気で──」
「いや、可愛いけど色気は──」
「はっ?」
「いや、なんでも……」
「タキザワっちは私みたいなグラマラスな女性が好きなんスよね?」
モニカは可愛いが背も低く胸が控えめで本当に文字通りの合法ロリなのだ。チャコは可愛いし胸も大きいのだけど、ファッションが独特過ぎてそこがマイナスというか、そもそも神託書とやらの対象外だし……
「ふむ、同じ家で暮らせなくてもすぐ近くにいられるのはメリットじゃな。その学校とやらでよろしく頼むのじゃ」
こうして神託書に名前を記された新しい候補者が新たな同級生になったのだった。
お読みいただきありがとうございます。
まだ始まったばかりですが、20〜25話程度を予定しております。
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