第84話 雑草根腐れ大作戦発動。そして、「彼」の裏切り。
僕たちはこうして「首都」に蔓延る「結界の根」を切り取り、バイパス手術を続けていった。
「接ぎ木」作戦は順調。
予定通り、外側の数か所を削った。
キレイに削り取って狭める必要はない。
むしろ、ある程度は残しておかないと、狭まったことに気づかれてしまうから。
そして、その「空白地帯」にフィンたちが潜伏する。
決起時の「資材」を隠しておくのと、行動にすぐに移るためだ。
◇
「さて、時は来たな」
フィンが言う。
「資材搬入もバッチリ。術式の仕込みも完成している」
簡易組み立て式の土台。木製で軽い「灯火台」。
それに「魔水晶」で出来た「術式の照明具」。
「これを、結界の結節点に配置する。俺たちで4か所。首都の東西南北に設置する」
魔狼騎士団のみんなが頷く。
昼のうちから準備を進め、決行のために仮眠をとった。
今は夜。
天気も申し分なく、晴れている。
これなら、首都近郊に待機している「ハティ」さんも狙いをつけやすいだろう。
「全員、コンデイションは?」
フィンレーの問い。
「バッチリ」
「大丈夫だ」
「問題なし」
「いつでも行けるよ」
「オレも」
「僕も問題ない」
リャナン、スヴェン、リムアン、アルセイス、ルーダ、オーレといった魔狼騎士団のメンバーが頷く。
部屋の隅っこではコリガンくんが震えている。
「大丈夫?」
僕は彼に尋ねた。
「だ、だだ大丈夫」
コリガンくんは青い顔で言った。
「怖いならさ、無理しなくてもいいんじゃないかな」
「でで、でも」
「そうだよ?コリガン、無理しなくてもいいんだよ?」
僕たちが話していると、リャナンが顔を覗き込んでくる。
ランプの光を受けて艶やかに光を放つ黒髪。
さらりと滑るのを手で押さえる。
うん。美少女。
〈ちょっとぉ、ロッシェ~〉
【土寄せ棒】の「アンジェ」さんが不満げな声を上げる。
ははっ、大丈夫だって。
君がイチバンさ。
「う、うん。でも、僕も行くよ」
そう言ってコリガンくんは鼻の頭に貼ってある「絆創膏」に触れた。
◇
僕たちは戦力を考えて組み分けをした。
そして、いよいよ作戦決行。
資材を分けて、装備を確認する。
「親父からの差し入れも入ってる」
渡されたマジックバッグ。
僕はその中身を確認した。
「なに……これ……」
入っていたものがわけわからない。
バナナ、サンドイッチ、水筒…「おやつは500円以内」のプリント…昭和の遠足かよ……
僕の「土寄せ棒」と「団員証」。
あ~、ちゃんと「回復薬」も入っているね。
で、【爆発物につき取扱注意】の札が貼ってある謎の包み。
なんでリボンつけてるの?
あ、取説ついてる。
なになに?
『ぶっ飛ばしたい相手に投げつけましょう。強い衝撃を与えると爆発します。巻き込まれないように3メートルは離れてください』
いや、ざっくり。花火かよ。
『10歳未満はお父さんとお母さんと一緒に使いましょう』
あのさ、爆発物投げつける親子って時点でヤバいからね?
遠足と救出作戦を一緒にしているの?あの人?
「よっしゃ!それじゃ作戦開始だぜ!」
フィンレーの号令で僕たちはそれぞれ隠れ家を後にした。
◇
ガシャ
木材が擦れる音がする。
資材運びを申し出てくれたコリガンくんが持ち替えた音だ。
軽量化しているっていってもけっこう重いだろうな。
「ねえ、無理しないでさ。交代するよ?」
僕は後ろを振り返る。
「……」
僕は絶句した。
「ありがとう。でも、大丈夫だよ」
コリガンくんの声がする。
でも、そこには見知らぬ少年がいた。
「どうしたの、ハル?」
そこには白銀の髪をした美しい少年がいた。
少し癖のある髪。
色白で、女性とも間違われそうな中性的な顔立ち。
切れ長の目は長い睫毛に縁どられていた。
「お前は、おまえはぁ、ダレダァぁ!?」
僕は叫んでいた。
「何を言ってるの、コリガンだよ?」
少年、コリガンくん(?)が首を傾げる。
「僕を騙したなぁぁぁぁぁ、裏切者ぉぉぉぉぉぉぉ」
「うそだ、うそだと言ってくれぇぇあぁぁぁ」
僕が地に伏せて泣き濡れる。
コリガン君が、イケメン。
ちゅうか、ハティさんみたいな白銀の髪のカッコいい……中性的なぁぁ美少年にぃぃ。
「僕は月の光に当たると、どうしてもおかしくなるんだ」
「確かに、おかしいぃ、おかしいよぉぉう」
慟哭する。
「イケメン多すぎだろうっ!フェンリルナイトって見た目重視なのかっ!?だったらなんで僕を入れたんだよっ、引き立て役なのかぁぁぁぁ」
地面を叩く。
それを冷たく見下ろしていたリムアンが僕の肩に手を置いた。
「ハル……」
僕は涙に濡れた顔を彼女に向ける。
「フッ」
リムアンが鼻で笑った。
「うわぁぁああん」
僕は深く傷ついて声を上げて泣いた。
「ちょ、リムっあんまりだよ」
コリガンくんがたしなめる。
「だって、ハルってばどうでもいいことで泣いているんだもの。バカみたい」
バカって言った、人をバカにしないっていってたじゃないかぁ。
「ハルはちょっとエッチだけど、いい奴なんだから気にしなくていいのに」
なんで僕そんな評価なの?僕リムたちに変なことしてないよぉう。
ジャガイモ仲間の皆さんへ
今日1日頑張ったそれだけで「ジャガイモヴィクトリー!」です。
皆さんも理不尽な目に遇わされることもありますが、一緒に頑張りましょう!




