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第83話 「ジャガーイモ工作員」。接ぎ木スキルが結界を壊す?




翌日、僕は街を散策しながら「結界の魔術回路」を確認した。


こんな見た目だからおのぼり冒険者って感じが出ていて誰も怪しまない。

まあ、そのとおりなんだけれどさ。


「ほら、アイツ」

「なんでこんなところにいるんだ?きっしょぉ」

そうささやく声が聞こえる。

「髪型とかさぁ、気に入らねぇなぁ」

「ダッサぁ」

そっちを見ると若い男たちがこちらを遠巻きにチラチラ見ていた。


僕が見るとすぐに目を反らして歩いて行った。

くそっなんだ、アイツら。

いちいち癇に障るなぁ。


僕はアイツらのことを知らない。

会ったことがあるかもしれないけれど憶えていない。

アイツらは憶えているんだろうけれど、あんなふうに言われなければ見ることもない。

向こうから不快な気分にさせる。


王都って今は首都か。荒廃してるって話、ホントだな。



(こんなのに四六時中さらされて、コリガン君本当によく我慢できるね)


僕は隣を歩くコリガンくんに話しかけた。


(う、うん……まあ)

コリガンくんは曖昧な返事をした。


平気なわけはない。

先日話して分かった。

ただ、ダメージを軽減させるために「流し」ているだけなんだ。




僕たちは空き地に入る。


うう……変な臭い。

生臭いような……物が腐ったような……


何だろう、あの大きな麻袋?


「ハル、見ない方がいいよ。今は任務に集中しよう」


コリガンくんが僕の袖を引く。


そうだね。集中集中!


僕たちの任務は「結界の範囲を狭める」こと。

そして、機能不全に陥らせるんだ。


だからこうして結界を形成している魔力回路、首都に蔓延っている「根っこ」を探している。


簡単に言うと、「切って」「短くつなげる」という内容。


1.【土寄せ棒】の「アンジェ」さんで「根っこ」を切断。彼女じゃないと「形成層」を潰さずにキレイに切ることはできない。一瞬でスパッとやらないと気づかる。


2.数メートル距離を縮めた断面どうしを繋ぎ合わせる。これはスピード勝負。切断時間が短いと、組織が死んで「活着」が起きない。何よりも「切断された」と気づかれてしまう。


3.触媒を使って断面を接合。これは、錬金術師の「オーレ」が「接合クリップ」をつくってくれた。これで留めるだけで「活着」を起こしてくれるそうだ。


こうしてジワジワと結界の範囲を狭めていく。


う~ん、実にじみ~~な、農家向けの作業だね。


実は僕たち、「貧民街」で予行練習済み。


すでに「貧民街」は「結界」の外になっている。


クロエはこの練習が上手くいったのを見届けて今朝早くに出発した。

もちろん、「本家・アンジェ」さんから貰った「術式」をエリーゼさんたちに届けるためだ。


ああ、【土寄せ棒】の「アンジェ」さんと紛らわしいから、エルフの方は「本家・アンジェ」さんと呼んでいる。


そして、僕の【相棒】、【土寄せ棒】の「アンジェ」さんについては、【棒ジェ】さんとでも呼ぼうかな。





「じゃあ、コリガンくん、見張りをお願いね」


「う、うん……」


僕のお願いにコリガンくんが頷く。


〈ロッシェ。やるのね〉

【棒ジェ】さんの言葉に僕は力強く頷いた。


「ふぅぅぅぅぅ」


僕は深呼吸をして心を落ち着ける。


「いざ!」


びったーーーーーん


僕は気合ととも大地に身を投げ出した。


ビクゥゥゥゥ!


コリガンくんは身を震わせた。


(ああ、感じる……感じるよ、大地の鼓動)


うつぶせ寝で大地に体をぴったりと寄り添わせる。


(僕は、一体になるんだ。「君」とひとつに―――――)


ちょっと臭い風が時々鼻を刺激する。


カァーカァー


鴉が鳴いている。


近くに止まって、跳ねながら近づいてきた。


ゴツゴツゴツ


嘴で突いてくる。


「ああ!ハルっ!」


コリガンくんが悲鳴を上げた。


(痛い…痛いッッ!やめろぉっ)


〈このクソ鴉!ロッシェは生ゴミじゃないんだから!漁るんじゃないわよ!〉

【棒ジェ】さんが威嚇して鴉は飛び去って行った。


でも、少し離れたところで様子を見ている。


(タチ悪い鴉だなぁ)


そうして再度集中し探る。


(うふふふふ、ちょっと固くてひんやりしている君の肌もなかなか……)


ゴツッゴツッ!


(いててて!)


〈コラーー!やめっろッつってんだろ!〉


またも鴉に邪魔をされる。


なんなんだよ、コイツ!


ハッ!?まさか、もう敵に見つかっているのか?


僕は立ち上がり、周囲を見渡す。


敵の影は見あたらない。


(たぶん、たんに遊ばれているだけだと思うけれど)


コリガンはなかなか進まない「工作」にため息をつきながらも、ハルを温かく見守った。




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