第45話 鷹は千里を見通し、万里を飛ぶ。「ぱわー☆すいんぐ」はお姉ちゃんからのエー
「……」
実に、きまずい。
僕、ハル・ロッシェは周りを歩いている「彼女」を盗み見る。
魔獣を倒したあと、「グリード」は村に棄ててきた。
もともとどこかに放置する予定だったし、それは問題ない。
魔獣を倒して、村の人にも褒められたし、お礼も貰った。
これも、嬉しい。
でも、「ハンナ」が元に戻ってしまった。
「あの~」
僕は声をかける。
ギヌロォォンン
「何?」
メチャクチャ睨まれた。
なんか、悪化している……なんで?僕何かした?
もしかして、目立ちたかったのに「罠づくり」させられたから?
〈くくくっ、ロッシェに色目使う奴らはすべからく酷い目に遭うのよ〉
【土寄せ棒】の「アンジェ」さんがほくそ笑んでいる。音だけで。
〈ぬぁんたって、ロッシェには「アタシ」という相棒がいるからねぇ〉
〈他の女になんか、興味ないのよん。浮気なんてナッシング!〉
いや、当たり前のことをなんで自慢げに。
「僕は……君が傍にいてくれるだけで満足なんだ」
ボソリと呟く。
もちろん、アンジェさんに言った。
そっぽを向きつつも、隣を歩いていたハンナが立ち止まる。
え?
口を開けて……何を驚いているの?
それから、「うふっ」とか言って口を押える。
なんか、肩を震わせてる。
「そっか……そういうことかぁ」
ハンナが震える声で呟いている。
そして、急に速足で追いついてきた。
パシン
肩を軽く叩かれる。
「もう、ピュアすぎ」
え?何言ってるの?
「急だったからビックリしちゃったけど、ハルはビビりだもんね」
はい?なんでハンナ、ニヤついてるの。
「土壇場で怖くなっちゃうなんてさっ」
え~と、「猿モグラ」の攻撃を最後伏せて避けたこと?
「でもっ、勢いで行っても『OK』って時はあるんだよ」
そういうものなのかな?
「特に相手が準備できてるときとかさ」
え?逆じゃない?「相手が準備できてなくて、こっちができてるとき」でしょ?
「ふふっ、まぁ、ハルらしくていいけれどね」
そう言ってハンナはスキップしながら先へ行ってしまう。
なんだろ?
まあ、機嫌なおったから、いいかな?
◇
場所は変わり、大陸北部の森。
少しずつだが、日が傾き始めた。
「大丈夫か」
「ええ」
男女の声が聞こえる。
コレットが目覚めると、エリーゼに膝枕をされていた。
「せんせい、私」
「目が覚めた?なんでか、のぼせてしまったみたいね」
「すみません、よく憶えていなくて」
視線をさまよわせているなかで一人の人物と目が合う。
コレットは、反射的に顔を反らしてエリーゼに向けた。
「あれ?コレット」
エリーゼの声にビクゥと体を縮める。
「あなた、恥ずかしがっているの」
「ひぅっ」
さらに体を震わす。
「ガレット、あなたモテるのね」
「え?俺が?ホントかよ。嬉しいねぇ」
気取りのない笑い。
バカにするでもなく、ただ嬉しいというだけの声。
「俺が、ガレット・グランハートさんだぞ」
離れたところで声がする。
「俺のファンだって?ありがとうな。ホント、嬉しいぜ」
そうして「期待に応えないとな」と小さく呟く。
「ガレット、自分の領地近くにいるってことは戻るの?」
「ああ、定期的に戻らないとな。手下どもがうるさいんだ」
ガレットはからからと笑う。
「愛されてるじゃない」
「まあ、十年以上一緒に戦場渡り歩いた仲だからな」
懐かしそうにガレットが目を細める。
「姐さんはここにいるってことは、アダマス自治区に行くのか」
「ええ」
「そっか。今までは何を?」
「まあ、その辺をぶらぶらと、ねぇ」
「で、ガキまでつくってか」
「あのね、コレットは11歳よ。最後に会ったのって2年前でしょう?計算合わないじゃないの」
「え?あ、そういうもんなのか」
「ほんと、そういうところ無頓着なのね。ソニアも苦労するわ」
「今はアイツのことはいいだろう」
「いい加減愛想つかされてなければいいけど」
「嫌なこというなよ」
「コレットは私が孤児院にいたのを引き取ったの。優秀な助手としてね」
そう言ってエリーゼが優しく頭を撫でる。
コレットはくすぐったそうに目を細めた。
その様をガレットは頬を緩めて「いいねぇ」と呟いた。
「ん?」
エリーゼの疑問の声にガレットが頬を掻いて恥ずかしそうに言う。
「いや、あの姐さんが母ちゃんみたいな優しい顔してっからさ」
「あら、羨ましい?撫でてあげようか」
「ははは、遠慮しとくよ。せっかくのファンに誤解されると嫌だしな」
互いに笑いあう。
コレットはこの様子を盗み見ながら、変わらずガレットに羨望の目を向けていた。
コレットのイメージ通りの人物。
快活で裏表がない。
陽の気質をもった人物。
苦労をしてきた過去を微塵も感じさせない、絵に描いたような英雄。
「ところで姐さん、提案なんだが」
「うん?」
「俺のところに来ないか?」
「エーレンブルグに?」
「そうだよ。子供連れで旅ってのはキツイだろう。どこかに腰を落ち着けてみたらどうかと思ってよ」
「でも、それは」
「城に来るのが気が咎めるってんなら、領内のどっかに家を用意する。好きな場所を言ってくれ」
真面目な顔でガレットが言う。
「あなたにそこまでしてもらう義理はないわ」
「そう思ってんのは姐さんだけだ。俺らはみんな姐さんを慕っている。恩義だって感じてるんだ」
「居候させてもらってた時は人生の中で一番ってくらい楽しかった。今度は俺らに恩返しさせてくれねぇか」
「頼むよ」と頭を下げる。
「ガレット」
エリーゼが呟く。
「あなた、いつからそんな殊勝なこと言うようになったの?義理堅いのは知っているけど、おかしいわよ」
言葉にガレットがバレたとばかりに頬を掻く。
そして、コレットを見る。
「子供に聞かせる話じゃねぇと思うんだが」
「この子については気にしなくていいわ。あなたも知ってのとおり、賢いしおしゃべりでもない。上辺だけで人の評価も変えない」
ガレットは驚く。
「凄ぇな」
「そうよ。コレットは凄い子なの。ま、そうでなくても私はいいんだけど」
いつまでも甘えて膝に頭をのせているコレットを見る。
「先生、よければ私、向こうに行っていますけれど」
「いいの。気にしないで」
ガレットは少し考えてから口を開いた。
「二年前は、本当にすまなかった。距離があって間に合わなかったってのもあるが、日和見をしちまった。俺もあの時姐さんと城を枕に討ち死にできれば良かったと後悔している」
再度ガレットが頭を下げる。
「ハティが姐さんを助け出したって聞いてほっとした。エルフもお貴族様も無事だって知って、俺は情けないと思いながらも助かったって思った」
頭を下げたまま苦しそうに言うガレットにエリーゼは真面目な顔で応える。
「あなたは、あなたの仲間がいるでしょう。あなたの振る舞いは恥じるものではないわ。領民だっているのだから自分の守るべき人たちのことを思えば、間違った選択ではない。ティアだって同じ」
「それでも、自分で自分が許せないんだよ」
胸の内をさらけ出すガレットに、エリーゼは辛辣に応じる。
「ガレット、まさか罪滅ぼしとか言うんじゃないでしょうね。そんなしみったれた理由なら願い下げだわ」
「いや、それだけじゃねぇんだ。一番の理由は、その……罪滅ぼしなんだけどよ」
ガレットが頭を上げる。
「二年前から共和政府に圧力をかけられている。併合のだ。俺は議会参列って態の良い臣従を迫られている」
目を見据えて言う。
「正直、もう先延ばしにできないところまで来ている。俺は別に奴らに降ってその後殺されても文句はないが、仲間がどうなるのかが心残りだ」
続けて言う。
「ちゃんと、アイツらの『弱み』を握った。知恵を貸してくれねぇか。助けてほしいんだ」
ややあってエリーゼが口を開いた。
「それは、また私に戦場に出ろと」
「戦わなくてもいい。戦しか能のない俺らに政治の駆け引きとか教えてほしいんだ」
それから、ガレットはエリーゼの目を見て言った。
「これから先、姐さんが何をしようとしているか予想がつく。だからこそ『足場』があってもいいんじゃねぇか?」
それは「足場」をつくる魔術しか使えないガレットだからこその言葉だった。
◇
「ちょっと待ってください」
コレットが起き上がって口を挟む。
「それって、先生を利用するってことですよね」
「そうなるな」
「ひどくないですか。二年前は見殺しにして、今は自分たちが助かるために利用するなんて」
「そうだ。酷い話だ」
ガレットは隠すことなくコレットに答える。
「俺たちは共和政府の裏の顔を知っている。姐さんもハティに会ったんなら聞いているはずだ。奴らの言いなりになるのは俺だけじゃねぇ、みんなが困ることになる」
「それでも、先生はどうなるんですか」
「だから、こうして頼んでいる。俺は悪者でいい」
エリーゼが「はっ」と鼻で笑う。
「ガレット、大概になさい」
冷たい空気を纏わせている。
「ほんとうに、腑抜けましたね。何をしていたのですか」
「?」
口調にコレットが混乱する。
「ハティを手伝ってくれたことには感謝します。あの者たちに鉄槌を下す日はそう遠くはないでしょう。ですが―――――」
そこで言葉を区切る。
「人任せにするほど臆病になったのはなぜです?守る者が増えたから?」
そっとコレットの肩に手を置いて離れるよう促す。
「違いますね。あなたは剣を一度置いてしまったからです」
立ち上がり、剣を手にした。
「先ほどはコレットがいたから加減をしていたと思っていましたが、そうですかそうですか」
帯剣をする。
「違和感の正体はコレでしたか。弟とも旅をしたと聞いていましたから研鑽を積んだと思っていましたが」
「お、おい。何を言って」
「元気そうで何より、ですが腕は二流に落ちていましたね」
「いくら姐さんでも、言葉が過ぎるんじゃねぇか」
「おや、事実ですよ」
ガレットの目の色が変わる。
「テメェ―――」
言いかけたガレットの首筋に刃が充てられる。
「ほら……ずいぶんと弱いこと。これで一度死にましたね」
エリーゼは冷たい目で見下ろす。
◇
「こっちが下手に出てりゃぁ言いたい放題」
ガレットが剣を手にする。
「ああ、一度ならず3回目でしたか。戦場でハティにボコボコにされて、その後も情けなくも返り討ち」
「ふざけんじゃねぇ!」
ガレットが大剣を振るう。
それを軽々とエリーゼが避ける。
「遅い遅い。私についぞ当てられなかった鈍くさい剣ですね」
「舐めんなよ。ハティに負けてもオマエには負けてねぇ」
「負けたハティの下に着いたんでしょう?お友達?笑わせますね。敵わないからそれらしく体面を取り繕っていただけでしょう」
「なんだと……」
ガレットの目に殺意が灯る。
「あら、図星でしたか。気づいていましたけれど、優しい私たちは傷つかないように今まで黙っていてあげたのですけれどね」
このやり取りをコレットは遠くから見守った。
「よっぽど死にたいらしいな」
ガレットが剣を構える。
「ふふふっできるかしらね。負け犬さんに」
「テメェも同じじゃねぇか。落ちぶれた騎士さまよぉ」
「あら、負け犬って認めましたね」
エリーゼが言葉を放った時だった。
接近したガレットが大剣を振り下ろしていた。
だが、それも当たらず、空を切って地面に落ちた。
爆発でも起きたかのように土砂を巻き上げて地面が陥没する。
それをものともせずにエリーゼが蹴りを入れてガレットを弾き飛ばす。
「がっ!?」
その巨躯が宙を飛び、木々を押し倒して転がった。
「ほんと、弱くなりましたね。あの頃の方がまだマシだった……」
言いかけた時、ガレットの剣が迫っていた。
一撃を食らって吹き飛ばされた。それも意に介さない強靭さ。
「っ!?」
唸りをあげて横薙ぎに振るわれる。
避けたエリーゼの頬をわずかに割いた。
剣風だけで僅か離れた樹が倒れる。
「ガキが近くにいたもんだから、加減してやったのが悪かったか?頭のぼせやがって」
闘気を放ったままのガレットに対してエリーゼがなおも続ける。
「言い訳がましいですね」
「うるせぇ!生き恥さらしてるよりここで死んでおけよ」
ガレットが剣を構える。
「戦技、【断空剣】!」
剣を横薙ぎに振るう。
先ほどまでと違い、剣風が風の刃となって飛んだ。
周囲の物を切り倒してエリーゼに向かう。
「ふふ……」
自身の頬から滴る血をエリーゼは舐めて不敵に笑う。
即座に跳躍し、それを難なくかわす。
その足元では風の刃が木々を切り倒していた。
「本命はこっちだ」
さらに上空に跳んでいたガレットが剣を振り下ろす。
先ほどと同じような構図だが、剣速も威力も段違いだった。
エリーゼは剣を交差させて受ける。
「おおらぁ!」
ガレットが気合と共に振り抜く。
彼女の小柄な体が地面に叩きつけられた。
「……つぅ」
衝撃にエリーゼが顔を歪める。
「くたばれ」
上空から急降下したガレットが追撃の剣を振り下ろす。
これをエリーゼが受ける。
落下の勢いが加わった大剣を受ければ剣ごと叩き割られてしまうだろう。
だが、そうはならなかった。
魔術を使い、耐性を上げている。
上段から体格で勝るガレットが押しつぶそうと力を込める。
それを受けてなお拮抗している。
ガレットが先ほどのお返しとばかりにエリーゼを蹴り飛ばす。
小柄な彼女の体がボールのように軽々と跳んだ。
エリーゼは樹を足場にし、反動を利用して前に跳ぶ。
一瞬でガレットに迫った。
しかし、これをガレットは簡単に跳んでかわす。
「飛んだり跳ねたりってのは俺の得意分野なんだよ」
巨躯でありながら身軽に跳び、大剣を翼のように振う。
「黒鷹」の異名をもつ剣士である。
中空にあってその向きを自在に変えて攻める。
翼でもあるかのように上昇し、時には降下して斬り結ぶ。
コレットはその武力に感嘆した。
身近でエリーゼの戦いを見てきた。
規格外のハティの力を目の当たりにした。
そのどれにも引けをとらない武力。
純粋に鍛錬と経験によるもの。
(これが、「黒鷹」の剣士……)
エリーゼやハティの全力は目にしていない。
けれど、魔力なしならガレットの方が強いのではないだろうか。
◇
「ほんと、ぴょんぴょこ、ぴょんぴょこ跳ねまわって……」
エリーゼがため息をつく。
「鷹というよりウサギではないですか?クロウサギちゃん」
「ぬかせ。口の悪さは相変わらずだな」
(あれ……?)
コレットは気づき始めた。
最初こそは激しい打ち合い。
激情のまま斬り結んでいたようだった。
けれど、次第に冷静になってきているような……
ガレットが剣を横薙ぎに振るう。
それを掻い潜ってエリーゼが懐にもぐり込もうとする。
「潰れろ」
ガレットは剣を急停止させて刀身の平を叩きつけた。
しかし、そこにエリーゼはいなかった。
右前の入り身であるガレットに対して彼の右にあえて回り込んでいた。
巨大な刀身が障害となって彼女の姿を隠していたのだ。
すでに背後に回り込んでいる。
「っ!」
ガレットは地面を叩いた剣をそのまま回転して振り回した。
「がおっ☆」
わざとらしくエリーゼが虎の鳴きまねをする。
振り返ったガレットの顔にまたがるようにして組み付いた。
そのまま半回転して倒れ込む。
彼女が首を足でロックしたまま倒れたため、ガレットもそのまま頭を下げてしまう。
剣の慣性と振り返る途中の不安定な体勢。
さすがのガレットも堪えることができずに投げられる。
しかし頭から落ちるほど間抜けではない。
手をついて頭部からの着地を避ける。
エリーゼは着地と同時に体を回転させてすぐに立ち上がる。
ブレイクダンスのような動き。
「剣を離しましたね」
正確には着いた右手の下にはあったが、握ってはいない。
ガレットがハンドスプリングの要領で起き上がろうとする。
それをエリーゼは容赦なく追い打ちをかける。
「【ぱわー☆すいんぐ】!」
彼女は剣を逆手に持ち替える。
片手剣の刀身部分を握り、思い切り振り抜く。
ガレットのがら空きの胴体にガード(鍔)の突起部分がめり込む。
「ごはぁっ!」
重厚なプレートメイルを装備していてもエリーゼの渾身の一撃を食らってはひとたまりもない。
ガレットの身体が吹っ飛び、地面に転がる。
地面に転がるガレットを見降ろしてエリーゼが言う。
◇
「ホント、弱くなりましたね。私に向かってきたあの頃が一番強かったんじゃないですか?」
「クソが」
「ねえ、ガレット・グランハート。あなたは何者ですか?黒金の翼を持つ鷹ではなかったのですか?空を駆ける、天空の覇者の名を冠する者が、その翼を折られたのですか」
エリーゼが静かに言う。
「政治?駆け引き?そんなものあなた達に必要ですかね」
その言葉にガレットは彼女を見る。
月明りを受けた銀の髪がなびき、アイスブルーの瞳が見据えている。
「その目は千里もの先を見通し、その翼は万里を飛び、その爪は仇なすものを屈服させる」
それはいつの頃であったか、ガレットが見た侵しがたく威厳に満ちた女騎士の姿があった。
「ガレット・グランハート。戦場の覇者。あなたがすることはもう決まっているのですよ。戦塵の中、天駆ける鷹が、それ以外の場所ですることなどないでしょうに」
ふと表情を緩めて微笑む。
「弱くはなりましたが、今の立ち会いはいささか私を楽しませてくれました。次に会う時までにもっと磨きをかけておくのですよ」
そう言って剣を納める。
「さっきのハティの件は謝罪します。私たちはそんな風にはみていません」
無言でコレットを呼んで、荷物を持ってこさせる。
「まぁ、暴言のことはお互いさまってことで」
体を起こすこともできないガレットにポーションの小瓶を投げてよこす。
そのまま背を向け、手をひらひらと振って去っていった。
「フラれちまったなぁ」
暫くして、ガレットは呟いていた。
「やっぱ、姐さんはいい女だ」
◇
「ごめんなさいね。コレット」
エリーゼが小さく謝る。
「何がですか?」
「だって」
目を泳がせる。
「せっかくガレットに会えたのにこんなことになって」
すまなそうに言うその様子にコレットは笑う。
「全然気にしなくていいですよ」
「そう?」
「だって私、お二人のこと見直しちゃいましたから」
「?」
「先生はやっぱりすごい人です。本当はもっとずるい戦い方ができたんじゃないですか」
「あら」
「たぶん、ガレット様にずっと合わせてたと思うんです。それに、ガレット様の溜まっていた鬱憤を晴らすためにあんなことを言ったってわかりますから」
コレットの言葉に恥ずかしそうに頬を掻く。
「ガレット様も正直な方ですね。はっきりと自分の悩みを伝えられるし、私にも子供だからって誤魔化さないでちゃんと答えてくれていました」
「ガレットのこと嫌いにならない?」
「全然です。ずっとお仲間のことを想っているってわかっちゃいましたから」
コレットは笑いながら後ろで手を組む。
(だって、お二人とも心の中でずっとお互いを励まし合っていたんだから)
コレットは小さく笑う。
(剣で斬り合いながら「頑張れ、頑張れ、頑張れ」って……変な人たち)




