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第4話 怪しい男と猛獣おねえちゃん。ネズミ大量発生?



薄汚れたローブを纏った男がいる。

見るからに怪しいその男は、周囲をうかがっている。

どうやら僕に気づいてはいないようだ。


僕は逃げるタイミングを失っていた。

なんで、「逃げる」のかって?

だってそうだろ?

相手がポルコだったらなんとかなったけれどさ。

こんな怪しげな男だったらぜっったいにヤバいことになるよ。


危ないことに首を突っ込んじゃダメさ。

とにかく、地味に、平凡に、ジャガイモさんを育てる。

これが僕のポリシーなんだから。


男は結界石が取り除かれた場所を探っている。

なんだ?何をしようとしているんだ?

もしかして怪しいのは見た目だけで、直そうとしてくれているの?


そんな僕の希望的観測とは余所に、男はさらに森の奥へと去っていく。


「ふぅ……」


男の姿が見えなくなった。

僕は胸をなでおろした。


なんだったんだろう、一体。

まあ、何もなかったから良かったけれど。

村長に教えた方がいいかな。

でも、また誤解して僕が悪いことにされるのも嫌だな。


そう思っていたときだ。


「っ!?」


背筋に冷たいものが伝わった。

森の奥から、なにか嫌なものを感じる。

振り返ると、黒い靄みたいなものが発生している。


あの男が歩いて行った先だ。


そして靄が僕のいる方へ生き物のようにうねって近づいてくる。


なんで?なんで、こっち来るの!?

あ!ここには結界の穴があるからかっ!


ヤバいヤバいヤバい!

逃げなきゃっ!


走り出そうとしたら転んでしまう。

足に何かがまとわりついていた。

なにこれ?蔦が勝手に……


僕は手にした「土寄せ棒」でその蔦を払った。


―――――――スン


蔦にまとわりついていた黒い靄が消える。

そして、蔦は枯れてボロボロと崩れていった。


僕は立ち上がると村に逃げようとする。

もう、目の前まで黒い靄の塊は来ていた。


「わわわわわっ、来るなよっ!」


慌てて「土寄せ棒」を振り回す。


―――――――スン


向かってくる黒い靄に棒が触れた瞬間。

靄の塊が消えてしまった。


「――――あれ?」


さっきまでのことが嘘みたい。

何もなかったかのように元の森に戻っていた。


さっと木々の間から光が差してくる。

風が吹いた。

鳥たちのさえずりがのどかに聞こえる。



夜の森。

エルザは周囲をうかがいながら歩く。


(おかしいですね。昼間に感じた魔力……今はその痕跡すらない)


麓の村で孤児院の子供たちと過ごしていた最中だった。

山の中腹にある森から嫌な魔力を感じた。

それは、禍々しいもの。

おそらくは、「彼女たち」を付け狙う者の……


異変を感じたのもつかの間。

それはすぐに消え去った。

はじめから何も起こらなかったかのように。

いや、違う。

清められた。


(いったい、何が起きたというのですか?)


その疑念から夜寝静まった頃に孤児院を抜け出して様子を見に来た。


(魔術陣がある……この術式は……また趣味の悪い「実験」を始めようと?)


(オルレア卿のご息女が存命であったのは確認できた。私のせいであるならば、早々に立ち去らなければならないかもしれませんね)


ざわざわと森が騒ぎ始める。

闇の中から、赤く光る眼がいくつも現れる。


(あら、あらあらあら。「レゼルボア(保菌動物)」が、こんなに……)


チュウチュウチュウ―――――


(いけませんね、浄化しないと、病気が蔓延してしまいます)

エルザは片手剣を抜く。


雲が切れて月の光が差し込んだ。

白銀に輝く髪と剣。

アイスブルーの瞳が冷たい光を宿す。


「我は騎士。この剣に身命を捧げし者―――――」


ふっと笑みを漏らす。


「病原体は、『お姉ちゃん』が『ぶっ殺して』やるんですからっ」


ジャガイモ仲間へ


皆さんいかがお過ごしでしょうか?

今日はよい日?普通の日?

それとも嫌なことがあった日?

嫌なことはハルくんみたいに「スン」とシャットアウトしちゃいましょう!

もしくは「お姉ちゃん」に脳内でやっつけてもらいましょう!


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