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第31話 機を見るに「ビン」!って自重してよ、ガレットさん【ハル・ルート】


あれから僕らはウルフスベインさんに解放してもらった。

「遊び半分でこんな危ない真似をするなよ」とお小言のお土産つき。

そして、ガレットさんへの伝言を承った。

「……マジかよ」

ガレットさんが絶句している。

「はい。本当です」

ガレットさん、肩を震わせている。

それから、グバッっと何かが膨張する音がする。

「ウォルフの野郎……」

立ち上がって咆哮する。

「最高にヴィクトリーーーーーーッな奴だぜ!」

マッスルポーズをとった瞬間、服が破れる。

あ、筋肉が膨張した音だったんだ。


何事もなかったかのようにガレットさんが座る。

ズボンが破れてホットパンツみたいになってる。

この半裸のオッサン、どうしよう。

「つまり、二日後にグリードの野郎がここに来るんだな?」

「はい。そこで決定的な証拠を掴むってウルフスベインさん言っていました」

「ふむ」

真面目に考え込んでいるんだろうけど、目の前の変態は僕にとって迷惑そのもの。

というか、時々大胸筋ピクつかせるのやめろ。気が散る。

「決起するのはまだ先だから、僕らには街を出るようにって言っていました」

「ふむ」

だから、大胸筋ピクつかせるなよ、オッサン。

「あいわかった。ウォルフは俺たちにあえて『敬遠』させて、次の打席で打ち取ろうってサインを送ったわけだな」

そういうことなんだけどさ、なんでいちいち野球用語に翻訳するかな。

100年くらい前にどっかから伝わって、帝国領で流行っていたらしいけれどさ。

「だがな、それは愚策だな」

ガレットさんは言った。

「傭兵の鉄則『機を見るに敏』!」

そう言って上腕二頭筋を「ビンッ!」と膨張させた。暑苦しぃ……

「獲物がのこのこホームに来るってのに逃がす手はねぇ」

にやりと笑う。

「地の利はこっちにある。準備できる猶予はある」

そして、僕を見た。

「とっておきの切り札、ジャガー・ノート様もいるわけだしな」


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