第22話 ジャガイモ無双 【ハル・ルート】
魔物の群れを蹂躙するフェンリルナイトたち。
それを追い越し、先に村長宅に到着していたハルとガレットはすでに暴れ始めていた。
村長宅に到達した群れの先頭の魔物たちと対峙する。
「ふぅぅぅ!」
鋭い呼気。
「はぁっ!」
大剣を一閃させ、ガレットが魔獣を倒す。
「まだまだぁ!」
自身の身長とそう変わらないサイズの剣を軽々と振るっている。
「ま、まるで竜巻じゃないか」
村人が驚くのも無理はない。
絶え間なく大剣を振り回して魔獣たちを薙ぎ倒していく。
蹂躙する側の魔獣が一転して蹂躙される。
そして、その近くでは―――――
「えい!やあぁっ!、どっこい!ほいさぁ」
まるで土を耕すような掛け声で棒を振り回す、ジャガー・ノートことハル・ロッシェ。
―――――スン
―――――――スン
―――――――――スン、ススン
……
音もなく棒に触れた魔獣が消えていく。
まさに不可抗力の圧倒的な破壊者。
(なんか、わからんが凄い)
◇
「ぐぅ」
村人の一人が苦しみだす。
「お、おい……」
声をかけた村人は悲鳴を上げた。
赤黒い血管が浮かび、目が真っ赤になっている。
「あ、あああああああ」
うめいていた村人が声を上げて腕をふるう。
それだけで助け起こそうとした村人だけでなく、周囲の人も薙ぎ倒した。
「っ!?これが奴らの『仕込み』かよ」
ガレットが言う。
(けれど、コイツで斬っちまったら元も子もない)
一瞬の躊躇。
「やめろよっ!」
ハルが飛び出す。
棒を一振り。ぽかんと軽い音がして、暴走した村人の頭を叩いた。
――――――スン
「あれ?」
叩かれた村人は元に戻っていた。
(こいつは、最高だ!)
ガレットは快哉を叫んだ。
「いいぞ、ハル。暴走した奴、片っ端からぶん殴っちまえ」
「は、はいっ」
よくわかっていないままハルが返事をした。
それが合図となったのか、次々と村人が暴走しだす。
「だから、やめろって言ってるだろ!」
ハルの注意と共に、ぽかん、ぽかんという叩く音が響き渡る。
――――スン、―――スン、――――スン
その度に暴走した村人は我に返る。
どうやら、一度叩かれた者は解呪されるらしく、再び暴走することはなかった。
僅かな時間でほぼ全員が叩かれ、元に戻った。
その中で……
ボグシャーーーー!
とんでもない轟音が響き渡る。
「あ、間違えた」
ハルがわざとらしく棒でポルコを殴り飛ばしたのだ。
ポルコの小太りの体がゴロゴロと転がる。
「わはははは、やるな!フルスイング」
ガレットは魔獣を相手にしながらもハルの一撃に爆笑した。
「お、おれは、魔物化して…ねぇ」
うめきながら這いつくばっているポルコのポケットから銀貨と水晶が転がり落ちた。
「こ、これは……」
「あ、ああ……」
村人たちが注目する中でポルコが慌てて隠そうとする。
「政府銀貨……おまえ!俺らを売ったのかっ」
「この水晶は『結界石』だ。お前が犯人か」
村人たちの怒りがポルコに集中する。
「ち、ちがっ、俺はなにも……はるがぁ」
「ハルは俺たちを救ったじゃないか!」
「この嘘つきめ!」
怒声と殴打する音。
「だ、誰かっ助けっ、俺は悪くない、ハルがっ」
ポルコが袋叩きにされながらもハルに擦り付けようとする。
「まだ言うかっ」
糾弾する村人。
ハルとガレットはそれを一瞥しただけで「興味ない」とばかりに残りの魔獣へと向かう。
ポルコの悲鳴と村人の怒号。
ガレットとハルの魔獣退治がしばらくは続いた。
ジャガイモ仲間へ
ハルくんはようやく村での出来事を清算することができました。
堪え続けた日々は弱さではなく「勇気」の証明です。
そして今、現実の荒波の中で歯を食いしばって耐えている貴方も、彼と同じように、いえ、彼以上に『強い』存在です。
この作品を通したエールが、一人でも多くの「仲間」に届きますように。
皆さんからの応援をいただけると、まだエールが届いていない「仲間」にも届けられるかもしれません。
よろしくお願いいたします。
次、ハルくんたちは「オルジュの街」へと向かいます。そこでも新たな出会いが…




