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第204話 取り調べ?いや、捕食者の群れの中?ジャガイモは今日も平常運行。



「あ~、それでは、君は偶然居合わせたと」


イスに座る毛むくじゃら。


面長と言うよりは、細長い顔。


「はい」


僕、「ハル・ロッシェ」は俯いて答える。


ここは、アダマス自治区。メタラム集落。


ドワーフが治める、政府すら手を出せない場所だ。


あの時、リャナンは、3人の獣人を斬り捨てた。


おそらく、暴漢か何かだろう。


この「アダマス地区」では日常茶飯時。


日中の表通りは「安全」。


裏路地、及び日没以降は「無法者の世界」。


特に「警備隊」の庇護下にあるのは、「登録された住民」と「ギルド登録のある者」のみだ。


今は死体となった「獣人族」は、登録されていない。


つまりは、「よそ者の冒険者か何か」。

「勝手にいざこざを起こして、命を落とした」と片付けられた。


「ふゅしゅしゅしゅしゅ!そんなに身構えなくてもいいんだよ」


にこやかに笑う「毛むくじゃら」。


いや!ムリ!どう考えても怖いってっ!


そう、僕の目の前にはスーツを着た「オオアリクイ」が腰かけている。


その後ろにも、「警官」の服装をした3人(?)の「オオアリクイ」。


時々さ、舌を「ぴゅるっ」って出すのやめてくれないかなぁ!


なんか、耳から「脳みそ」吸い出されそうで怖いんだよ!





事は遡ること数時間前。


「どうしよう、コレ」


僕は呆然と佇む。


そこへ、グイッと割って入る者がいた。


「?」


背の低い、小柄な毛むくじゃら。


何か全体的に四角い。ネズミみたいな顔。


「あ、あの~」


ツナギを着たソレは、いきなりモップを取り出して掃除を始めようとした。


え、何?このネズミ。


「ちょっと?『ネズミ』さん?」


僕が声をかけると、その毛むくじゃらは睨み付けてきた。


ササササササ!


ボードを取り出し、素早くペンを走らせる。


なんだろ、白っぽいボードに文字が―――――


〈 「ネズミ」じゃねぇ!「ウォンバット」だ!! 〉


そう書いたボードを僕に向ける。


あ~、ウォンバットなんだぁ~


って、違う!


何でその「ウォンバット」が掃除はじめるのさ!?


しかも、服着ているし、大きさや二足歩行から「獣人族」なんだろっ。


「ちょっとぉ待ったあぁっ!」


声に振り返ると、タイプの違う「毛むくじゃら」の集団が、向かってくる。


「現場の確保ぉ!」


先頭の「ソレ」が叫ぶと、後続の「毛むくじゃら」が速度を上げて向かってくる。


「っ!?」


ナニあれ?細長い顔の獣が「警官」の格好をしている。


あれって「オオアリクイ」?


「ウォンバット」が立ちふさがった。


「何のつもりだ!『チモシー』!?」


「穴掘りネズミが邪魔をするな!」


向かってくる「オオアリクイ」たちが口々に叫ぶ。


〈「掃除」の邪魔をするな〉


「チモシー」と呼ばれたウォンバットはボードに書いてオオアリクイ達に向けた。


にらみ合う「獣人族」たち。


なんなの、この絵面。


「こらこら、『チモシー』。掃除は現場検証を終えてからだと何度言ったらわかるのですか」


にらみ合いを続けるオオアリクイたちの間を割って、進み出るスーツを着た「オオアリクイ」。


〈 ペペ警部 〉


チモシーが「ボード」に記す。


おそらく、ペペ警部というのはこの「オオアリクイ」の名前だろう。


「現場検証が終わったら、心行くまで『掃除』していただいて結構ですから」


そう言うと僕とルーダをを見る。


「フム。君たちが第一発見者だね」


紳士的な物腰で僕たちに向き直る。


「あ、はぁ、まあそうですが」


僕は面食らって間の抜けた返事しかできなかった。


「現場検証を始めます」


他のオオアリクイ達が「ペペ警部」に告げる。

どうやら規制線を張り終えたようだ。


「ああ、頼むよ」


「ペペ警部」は頷く。


オオアリクイの「警官たち」が規制線の中を歩き始める。


ぴゅるっ!ぴゅるっ!


時々、舌を伸ばして地面を舐める。


〈うっわぁ……さすがにアタシでもこれはキツイわあぁ〉

【棒ジェ】さんが引いている。



「加害者は女性だ」


「そこまで大柄ではない」



地面を「ぴゅるぴゅる」舐めながら警官たちはメモを取っていく。



「さて、君たち二人には署に来てもらうよ」


ペペ警部が言う。


「いいね?少年」


僕は問われて頷くしかなかった。


「ああ、そこの『彼女さん』も」


ペペ警部はルーダをつぶらな瞳で見る。


ルーダは一瞬、自分に言っているのだと分からなかったらしい。


自分を指さして確認した。


「そうですよ。君に言ったのだけれど違ったかい?」


ペペ警部が首を傾げる。


「いえ!いいえっ、違いません!『彼女』さんですっ!」


ルーダが鼻息荒く言った。


「彼女ですからっ!彼氏とは一緒に行きますとも!」


〈うわあぁ現金な奴ねぇ〉

【棒ジェ】さんが呆れてため息をついた。





そして、現在。


「フム、ハル・ロッシェくん」


悩まし気に言う。「オオアリクイ」。


「君は『強制退去』だな」


ペペ警部が言う。


「第一発見者とはいえ、犯人との関連も否定しきれない」


「だから、君を危険分子とみなし、この街からの『強制退去』だ」


まあ、もともと、引っ越しを予定していたし。


「向こう半年はこの街に立ち入りを禁じる」


「執行猶予もつけよう」


何とも寛容なお言葉。


「君たちが『ギース』さんの関係者だから、特別なのだよ?」


そうペペ警部は言う。


「この『長雨が終わるまで』か『2週間』のいずれか長い方だ」


そう悪戯っぽくペペ警部は片目を瞑って見せた。


え?あ!?そういうこと?


僕が「引っ越す」予定だってこと知っていたんだ!


「忘れ物しても、取りにこれないからね。十分に支度をするんだ」


ペペ警部って、すっごく優しい人じゃないかっ!


そして、ペペ警部は笑う。


「タレ込みをしてくれた『黒猫さん』に、後でお礼を言っておくんだよ?」


は?クロネコ?


僕とルーダは顔を見合わせた。


「彼女が私たちに事件が起きたことを教えてくれたんだ」


「しかも、『君たち』のことについても教えてくれたね」


あ!?「クロエ」?


「でも『取り調べはちゃんとしないとダメだニよ』って」


ペペ警部は意地悪そうな顔になる。


「『本当に知り合いか心配だからふたりの関係とかつっこんで聞いてみるといいニ』だって。ふしゅしゅしゅしゅ」


面白がって僕たちを眺める。オオアリクイの警察官。


「で?実際のところふたりの関係はどうなんだい?先の英雄。『ジャガーノート』くん」


うおおおおおい!


なんでアンタは「クロエ」のテキトーな話に乗っかってるんだ!?


ジャガイモ仲間の皆さんへ


今日もお疲れ様です。


暑い毎日、夏バテしていませんか?

じめっと迷惑な人にうんざりしていませんか?

蚊みたいにまとわりつく人に困らせられていませんか?


そんな困ったちゃんを、涼しい所でクールダウンしながら、頭の中で「ペペ警部」に確保してもらいましょう!


今日も1日、一緒に頑張っていきましょう!


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