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第182話 黒鷹&鴉天狗の共闘!そして農家は高温被害を心配する。




「くそう!空に逃げられたら手が出せないじゃないか」


フィンレーが叫ぶ。


「任せろ!」


ガレットさんが叫ぶ。


あ……「戦場の覇者」!いや、「空を制する者」。


「黒金の鷹」ガレット・グランハートさん!


即座に「足場」をつくり、跳んでいく。


空にあって、「ハシビロコウ」からの蹴りはない。


嘴で捉えようとしても――――


「ぬるいぜぇ!」


なんと、大剣でぶん殴ってしまった。


とんでもない「剛力」。


って、これに対抗していた「リュック将軍」もとんでもないな。


「僕もいるよ!」


ハティさ~~ん。なんでいるのかなぁ?


せっかくガレットさんが目立ってるんだよ?


「天狗の秘術・鴉天狗!」


ガレットさん同様に空を「駆けて」いる。


『叩き落とす』


ふたりの声が重なる。


ハティさんの銀の腕に紫電が走る。


「【神王の光剣クラウ・ソラス】!」


右腕から放たれる「光」。


剣のように象られたソレが飛び、途中で幾条にも別れながら「ハシビロコウ」を襲う。


飛びながら逃れようとするが、執拗に追い、「光剣」は貫く。


「トドメは、俺が決める!」


速度が落ちた「ハシビロコウ」。


あとは堕ちるばかり。


その上空にガレットさんがいた。


「戦技【黒金のアイアンホーク】!」


急降下する。


大剣の一閃。


剣がハシビロコウの巨体にめり込み、勢いのまま地面へと突っ込んで行く。



ドゴゴオオオオオオオン!


とんでもない轟音。


地面に落ちたハシビロコウ。



「よぉぉぉしゃあああ!ヴィクトリーーーーー!」



伸びている巨体の上で、ガレットさんが勝利の雄たけびを上げた。





「あ、北側から軍が!」


その言葉に皆が険しい顔をする。


共和政府の兵だと思ったのだ。



だが、砲撃音の合間に聞こえる雄たけびは奇怪なものだった。


「ヒーー、ハァーーっ!」


「俺たちならぁ」



『できるっ、できるっ、デキルゥゥゥ!』



陽気ともとれる声。


「あの『暑苦しさ』……」


ティアは眉間を抑えた。



「ウィーーーアーーーー」


「ヴィクトリャアアアア」



間違いない。


最強の傭兵団「黒金の鷹」だ。



「お頭ぁぁぁ!」


「中に入れてくれよぉぉぉ!」



城塞都市に向かってひた走る。






「ハシビロコウ」は倒された。


だが、「五将」たちはそちらに釘づけだ。


城塞の守りは手薄。


たとえ、アンジェが守っていても。



『―――開門かいもん


『七つの封印は解かれ、偽りの天は剥がれ落ちる』


『沈黙の神よ。

      記したまえ、忘却の理を』


『万物を等しく無に回帰させよ』



響き渡る詠唱。


そして宙に浮かぶ「漆黒」の球体。


詠唱と共にその大きさを増す。


黒い球体の中で星霜が瞬くかのように光が明滅する。


ゴゴゴゴッ―――――


地鳴りがする。


戦略級の極大魔術。


一都市を容易に消し飛ばすほどの威力をもつ「ソレ」。


「本隊の到着を待つまでもない!」


「これで消し飛ばす」


「誰も穿つことのできなかった『深紅の盾』を我々が破るのだ――――」



―――『【終焉の黙示録ジ・アポカリプス】!!!』



魔術兵たちが「術の名」を叫ぶ。


黒い球体から、極光が放たれた。


光の奔流が都市を飲み込もうとした。



だが、それを阻む者がいた。



「やあああああああ」


少年が割って入る。


―――――――――――スン



まばゆい光が一瞬で掻き消える。


それどころか、先ほどまでが嘘のようにのどやかな景色が広がる。


「あ……?」


「え……?」


魔術兵たちは何が起きたのかわからなかった。


あれだけ魔力を込めて放った「極大魔術」が。


音もなく「消失」した。



『ええええええええええええっ!?』





やっば、なにアレ。


メッチャ明るくなって、熱かったんだけれど。


真夏の畑並にキツイよ。


あんなことされちゃ作物が「高温障害」になりそう。


ジャガイモさん、二次成長しちゃうって。



それに、なんかあの人たち「終焉の黙示録ジ・アポカリプス」とか叫んでなかった?


なになに、みんな「ティアさま」のお仲間?


痛々しいよ。


って、なんで頭抱えて泣き叫んでいるの?


情緒不安定な人たち?


それとも「青少年の主張」?そういう年ごろには見えないけれど。




「よくやったっ、ハル!」


騎兵たちが向かってくる。


「あ、ウルフスベインさん!」


「さっすが、『不可抗力の破壊者ジャガーノート』だ!」


泣き叫んでいる「痛々しい人たち」を跳ね飛ばしながら駆けてくる。


「お前も、早く来い。『プレゼント』があるぞ!」


ウルフスベインさんたちは、「門」から街の中に入って行った。



「ハルっ、戻りますよ!」


エルザさんが声をかける。


僕は無残に伸びている「痛々しい人たち」を見る。


(どうか、これを機に)


(風にそよぐ「ジャガイモのお花さん」みたいな穏やかな気持ちを持つようになってね)


そっと祈りを捧げる。



重い音を立ててエルザさんが「門」を閉じた。




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