第181話 「ハシビロコウ」が……飛んだ!?泥沼の戦い。
「とにかく!あのデカブツ!何とかしないとなっ」
ガレットさんが駆ける。
「うぉぉぉら!」
大剣を振るい、「脛」を薙ぎ払おうとする。
「っ!?」
咄嗟に剣を止めて横に転がった。
シュゴオオオオオオ!
一瞬で暴風が吹き荒れる。
その先が消し飛んだ。
それだけではない。
ッドドドドドド!
なんと巨大な嘴で大地ごと削り取るようにして襲ってくる。
これ、「広域殲滅魔術」相当の破壊じゃないの!?
これでは下手に近づけば、全滅だ。
けれども、五将は並のメンタルではない。
「分散して狙いを逸らすぞ」
バラバラに動いて攻める。
まあ……いっつもバラバラだけれどさ。
「ファーーーハッハッハッ」
ティアさまが笑う。
「オマエの動きは見切ったわぁ、グスがぁ」
そうだ、高速移動できるティアさまなら、一瞬で……
バシャバシャバシャ―――――
ハシビロコウは「小水」を足元に輩出した。
「ぎゃああああああ」
ティアさま「高速旋回」。からの華麗な転進による完全回避。
説明しよう。
「ハシビロコウ」はその巨体ゆえに、熱を持つ「暑がり」さんなのだ。
そして、じっとしているため、己を冷却するため、足元に放水している。
――――ズズズズズ
ハシビロコウの排出した「水」それが渦巻く。
「なんだっ!?」
魔力をともなったそれは周囲の「水分」を引き寄せて沼を形成する。
ジュウウウウウウ
巨大な泥沼。
巨大なハシビロコウ。
「ち、近づけん」
「近づきたくない」
大地は「ハシビロコウ」の御小水で形成された沼地。
ここに踏み入るには勇気がいる。
そして、機動力を削がれ、ももたついている所、秒速300メートルの「蹴り」。
狙いすましたその蹴りは、全力回避しなければ致命傷。
厄介すぎるよ!なんなのこの化け物!?
「こ、ここは……」
皆が覚悟を決めた顔をする。
ガシィィィィ
僕の肩を掴む。
「頼む!ジャガーノート」
「君しかいない!」
はい?どういうことですか。
「あの『沼』を消してくれ!」
え?ええええ?
「魔力で形成されているアレは、お前なら消せる!」
「うまくいけば、伝播して『ハシビロコウ』も消せる!」
「失敗しても!失うものは何もないはずだ!」
〈いやあああ!絶対に嫌!〉
【棒ジェ】さんが抗議する。
〈あれ、あれって鳥のお●っこでできているんでしょ!〉
あ……
〈そこに、アタシを突っ込もうってのぉ!?〉
確かに嫌だよね。
「頼む。みんなの命がかかっている」
皆に拝み倒される。
「ハル様!なんとかお力添えを」
〈ロッシェ!アタシ絶対に嫌だからね!〉
「お願いだ!ジャガーノート」
〈アタシが汚されてもいいっての?〉
「ハル!」
〈ロッシェ!〉
あああっ、あああああ!
僕はどうしたらいいんだ。
「なあ、ジャガイモよ」
ティアさまが言う。
「普段からその【土寄せ棒】で土を耕しているのだろう」
「はい」
「ならば、堆肥を土に混ぜ、その土も耕してるのではないか」
僕は固まった。
そ、そうだった!
冷静に考えればそうじゃないか。
彼女は「経験済み」だ。
何をためらうことがあろう!
〈え?ええ?ちょっと……〉
僕は【棒ジェ】さんを構える。
〈うそ、嘘よね?ロッシェ?〉
大丈夫さ。僕は、君がどんなであろうといっしょにいるよ。
〈やめ……やめてぇ、ね?ロッシェ〉
僕たちは最高の【相棒】さ。
いくぜええええ!
〈いやああああああああ!〉
「【星霜の洗滌】!」
――――――スン
その泥沼に【棒ジェ】さんを突っ込んだ。
音もなく消えていく泥沼。
さすがに元になっている「水」は消せないけれど、形を保つことなく地面へと染み込んでいった。
バババババババババババ
ハシビロコウが鳴く。
そして、伝播する「浄化」から逃れるように飛び立った。
「ああっ!?」
「ハシビロコウがぁぁ!」
「コウノトリがぁ」
『飛んだぁぁぁ!』
いや、立てなかった少女が立ち上がったような言い方しないでよ。
「アイツ、飛べたんだ」
「まあ、飛べない鳥はただの鳥だからな」
おい、どっちも変わらないじゃないか。




