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第179話 アンジェ激怒。「犯罪になりたいんかっ!」。外は数万の包囲網。内輪はドロドロの修羅場。主人公!何とか「スン」してくれ……って、お前もか!?




ウォルター・H・ウォーロックは車中で思案していた。


「ランドルフ」「リュック」両名からの連絡が途絶えた。


拘束されたか……やられたか……


そうなれば「五将」のいずれかが相手であろう。


そして、ロナウへ与えた「不浄の悪魔」の「恩寵」も消えた。


自身の「デッキ(山札)」でも「主力」である者がこうも容易く……


じつに忌々しい。


十年近くかけて、集めたというのに。


やはり、「はじめから持ち得ている者」たちなど、許しがたい。


これだけ時間をかけ、力をつけて、カードを適切に切ったはずなのに。

こうもすぐに覆される。


理不尽な暴力で壊される。奪われる。


そう、「俺」はかつて奪われる側だった。

虐げられた。

バカにされ続けた。


でも、生まれ変わったのだ。


そして、「奪う側」に立った。


それでも、「俺」を疎んじる者は現れた。


「流転」「マクスウェル」……


アイツらは「俺」の力が強大になることを恐れた。


そして、倒せないと悟ると「封印」した。


忌々しい。


同じような境遇のお前たちなら理解できると思った俺がバカだった。


だから、「封印」が解けると共に王国を去り、帝国に身を寄せた。


時間をかけて「力」を取り戻した。


「不浄」の力も得た。


俺の「ギミック」は完璧だったはずだ。


万全を期し、暗愚な王を討つことができた。


俺は救国の英雄のはずだ。


「共和制」という奴らにはない発想を取り入れ、発展を試みた。


多くの者は賛同し、俺を「救国の徒」として称賛した。


それなのに……



馬車が止まる。


「戦場に着いた」


馬車の扉を開けて、「ディアブロ」が言う。


応じて、「ウォルター」は外へ出た。


眼下に広がるのは戦後間もない城塞都市。


門は打ち砕かれている。


防御も何もない。


これでは備蓄もままならないだろう。


籠城もできまい。


奴らが攻城で疲弊した今は容易に捻り潰せる。


「デッキ」は消耗しているが、まだこちらの「ギミック」は生きている。


まだ、立て直せる。やり直せる。


そう、俺はいつだって「やり直せる」。



ウォルターは全軍へと支持を出す。


「魔術兵、展開。四方より砲撃」


言葉に伝令が飛ぶ。


「誰一人逃がすな」


冷徹な言葉。


転移魔術を駆使し、四方に「魔術師」たちが配置する。


それを知らせる伝令が来ると、ウォルターは腕を振り下ろした。


「砲撃、開始!」


まずは、無詠唱でも放てる魔術で牽制。


時間差で詠唱を必要とする「戦略級魔術」で制圧する。


簡単なことだ。


カードの切り方さえ、間違わなければ――――――



――――――ゴウッ!


嵐のように炎が吹き荒れた。


魔術兵たちの放ったものではない。


「――――ッ、これは!?」


ウォルターは呟いた。


「守護者!アンジェ・フラン・スカーレットかっ!?」






天をも突く炎の壁。


それは、天蓋のように都市を覆い尽くす。


「??っあれ?」


コリガンとクロエ、ジャンヌが街の中に座り込んでいる。


「こりがぁぁぁん!ぶじだったぁぁぁ?」


義兄弟たちが駆け寄る。


「う、うん……」


状況が飲み込めず、コリガンは頷く。


「コリガンたちがここにいるってことは」


みんなで街の防壁を見る。


ゆっくりと降りてくる少女。


金色の髪に紅玉の瞳。


体の外で渦巻く「炎」が、まるで「熾天使」の翼のように羽ばたいてる。


炎の燐光でさえ、「天使の羽」に見える。


あまりにも神々しい景色。


街の人々は、あまりの美しさに膝をついた。


降り立つ少女。


憂いを込めた表情。


儚げなその少女が面を上げる。


「あ―――――」


皆その美しさに声を失った。


ギヌロォォォン


少女が目を剥く。


「――――ぶっ殺す」


そう言って足音を立てて歩く。


殺意に満ちたその顔に、人々は道を空けた。


彼女の向かう先、そこには羽交い絞めにされている男がいる。


辻の中央で「ハラキリ」を敢行しようとしてる「ハティ」。


「あ……」


鼻水にまみれたハティが顔を上げる。


バチコーーーーーン!


横っ面を引っ叩かれてハティが転がる。


「アンタぁぁぁ!浮気なんてそんな甲斐性あるんか!」


……見た目はさておき、「肝っ玉母さん」だ。


ハティは頬を抑えてガクガク震えている。


「若い子がいいんか?ぴっちぴちが良いんかい!?」


「違います違います違いますぅぅぅぅ」


ハティがアンジェに縋りつく。


「オマエ、『犯罪者』になりたいんかっ!」


「そんなつもりはないんですぅぅぅぅぅ!」


あまりのことに全員が固まっている。


だいたいにして、「街を守る壁」をつくっているのはアンジェだ。


機嫌を損ねれば、即「スン」されて砲撃の嵐である。


皆仲裁をためらっている。


「金髪ロリエルフ」に縋りついて泣く「銀髪王子様系イケメン」。


(……うん、「修羅場」だ。)


本作の主人公(忘れられそうだが)ハル・ロッシェは思った。


〈ああ、ママン~、夫婦喧嘩は子供の教育にはよくないわっ〉

【土寄せ棒】の「アンジェ」さんが呟く。


〈まぁ、アタシは、ママンの味方だけれどねっ〉


そう、【土寄せ棒】の「アンジェ」はその名前のとおり、「エルフのアンジェ」の分身だ。


いや、「アンジェ」から過去漏れ出た「妄執」が【棒】に宿り、「人格」を得たもの。


ゆえに【棒ジェ】にとって「エルフの本家・アンジェ」は母親も同然だ。


「うるさいうるさい!もう、婚約破棄……」


アンジェは言いかけたところでハッとする。


エルザ、リムアン……ティアまでがなぜか期待に満ちた目で見ている。


「ゲフン、ゲフンっ!もといっ、逃げ場全部燃やして逃げられないようにしてやる!」


そう声高に言った。


『チィッ!』


周囲の女どもは盛大に舌打ちをした。





現在、攻略したばかりの都市を「共和政府軍」に攻められている。


いくら「最強」と呼ばれているメンバーがいても連戦は厳しい。


補給も援軍もなく、民衆を守らなければならない。


なのに……うちわの「恋愛関係」でもめている。


(あんたらっ、状況わかってんのかよぅ!)


そう叫びたかった。


でも、彼は言えない。


「他人の恋愛に口出しする奴は牝馬シュトゥーテに蹴られて死んでしまえ」という格言があるからだ。


第一、おかしいのだ。


サブキャラのはずの「ハティ」がモテていることが。


守護者・アンジェ(ロリBBA・ハイエルフのヤンデレオカン)


鉄血の女傑・エルザ(旧・帝国の女傑、現・不沈艦ストーカー)


最速の騎士・ティア(中二病・腐女子)


あ……おかしすぎる面子だ。


そこに、今回、「リムアン」という義理の娘が爆弾を投下した。


見た目は「ロリ」でも、「21歳(現在)」という「業の深さ」。


魔術の砲撃は続いている。


でも、「深紅のシールド・オブ・スカーレット」の「盾」の前ではただの騒音でしかない。


(もう、もう……終わりにしてやれよぉぉぉ)


内心、ハルが慟哭する。


(大丈夫だよ!「ハーレム」やろうよぉっ、お前が「犠牲」になれば丸く収まるんだって)


ハルは何とも言えない悔しさで地面を叩いた。


だが、気づいていない。


主人公よ……


君も「狙われている」ことに。


あえて言うまい。


その「楽しみ」は残すべきだ。


もしかしたら、「不動票」が、君へと動くかもしれぬのだから。





「ええい!埒が明かぬな」


ウォルターが言う。


「やはりアンジェ相手では『魔術』は利かぬか」


「ならば、次のターンでは」


ウォルターが手を振るう。


ズバババババババババ!


けたたましく響く轟音。


「圧倒的な『質量』相手にはさしもの守護者でも抗えまい」




ジャガイモ仲間の皆さんへ


今日も1日お疲れ様です。


今日はゆっくりできましたか?

それとも相変わらずお忙しい日?


まずはゆっくりとお風呂に入って「スン」とストレスを流せたら良いですね。




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