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第171話 傷心のアルス、新しい「扉」を開く?そしてハンデ戦のエリーゼさんは?……笑ってるし…



「ひぃぃぃぃぃん」


僕が目したのはリャナンに縋りついて泣いているアルセイスだった。


「おねえちゃぁぁぁん」


え?アルセイスって弟だったの?


「もう、3ヶ月しか違わないのに」


「よしよし」と頭を撫でている。


「ありがとぉぉぅ、たすかったよぉおおう。こわかったよぉぉぅ」


なんか、ハティさんのダメなところに似てるなぁ……


そんな泣きわめくアルセイスから、ほんのわずかだけれど、「黒い靄」が見えた気がした。


それは、コレットも気づいたみたい。


口元を覆う。


菌糸のような煤が……


これは、ダメだ。


〈ロッシェ、アタシでイケメン君を!〉

【棒ジェ】さんの指示。


……あ、「アンジェ」さんもアルセイスをイケメンって認識してたんだ。


――――スパーーーン。


僕は咄嗟にアルセイスの頭を【棒ジェ】さんで叩いた。


「アルスっ!」


僕は声をかけた。


「君は……弱くない。辛いことがあっても、立ち直れるよ!」


思わず声が大きくなった。


「だから、そんな君に、力を貸して欲しいんだ」


手を伸ばす。


だって、僕に触れているだけでも魔力は「スン」できるから。


「あ、ああああ」


アルセイスが手を伸ばす。


がっしりと握った。


「はぁぁぁん」


熱いため息が漏れ出た。

アルセイスではない。


隣で見ている「腐」属性の女子たちだ。


「熱い!熱いぞぅ!」


「どどどど、どうしよう!『新たな扉』が開かれるの!?」


もう……うるさいよ。


「僕はっ、僕はハルについていくよっ!」


アルセイスまで何言っているの!?


「『心の友』と呼んでいいかなっ!?」


がっしりと手を握られる。


「ね、ね?」

アルセイスの熱いまなざし。


断れるわけないだろ……


「よろしく……たのみます」


オオオオオ――――


万雷の拍手。


あのさ、周囲でまだ「みんな戦ってる」んですけど?


ほんんっっと、凄いよね。


周りで戦い続けている方々。


メンタルどうなっているのさ。


「ふふふ、『アンジェさん』。俺の活躍見て、『プリン』あ~んしてくれるかな」


「お、俺は『エリーゼさん』に褒めてもらうんだ。『やるじゃないですか』ってツンデレで」


あ~、フィンとスヴェンが「限界突破」しつつある。


これじゃ「菌糸」が憑りつく「黒い靄」は生まれようがない。


ジャジャジャーン!


どこからともなく……空耳かな?


ルーダが、フラメンコの踊り子「バイラオーラ」のようにステップを踏む。


いや、別にいいんだよ?


でも、周りの状況を見ようよ。


―――おい。


周囲には破壊の痕。


ぜったい、コイツがやったな。


銃身が煙をくゆらせている。


って、オーレ大丈夫?


「支えながら、クーリングと装填をずっとやてる僕の身になれよ」


頑張ったね。お兄ちゃん。


「ムチャス・グラシアス……エルマーノ(兄貴)!」


どっから来たのさ、その語学力。


とはいえ、ふたりとも満足そう。



……コイツらの「精神力」というか「妄想力」の前じゃあさ。


「黒い靄」から憑りつく「菌糸」も寄って来やしないよね。


ほんと、「憑りつく島もない」って感じ。


「精神干渉」しようとした相手が、嫌になるタイプ。



「ハル!」


コレットの声。


「あの先に『デベソ』があります!」


指さす。


あのさ、「魔力だまり」の出っ張りを「デベソ」言うの止めない?


「汚っったない『デベソ』取って!いい感じにお掃除しましょう!」


僕はその声に応じて【棒ジェ】さんを振るう。


僕にとってはただ、「畝づくり」の延長。

地面をふかふかに掘って、溝をつくるだけの動き。


「よおぉぉぉいしょおおおお!」


【棒ジェ】さんを振り下ろす。



――――――スン



地を叩いた。


さらさらの、ふかふかに地面が変わる。


パァアアアアアアア


光が差しこむ。


うん、この地は「ジャガイモ」さんの楽園に生まれ変わったんだね。





ギチギチギチ――――


ロナウの前に、ムカデ男が体をうねらせている。


エリーゼは嫌悪感で動けない。


「ここは、我々が―――――」


言いかけるフリードへ、エリーゼが手を差し向ける。


「私は、負けない」


エリーぜの呟き。


「私は導く者」


なおも言う。


「私は『騎士』」


「私の『騎士道シュバリエ』は何人にも侵されない」


まるで自分に言い聞かせるかのように呟く。


「貴様のような『ザコっぱち』これで充分じゃあああ」


エリーゼは叫ぶと、マントを引きちぎり、目隠しをする。


それだけではない。


端切れを丸めて両耳に突っ込む。


「はははははっ、これで不快な姿も見えない!音も聞こえないぞ!」


ある意味酷いことを言っている。


しかし―――――


「それでは、応じられないだろうがっ!」

ロナウの言葉はその通りだ。


「エリーゼ様!」


フリードの叫び。


ムカデ男がその数本の腕で剣を振るい、エリーゼに襲い掛かる。


だが、彼女は難なく避ける。


「ふふふっ、これは良い感じにハマりましたね」


不敵に笑う。


「私は今!絶好調です。万全でない故に、120%ぉっ!」


それから双剣を構える。


「我は白銀の虎エリーゼ!白銀のマクスウェルの爪牙にかかり、屈しなかったものは無かったと後世に語られるがよい!」



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