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英雄賛歌 ~元英雄が二度目の世界を再攻略する~  作者: 如月
第二章 英雄、冒険する
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021 裏ダンジョン

「ダンジョンか。」

「そうみたいだね。でも、上とは雰囲気が全然違うね。」


 そう。扉の抜けた先は暗闇の中で壁の松明がゆらゆらと揺れる不気味な通路だった。入り口から入ってすぐにT字路があり、左右に続く道が見えていた。

 ここが守護者の修練所であるとするなら、何という禍々しさだろうか。暗闇の中での戦闘を練習する場所とでもいうのか。それは定かではないが、肌をヒリヒリと突き刺すような感覚から、ここの攻略レベルが高いのが感じ取れる。


「慎重に進もうか。カルアとヴァンは頼むな」

「任せて。」

「後方は僕が見るよ。」


 斥候が二人いると前方と後方を見ることができるから、とてもありがたいな。前方だけ注意して、後方から奇襲されるという事態もしばしば発生したからな。

 このダンジョンは中々レベルが高そうだから、こういったリスクを回避できることは生存率に直結するのだから、重要だ。


「敵発見。」

「ん?……っ!!」


 黒い魔力を纏った鎧が一体。明らかに上にいた魔物とレベルが違う。このレベルの魔物が普通に徘徊していると考えると、確実に来る場所が間違えている。


 CNイビルアーマーLv39/100 Race:イビルアーマーLv19/70 Rank:5

 HP 11605/11605 MP 6685/6685 SP 7053/7053

 STR 234 VIT 545

 INT 315 RES 525

 AGI 423 DEX 455


「勝てない!!皆逃げろ!!“英雄賛歌”。カルア、力を貸してもらうぞ、“英霊招来”」

「任せて。」


 俺とカルアは光に包まれて、目線が少しずつ高くなっていく。そして、カルアは光の粒子に分解されて、俺の中に入り込んでくると、ぴょこん。

 ん?ぴょこん?猫耳が生えている。また、尻尾も生えてきてやがる。ま、マジか!!だけど、いつもより音がよく聞こえるし、それに身体の安定感も全くの別物だ。景色がぼんやりと揺らぐけれど、時間の流れが遅くなったようにゆっくりと動いているように見える。

 これがカルアの見る世界!!


 CNアルベルトLv86/100 Rank:10

 Race:闘人族Lv100/ Job:村人Lv30/30 村人ALv50/50

    ラスボス前の村人ALv70/70 勇者Lv82/100

 HP 2121/15925 MP 2331/11473 SP 2301/15749

 STR 804(593+211) VIT 700(540+160)

 INT 682(457+225) RES 672(513+159)

 AGI 819(551+268) DEX 814(565+259)


 CNカルアLv71/100 Rank:10

 Race:遊猫族Lv100/100 Job:盗賊Lv30/30 釣り人Lv50/50

    採集家Lv70/70 サバイバリストLv87/100

 HP 28117/28117 MP 48592/48592 SP 54436/54436

 STR 1412 VIT 1070

 INT 1500 RES 1060

 AGI 1788 DEX 1729


「……」


 (アル、気を付けて。身体に慣れていないから、攻撃を受けないように。最初は大きく避ける。)

 うおっ、カルアの声が頭の中に響いている。頭の中で会話ができるのか!?便利な反面、こちらの思考が駄々洩れなのは恥ずかしいような。可愛いっていつも思っているのバレるってことだろ。うお~~~~。

 (アル、うるさい。私が可愛いのは当たり前。じゃなくて、伝えたくないと意識すれば伝えなくて済む。)

 それ、難しいぞ。カルアに隠すことなんて別にないしな。いつも思っていることが伝わっても、変わらないだろ。伝えたくないって意識するの難しそうだな。

 (……いいから戦闘に集中。)


「はいよ。任せておけ。」




 カルアの固有スキルである縦横無尽はかなり無茶苦茶なスキルだな。壁を走り、天井に張り付き、そして宙を滑空するな。しなやかな動きで魔物を翻弄して、攻撃を受けることはない。

 だけど、相手に与えているダメージもまたそこまで多くないのも事実。


「このままではジリ貧だな。」

(アルの魔法は?)

「この空間では火属性は扱いづらいし、風は効果が薄いようだ。」


 実際に風魔法を行使してみるが、魔物は怯んだ様子もなく、またダメージもそこまで大きくないようだ。このまま魔法を繰り返すと、すぐにMPが尽きてしまい英雄讃歌の効果時間が過ぎてしまうだろう。


(聖剣で殴る?アルは卑怯だから。)

「卑怯って失礼な!!固有スキルだし、それをいうならカルアも卑怯だろ。」


 確かに俺は接触攻撃時は二度ダメージが発生するけれど、それを卑怯と言われても困る。だって、生まれつきのものだしな。

 それにそういうカルアも壁を走り、天井に張りつき、宙を滑空するのはズル以外の何物でもない。カルアの方がずっとずっと卑怯だ。


(あれを使う。)

「あれ?……ああ!!カルアのあれか。分かった。」

(制御は私に任せて。)

「信じてる。」


 そうして俺の意識は暗転して、肉体の制御権はカルアに託された。



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