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英雄賛歌 ~元英雄が二度目の世界を再攻略する~  作者: 如月
第二章 英雄、冒険する
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020 隠し部屋

「……思い出した。こっち。」

「カルア、待て待て。早いな。」


 カルアの尻尾がこれまでにないくらいに左右に振られて、興奮したようにふんすと息をはいている。久ぶりのダンジョンでテンションが上がっているようで、爛々と目を光らせている姿は流石は【冒険家】というところか。

 しかし、ヴァンはここまで困惑しっぱなしで、テンションの高いカルアを見たことがなかったのだろう。今にも倒れそうなほど目を回してしまっている。

 それに気が付いていないのか、あるいはあえて無視しているのか、カルアは俺の静止の声にも止まらずにすたすた歩きだした。


「おいおい。まぁ、仕方ないか。皆行くぞ。」

「うん。」

「か、カルアさん……?」

「それで秘密の部屋って言うのは何処にあるんだ?」


 先行する前に何処に行くかくらいは教えて欲しいものだ。秘密の部屋というくらいだから、意外な場所にあるのだろう。しかし、これで十階にあると言われても、ボスを倒せるかどうか。

 カルアほどの技量があれば、このダンジョン程度は簡単に踏破できるだろが、今の俺ではボスを倒せなくて詰む可能性さえある。


「すぐそこ。」

「……?床……ここは地下がないのではないのか?」

「ふふん。そこが勘違い。」

「ということは、地下への道を見つけたのか。」


 しかし、カルアが指したのはダンジョンの床である。意外といえば意外であるな。塔型ダンジョンに地下があるものもあるが、その多くは最初から開口されており、秘密の部屋なんてものになっているとは聞いたことがない。

 その地下への道を探し当てたというのなら、それは街の領主にさえ表彰されかれない凄まじい成果と言えるだろう。


「そう。付いてきて。」

「おう。分かった。」




 そこは入り口からそう遠くないところ。ちょうど上階に続く階段の反対側に当たる場所だった。一見ダンジョンは何も様相を変えていない様に見えるが、しかし、何かがあるようだ。


「ここ。一階に罠がある。」

「はっ!!そう言うことですか。罠と思って僕は無視してしまったけれど、それが秘密の部屋への入り口だなんて。」

「ヴァンもまだまだ甘い。」


 麗しい師弟愛ではないか。ううっ、カルアに弟子が出来るとは。絶対に人に教えられるようなタイプではないのに。すぐに興味を失っていなくなってしまう様な奴だぞ。それを感動だ。


「カルア~~~!!」

「アル。鬱陶しい。私も成長してる。」

「でもさ~、あの頃からは考えられないぞ。」

「ふん。いいから、行く。」


 カルアに抱き着いて頭を撫でまわしてやろうとすると、避けられる。そんなやり取りを複数回繰り返すと、満更でもない表情を浮かべながら、尻尾を上機嫌に振っている。

 カルアは無表情だけど、実は感情豊かなんだよな。尻尾とか耳はもっと素直だし、表情もよく見れば感情を読み取れる。可愛い奴だ。

 しかし、そんなこともカルアが床を踏み抜くとガコンという音と共に壁が崩れ落ちて、地下に降りる階段が出現した。


「おぉ!!流石カルアだな。」

「いいから、行く!!」


 照れちゃって~、でも知ってるぞ。語尾を強調して、怒っている風に見せても、耳がピコピコ動いているぞ。嬉しいんだろ~。このこの~。




「アル、聖剣。私からのプレゼント。」

「聖剣……?」


 螺旋階段を降り切るとそこには見上げるほど大きな扉と六体の石像が剣を持って立っていた。四メーターは優に超えるだろう石像は圧巻の出来で、今にも動き出しそうに見える。

 そこの中心には台座がおいてあり、その上に白金色の剣が置いてあった。刀身は幅広く巨大で、その芯となる部分には黒と青色の筋が入っている。ちょうどグラムが使っていたバスターソードに近い。


「……国守の聖剣“アレクシス”。人を守り、大地を守り、国を守る。所有者に頑強さと勇敢さをもたらす聖剣。」


 聖剣に触れると、聖剣に宿る記憶達が俺に何のためにあるかを教えてくれる。聖剣は光の粒子となり身体の中に入っていく。二本目の聖剣のゲットだ。硬さだけを求めたアレクシスは盾にもなる聖剣だ。


 EN:国守の聖剣“アレクシス” Rank:2

 攻撃力 16


 Ability

  1.ダメージ軽減Ⅱ

   ダメージを5%減少させる。


 そして、二本目の聖剣を手に入れたことで聖剣“エルメシア”にも変化が訪れる。聖剣エルメシアのランクが引きあがるのだ。また、聖剣は使いこなすたびに強化値が加算される成長する武器なのだ。


 EN:聖剣“エレメシア”+10 Rank:2

 攻撃力 26+10


 Ability

  1.属性攻撃強化Ⅱ

   属性攻撃のダメージを*1.2する。


「アル。進もう。」

「あの馬鹿でかい扉か。」

「そう。あそこの奥からお宝の匂いがする。」


 感慨に更けていると、カルアが大きな扉の前に立っており、こちらをワクワクした表情で見ている。本当に楽しみにしていたんだろうことが分かり、俺もまた楽しくなってくる。

 パーティーが扉の前に揃うと扉に手を当て、一斉に力を加えた。




 ――――――ギィ。という音と共に扉が開かれて、暗闇に包まれるその中に一歩足を踏み入れた。

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