013 買い物
今日の予定として店巡りをするつもりだ。装備類の更新や消耗品の補給、次回以降の野宿用用品などを購入するためだな。一応、事前に冒険者ギルドの受付嬢から情報を聞いてきた。
いくつかの店をピックアップしてもらえたので、そこによって良さげな道具が欲しい。特にアリスちゃんの武器を更新するだけで、今後の戦闘も楽になるだろうからな。
「というわけで、一軒目。武器屋だな。ここら辺で一番大きいらしい。」
「楽しみだね。」
「ああ。アリスちゃんに合いそうな武器があればいいな。」
この街でも最大規模の武器屋というのだから、きっと品ぞろえも悪くはないだろう。現状ではランク1の柏の杖を使っているしな。流石にそれよりも上のものはあるだろう。
最低でもランク2の武器、ランク3程度の武器が欲しいところだが、そのランクでもないと、攻撃力の上昇が少ないからな。武器強化まですると考えると、元の攻撃力が低くともランクが高いものを狙った方が良いのもある。
――――――カランカラン。武器屋の扉を開けるとここも所狭しと武器が並んでおり、壮観である。村の店も同じ感じではあったが、やはり規模が違うと取り扱う武器の種類も違い広さも圧倒的に広いため圧巻である。
見せるための宝石が盛大にあしらわれた剣もあり、それだけでもとても楽しいものだ。
「わ~、広いね。村にある店とは大違いだね。」
「ははは、だな。……あっちが杖コーナーみたいだな。」
「あっ、本当だね。どんなものがあるのかな~。」
テンションが上がっているのが俺だけかと思ったけれど、案外アリスちゃんもテンションが高いようで、楽しそうにしている。武器を買い替えるのも服を買うことと変わらないのだろうか。
防具もシリーズで見た目と性能を両立させたものが出るくらいだからな。そうそう、現在使っている防具も聖天使シリーズの系統だ。アリスちゃんの方はその双子コーデの小悪魔シリーズの系統だな。
小悪魔という名前であの際どいデザインにしたなら、開発者に一つ文句を言ってやりたいくらいだ。
「わ~、種類が多いね。これなんて良さそうだね。」
「お、いいね。」
EN:陽樹の魔杖+5 Rank:3
攻撃力 36(+5)
鑑定してみると中々いい品だな。今のアリスちゃんの装備の攻撃力が15のため二倍以上の攻撃力になる。装備するだけで相当強くなるな。
一つ気になるのはアビリティが付いていない事か。ただ、アビリティ自体付いていないものも多いため、仕方ないのだがな。ランク3であるなら0~1個程度だし、スロット自体ない場合も多い。
他のはどうだろうか。
EN:陽樹の魔杖+3 Rank:3
攻撃力 35(+3)
Ability
1.魔法攻撃力強化Ⅰ
INTを10上昇させる。
「それも今の装備よりも全然強そうだけど、こっちはどう?」
「うん。いい手触りだね。」
攻撃力と強化値が低くても、アビリティが付いていれば強くなる。単純に攻撃力48近くと考えると、一個目よりも強いだろう。
本来であれば強化値が高く、アビリティが付いていると値段も高くなるのだけれど、R3程度の武器であれば店側も、作成者も詳細鑑定に出すことがないため、同じ値段でいいものが買えることがあるというわけだ。
いや~、今更だが鑑定スキルって便利だな。
「お値段はいくらなんだ?」
「12,000だね。」
「……た、高いなぁ。」
流石にこのランクの装備だとそのくらいかかるのか。ランク4になったらどのくらいかかるんだ?……横を見ると60,000。手が出せないな。
ちなみに、性能はこちらだ。ランクを上げると強化上限も上がるため、単純に基礎攻撃力だけで評価できるものではないが、それにしても高い。
EN:妖樹の魔杖+7 Rank:3
攻撃力 48(+8)
Ability
1.魔法攻撃力強化Ⅱ
INTを20上昇させる。
うん。強いな。実質的な値が76だから、おおよそ1.5倍か。……それで6倍?っておもわないこともないが、攻撃力以上のダメージが上がるのだから、実際の効果はどの程度のものか。
「一応買えるね。」
「そうだね。今使っている武器を下取りに出せば、値札より安く買えるしな。」
「うん。」
武器などを交換する際に大体の店では下取りのシステムを取り入れており、中古品のアイテムを査定して、その値段に少し色を付けて買い取ってくれるわけだ。個人店で購入するとシステムが導入されていない場合があるので、そこは注意が必要だな。
単純に中古屋に持ち込むよりは高く売れたりするため、交換時には用いたりする。鑑定書などを一緒に持っていけば、より高く売れたりなんてこともある。
その関係上、このような店には中古コーナーも存在し、そこではさらに安く買えるわけだが、この店の品揃え的にランク2の武器くらいしかないだろう。
「一旦保留にしよかな。」
「ああ、他の店を見てからでも遅くないだろう。」
店の杖コーナーを見て回ってみたが、即断して買おうというものはなかった。ここで悩んでいても仕方ないため、受付嬢から教えてもらった他の店を見て回ってから、決定するのが最善だろう。
店から出ようと振り返ると、正面から三人組の男と目が合う。……残念ながら、一生会いたくない人間が二人揃っている。
「ああ!!親分、あいつです!!」
「あの野郎が俺らを!!」
「ああ?」
「……。」
また会ったな。低級冒険者二人組よ。前回は酒に酔っていたようだが、今回は素面らしい。素面であるはずなのに、まだ絡んでくるようだ。酔って忘れていればよかったのにな。無駄な事ばかり覚えていやがって。
それで、今度は三人か?親分という言葉を聞く限り、真ん中のガタイのいい大男がリーダーなようだが、小太りの男と細長い男を連れているくらいだ。碌な奴ではないのだろう。
「……こいつらが世話になったようだな。」
「別に世話をしてあげた覚えはないけどな。」
「ふん。話通りに生意気だな。ついて来い。」
どんな話をしたのか。それは定かではないが、愉快な状況ではないみたいだな。さて、どうしたものか。




