二月目 おまけ
翌日もまたどうしようもなく天気の良い日和であった。
慧乃は演劇部の練習があるとかで一足早く人成山へと出かけて行ったので、今日は一人登山の支度を調えると人成山の登山道へ向かった。
強い日差しの照りつける石畳の道を自分のペースで進んでいく。
そろそろ中層に辿り着こうという頃、小さな社のある休憩所に、一人の少女が佇んでいるのが見えた。
幻かと思い目をこすってみたが、どうやら本物のようだ。
何事かと思いながらも少女に近づくと、少女がこちらに気づき、ばつの悪そうな顔をして視線を逸らす。
「遊びに来るとは言ったが、昨日の今日で来るとは思いもしなかった」
話しかけるが少女――瑞岩知佳子はむすっとするばかりで何も返してこなかった。
「どうした? 何かあったのか?」
再び話しかけるが、知佳子は一言も返さず、そっぽを向いて、仕舞いには低いうなり声を上げ始める。
「そんな態度ではいけませんよ」
背後からかけられた声に振り向くと、そこには目の前にいた少女と瓜二つな少女が立っていた。
視線を戻してみたが目の前にはやはり知佳子がいる。
背後にもう一度目をやると、そこにも確かに知佳子がいた。
「えーっと……。こっちは知子だよな。ってことはこっちが知佳か……」
背後にいる方が言葉遣いからして知子だろう。
目の前にいた方は、よく見れば背筋は曲がっているし目つきがどことなく悪かった。
「…………」
無言でそんな様子の知佳を見つめていると、観念したのか低い、威嚇するような声を発した。
「……何よ」
「いや、なんでまた分裂してるのかなーって思って。良ければ教えてもらえないか?」
「うっさいわね! 私が何人になろうと私の勝手でしょ!」




