006 襲撃事件
ひとりで軍事バランスを崩してしまう存在、それがジョン・プレイヤーという存在なのであろう。世界と戦うことに意味があるかどうかはさておき、抑止力としては申し分ない。
「まぁ、期待値込みだろうな。それほどアンタの魔力は末恐ろしいから」
「ジョンさんも言ってたけど、僕の魔力ってそんなにすごいの?」
「すげぇさ」と即答した。「アンタくらいの年齢で、身体が震えるくらいの魔力を持つヤツはいない。神様がいたずらしたのかもな」
「嫌な神様だなァ」
「けど、新魔術がなければ優れた魔力も意味ない」フロティーは小瓶を取り出す。「今や21世紀なんで、コイツを飲めば新魔術も発現できる。なにが入ってるか知らないけど」
「そんなものを飲めと?」
「飲むか飲まないかは自由だよ」
シズクは、フロティーから小瓶を受け取り、栄養ドリンクのように飲み干す。
あまりにも躊躇ない飲みっぷりに、フロティーは口を間抜けに空けてしまう。
「アンタ……どうかしてるぜ」
「よく言われるよ」
「ま、まぁ。そういう面ぁしてるもんな」フロティーは続ける。「このポーションは、ちょっとした野暮用で手に入れたんだ。だいぶグレーな方法でな。アンタ知らないだろうけど、MIH学園の裏側を取り仕切る〝ウィンストン・スペンサー〟の子分から強奪した代物なんだよ」
「へー。なら、僕も狙われるのかな」
「そりゃ、アイツらはトサカに来てるだろうよ。けど、もう現物がない。一度飲んだポーションは、身体をバラバラにしても取り返せないからな。だけども」
「だけども?」
「そのポーション、20億メニーで売れるらしいんだよ。あたしはカネに興味ねぇけど、ウィンストンの一派がムカつくから強奪してやったんだ。ま、せいぜい気をつけろよ。ウィンストンは、父ちゃんと同じ〝セブン・スターズ〟に属す先輩と仲が良い。腹いせに殺されるかもしれない」
「ふーん」
シズクは全く慄いていない。どうせ一度死んだ命だから、怖いものなんてお化けくらいしかいないのである。
ただ、フロティーからすればシズクの態度は投げやりに見えたようだ。
「せっかく生まれたんだから、命を粗末にするなよ? いざとなりゃ、あたしの父ちゃんに頼れば良いからさ」
*
異世界に来てから3日目。シズクは未だ不眠症である。ジョンが用意してくれたベッドに寝転がるも、まるで眠たくならない。あしたにでも心療内科に行こう、とシズクは起き上がり、ベッドの上に座ってボーッと虚空を見つめていた。
「異世界だからって、不眠症が治るわけじゃないか」
そうボヤき、シズクはテレビをつける。深夜ということもあり、アニメがやっていた。
魔法少女になった子が、人知れずアンゲルスに潜む悪を倒すような内容。どこかプロパガンダ感は否めないが、他にやることもないので、シズクはそれを眺める。
そんな最中、
窓ガラスの割れる音が響いた。2階からだ。シズクは身体を伸ばし、音の元へ向かっていく。
「多分、フロティーさんの部屋だな」
フロティーなら自己防衛できそうだが、一応ヘルプしておくべきだと思い、シズクは階段を降りて2階のフロティーの部屋へ向かう。
部屋を開けると、爆睡するフロティーとマスクをつけた者がふたりいた。
「良く寝られるな。羨ましいよ」
強盗? は、シズクを捉えた瞬間、エネルギー弾のような現象と銃弾を放ってくる。
「なんだ、クソガキィ!!」
普通なら死ぬ攻撃。
けれど、シズクは動じない。死に対して麻痺しているのか、それともポーションの効果を信じているのか。
結果、
エネルギー弾のような現象と、ハンドガンの銃弾は溶けるのだった。
ようやくアクションパート……




