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自殺したら最強幼女に転生しました──TS少年シズクは圧倒的魔力で嫌々無双する  作者: 東山統星
序章 天は自ら助くものを助く

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011 MIH学園へようこそ

「つ、強ぇ……」


 フロティーは驚嘆の声を漏らす。まさかスペンサー・ファミリーのナンバー3に勝ってしまうとは、思い寄らなかったからだ。

 氷漬けにされたルーサーを尻目に、シズクは先ほどの少年の元へ駆け寄る。身体を揺さぶるのは良くないと思い、医務室……というか病院へ連れて行くために、フロティーに言う。


「救急車呼んでください」

「あ、あぁ」フロティーは今ひとつ歯切れが悪い。「アンタ、強ぇな……。暗い顔してるから、てっきり弱ぇのかと」

「強い弱いは関係ないでしょ。大事なのは、このヒトが適切な治療を受けられるかどうかです」

「そりゃそうだけど、アンタ、スペンサー・ファミリーに狙われるぞ? 面倒事は嫌いなんだろ?」

「嫌いですけど、目の前で磔にされてるヒトを見捨てるくらいなら、面倒事も致し方ないですよ」


 それは、シズクなりの覚悟だった。エコロジーに生きたいとは考えているものの、苦しんでいるヒトを見捨てるほどシズクは腐っていない。前世で散々イジメられてきて、誰も助けてくれなかったからこそ、今度の人生ではそういうヒトを助ける自分でありたいのである。


 やがて、救急車の群れがMIH学園内に入ってくる。イジメられっ子・不良生徒3人・ルーサーを助けるために。

 それでもなお、他の生徒たちは見て見ぬふり……いや、日常の一幕としてこの光景を捉えているようで、特になにかされることもなかった。


 救急車が5人を運んでいくと、シズクはあらかじめ指定されていた教室へと向かっていくのだった。


 *


 MIH学園第5校舎。ガラス張りで7階建ての校舎のエレベーターに乗って、3階の教室にたどり着く。授業が始まる直前のようで、生徒たちは各々好きな席に座っている。大学のような仕組みらしい。

 シズクは後ろのほうの席に座り、ボーッと窓の外を見つめる。フロティーは別の教室で授業を受けるため、特段友だちもいないまま授業が始まるのを待つ。


「おー、待たせたな。クソガキどもぉ」


 30代くらいの女の先生が教室に入ってきた。おしゃべりしていた生徒も声を潜め、いよいよ授業が始まるようだ。

 と思っていたら、女教師がシズクを指差してきた。


「オマエら、きょうは後期入学組がいるぞい。まぁこの学校にクラス制度はあってないようなもんだけど、この幼女は規格外なんで紹介しておこう」


 視線がシズクに集まる。そういえば、高等部にふさわしくない幼女がいるな、と。


「名前はシズク・プレイヤー。ランクAで、あのジョン・プレイヤーの義理の娘だ。義姉フロティー・プレイヤーがいて、色々規格外だ。なんせ、もう4人も病院送りにしてやがるからな」


 白い髪の女教師は、なぜか自慢げにそう言った。


「4人も病院送り? 先生ェ、キレる若者ってヤツですか?」

「違げェよ。コイツはただ、イジメからケーラ・アンゲル・ロイヤルを守ろうとしただけさ」

「なるほど」


 納得するのかよ、と思ってしまうが、肝心なのは助けた少年の名字かもしれない。

 ロイヤル、要するに王家とかそういう意味だ。ただ、アンゲルスは〝連邦共和国〟だから、立憲君主制ではない。今度フロティーに尋ねてみよう。


「さて、紹介も済んだし、とっとと移動教室に行け。それぞれタブレットに次の授業が用意されてるだろ?」


 なお、シズクはタブレットを持っていない。突貫的に入学したので、そういったハイテク機械を渡されていないのである。

 仕方なく黙って座っていると、


「どうしたの? 可愛らしいランクAさん」


 ぐるぐるメガネをかけて、ボサボサの金髪と不健康な肌荒れが特徴的な少女に声をかけられた。


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