表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛され人形使い!  作者: 天眼鏡
最終章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

511/519

大森林の新たな主

 蜘蛛人アラクネより主の座を継いだ、と女王は言った。


 奪ったでも勝手に名乗っているでもなく、継いだ──と。


「継いだ、と申したな。 という事は、よもや……」

「ウェバリエが、主の座を譲ったのか?」


 つまりそれは、ウェバリエが自らの意思で森の主の座を目の前に居る蜂型の魔蟲に譲り渡した、という事に他ならず。


『如何ニモ、カノ蜘蛛人アラクネガ森ヲ離レル前ニ譲リ受ケタノダ』

「あらかじめ後任を決めていたか、()()()()()を予期して」


 そんな二人の疑念を裏付ける様に首肯した──首肯したのだろう、多分──女王の発言で推測が確信へと変わった事によりローアが満足げに頷く中、女王は会話の矛先を変えて。


『貴様ラハ、彼奴ノ何ダ?』

「なん、だろう……おともだち、かな……?』

『……マァ良イ、目的ハ? 通行ダケナラバ構ワヌガ』


 何だ、と聞かれて返答に困った望子の『おともだち』という解答に納得したのかしていないのかは定かでないものの。


 はぁ、と溜息の様な羽音を響かせつつ女王は話を変える。


 曰く、『先代の知己とはいえ無法は許さん』──と。


 それを受けたレプターは、望子を護る様に前へ出て。


「彼女の、墓を作りたい。 魔王との戦で落命した彼女の」

『……死ンダノカ? 彼奴ガ?』

「……うん」

『ソウ、カ……』


 この森を墓標としたい、という望子の願いを口下手な望子に代わって説明した途端、女王の羽音のトーンが底冷えし。


 否定してほしいのか、そうでないのかまでは表情の読み取りようがないせいで分からないが、おそらくはショックを受けているのだろう事は望子でさえ何となく察せられており。


『……墓トイウカラニハ、アルノダロウナ? 亡骸ガ』

「ろーちゃん、おねがい」

「うむ」


 証拠を見せてほしい、と暗に疑る様な羽音を響かせた女王に対し、これといって不審がる事もせず望子はローアに声をかけ、それを受けたローアが【虚数倉庫ニルラソール】を開けたところ。


 トサッ、と生い茂った芝生の上に大きな亡骸が転がった。


 無論、ウェバリエの亡骸である。


『……成程、確カニ死ンデイル。 絶対的ナ支配者トシテ君臨シ続ケテイタ彼奴ガ唐突ニ主ノ座ヲ譲ッテミセタノハ……』

「落命する可能性を踏まえての事であったのだろうよ」

『実ニ彼奴ラシイ周到サヨ』


 そんな蜘蛛人の亡骸の確認を、じっくりとまではいかない短時間で終えた女王がウェバリエから主の座を譲り受けた際の様子を『唐突に』と語り、あの戦いで死ぬかもしれないと考えたからこそ、ウェバリエは己に代わって森を任せられる者を選定しておく必要があったのだろうと推測するローア。


 事実、その推測は正しかった。


 かつて主の座を巡って争った事があり、この広大な森で唯一ウェバリエに匹敵する力を持った女王ならば後任として相応しいと考えた結果、彼女は主の座を譲り渡していたのだ。


「ねぇ、じょおうさま。 いいばしょ、しらない?」

『……ツイテ来イ』


 翻って、そろそろ本題にと子供ながらに思った望子からの問いかけに、『ふむ』と羽音で唸った女王は静かに浮上し。


 くるりと方向転換しつつ、三人へ同行を促し始める。


 そして数分後、望子たち三人が連れられた先には──。


『彼奴ノ墓標ヲ刻ムノデアレバ、コノ池傍いけづらシカアルマイ』

「きれい……」

「この深い森の中に、こんな清水の池があったとは……」

「して、この池を選定した理由は?」

『簡単ナ話ダ、コノ池ハ──』


 御伽話に出てきそうな程に美しく、それなりの面積を誇る池が広がっており、その景観に望子とレプターが素直に感動する一方、感動どころか無感情な様子のローアがこの池を選んだ理由を問うたところ女王は一呼吸置いて、こう告げる。


『──彼奴ノ母ガ、彼奴ヲ産ミ落トシタ場所ナノダ』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ