今度こそ女性!麗しの花園を! 前編
フフフ。
フッフフフフ。
フアーッハッッハッハッハッハ!
笑いが。
笑いが、止まらない。
まさか!
あの時の閃きが!
こんなにも信仰を授けてくれるとは!!
あれから、断罪の斧さんとの交渉は上手くいった。
かなーり警戒されてる感じだったけど、契約条件を出して実際に契約を結んだ後には、「どうやら誤解していたようだ」と言って、態度も柔らかくなったし。
どうも最初は優しくしておいて、いざ契約というところで法外な要求をしてくるのでは?と思われていたらしい。
別に、優しくしたつもりはないんだがなぁ……。
ただ相手は本物の神様だし、出来るだけ丁寧に接しようとは思ってたけど。
あと、法外な報酬とか受け取るわけがない!
そんなことをして悪評が広まったら、もう神様と取引できなくなるじゃないか。
断罪の斧さんは、俺が送った在庫の量産英雄から五十人ほど送ることで、一気に邪神勢力を退治出来たとか。
兵士五十人×英雄五十人で約二千五百人。
何度かの出撃で一人が雑魚を四十体も倒せば、十万の敵を倒せる計算だ。
そして何より、防衛出来る範囲が単身の英雄とは桁違いである。
これだけ人数が居れば、拡大した戦線に押し寄せる雑魚の山もなんとか対処出来るってわけだ。
そして、思ってたよりも結構早く断罪の斧さんの世界は危機を脱した。
どうも、雑魚を産み出す系の魔物が居たらしくって、それを見つけてからは元々居た英雄達で生産元を倒していったらしい。
これまでは敵の数が多すぎて気付けなかったけど、数を減らせたから補充される位置を特定出来たって感謝されたよ。
更には、後払いの報酬も想像以上に早く受け取ることが出来た。
世界が救われたことを人間たちに伝えると、一気に信仰が溜まったらしい。
本当にすぐ支払ってくれたので、「こんなに早く渡しても大丈夫ですか?」と心配になって聞き返したぐらいだ。
いやぁ、それにしてもだ。
断罪の斧さんの太っ腹加減には、大感謝ですよ!
何せ、事前の契約で決めてた額に、色を付けて払ってくれたのだから。
契約は絶対らしくて、金額の変更は出来ないらしかったので、俺が交換所に弱い英雄を高値で出品して、断罪の斧さんがそれを買い取るって方法で追加報酬の遣り取りが行われた。
英雄と資材を渡し、断罪の斧さんが後払いで信仰を払ってくれる。
俺が事前に考えていた計画は、完璧に近い形で成功した。
いや、むしろ追加報酬があった分、この計画は大成功だったと言ってもいい。
こうして、俺が計画した一件目の神様救済計画は上手くいったのだった。
……そう。
一件目の、である。
それから俺は、更にチャットをチェックして、困っている神様を探した。
要するに、味を占めたのでもっかいやろうってわけだ。
すると、意外と困ってるっぽい神様が居たんだよ。
よく見ないと分からないけど、ログも漁って幾つかの発言を繋げてみると、運営の救済処置が必要なほどじゃないけど困ってるって神様が結構居た。
だから、それらにまた交渉を持ちかけてみたのだ。
俺の所の英雄だと解決出来そうにない問題もあったけれど、それに対してはそれ以前の相談で助けた神様に連絡を取って、その神様に救って貰えるように話を付けていく。
協力を求められた神様連中も、俺には助けて貰った恩があるので断りにくかったようで、俺の仲介でどんどん色んな神様を救っていけた。
まぁ、仲介した分は信仰を請求してないから、儲けはないんだけどね。
でもね、寸志ってもんがあるんですよ。
俺は何も言ってないのに、相手が有難うって感謝の気持ちを形で示すことがね。
その結果。
俺はありあまるほどの信仰を手に入れたのだ。
もうね、口の端が吊り上がっちゃうんですよ。
自分で「あっ、俺ニヤけてるな。」って思うんですけどね。
ニヤけを、止められないんですよ。
「ファントム様、かなり機嫌が良さそうですな……。」
「もしかして、神様ネットワークで色んな神様が救えて嬉しいんですかね?」
「そうですかしら?なんか、もっと俗な事考えてそうなお顔ですけど。」
「それは失礼ですよ。まぁ、もしかすると信仰を得られて嬉しいのかも知れませんけど。」
聞こえてるぞ、秘書の諸君。
だが許そうではないか。
なにせ、渡しはとても機嫌が良いのだから。
「信仰が得られて嬉しいというのは間違ってないな。何せ、この世界の戦力を増やすことが出来るのだから。」
「っ、聞こえてましたか。」
エーリッヒ君?
そんな、「マズイ!」って顔をしなくても良いんだよ?
なにせ、私はとても機嫌が良いのだから。
「いや、いい。私は元々もっと砕けた調子で接してくれと言っていただろう?機嫌の良し悪しに関わらず、砕けた調子で構わんとも。」
「ファントム様。先程戦力を増やすと仰ってましたが、ガチャを引かれる予定なんですの?」
おっ?
それ聞いちゃう?
聞きたい?聞きたい?
「ああ。ガチャを引こうと考えている。それも、高レアの英雄が出るガチャをだ。」
「高レア……ナルキア殿のような、ですか?」
信仰が貯まったら、皆ならどうする?
……え?ガチャだって?
うん、そうだよね。そりゃそうだ。
ということでガチャなのだ。
ナルキアが出てから一ヶ月以上。
そろそろ俺も、ガチャに対する飢えがヤバいのだ。
「高レアリティのキャラを出して、どうするおつもりですの?」
おおっとぉ?秘書のナルキアから物言いが入るか?
分かるよ、その懸念は。
信仰も資材補充とか色々と使うから、無駄遣いはして欲しくないんだよね。
だが安心して欲しい。
それに対する言い訳は、すでに考えてある。
「私が最初に交渉した、断罪の斧という神。彼の窮状を聞いて、一つ思ったことがあった。」
ここで俺は、緩んだ気持ちを引き締めて真面目な顔になる。
切っ掛けさえあれば、俺もポーカーフェイスを出来るのだ。
会社でトロけ顔になってても、上司が来たら真面目な顔になるって技を習得済みなのだ。
会社の先輩が子ども自慢でアホ面晒して、上司が来たら仕事アピールに切り替えるってのをよくやってたし。
それを見習って習得しておいた技である。
スキルってのは、いつ何が役に立つか分からないもんだなぁ。
「この世界にはまだ結界が残っては居るが、先のことを考えるとやはり人材不足は否みがたい。特に、高レアの精鋭とも呼べる英雄がまだ居ないのが問題だ。」
神々との交渉は、本当に色々と勉強になった。
特に今回は困ってる神様が相手だったので、どんな状況だと困ってしまうのかとかを学ぶことが出来たのは、とても良い経験だったと思う。
「現在でも、前線に出てきた下位魔族相手に手を焼いている状況だ。今後中位魔族が出てきた時のことを考えると、やはり戦力の充実には手を抜けん。」
今でも、下位魔族が出てきて手に負えてないからね。
色んな神様と話して分かったことなんだけど、普通はそういった英雄が対応出来ない魔族が出てきたら、神様本人も出張るらしいのだ。
当然、人間の俺が前線に出ることなんて出来ないので、そういう荒事は英雄で対応するために、色々と準備が必要になる。
「数に対してはエーリッヒや高柳でも十分対処出来るだろう。だが、今後は強敵が現れるだろうことを考えれば、高レアで強力な英雄も必要になる。」
「ナルキア嬢……だけでは足りませんか。」
「ナルキアには秘書の仕事がある。平時から戦場で経験を積んでおく英雄が、別に必要だろう?」
どうだ、俺の理論は。
これだけ理論武装すれば、反論の余地もないだろう?
先送りにしては?とか言われそうだが、今のうちに育てておかないと後になってからじゃ遅いのだ。
実際に他の神様の問題を聞いていたら、やっぱり困った時には即戦力の英雄が欲しいってよく言われたし。
困った時に即戦力を求めると高い買い物になるのは目に見えてるし、成長させる時間も足りない。
だから、早い内に高レア女性英雄が必要なのだ。
「確かに、強い英雄は必要ですわね。私ほど美しく気高く優秀な英雄でなくとも、☆5の英雄が何人か居れば今後の備えには有効ですわ。」
おっし!
秘書の牙城の一角を崩せたぞ!
それじゃあ、気が変わらない内にレッツガチャだ!
「では、善は急げだな。早速ガチャを行う。」
そう言って、俺は執務机の前に出る。
執務室の中央はガチャを引く時用のスペースを空けてあるので、すぐにガチャが出来る状態だ。
因みに今回引くガチャも決めてある。
☆5以上確定の、女性限定ガチャだ。
以前にナルキアを出した時には☆4以上確定だったので、アレよりも値段の高いガチャである。
信仰が勿体なく思えるかも知れないが、これを引いてもまだ余るだけの信仰があるのだから問題はない。
というか、俺は基本的に信仰はガチャを回すためのものだと考えている。
なので、ガチャに信仰を費やすのは俺にとっては基本だ。
ここで使わず、いつ使うのかという話である。
「今回引くのは、☆5以上が確実に出るガチャだ。☆4以下は今回の目的に合わないからな。」
女性限定ガチャだとは言わない。
不要な情報はカットだカット。
というか実際には、なんで女性限定なのかって言い訳を考えつかなかったので言わないのだ。
なので、女性限定じゃないけど引いたら女性がでたよーってことにしておくつもりである。
どうせ、神様ネットワークの画面は俺以外には見えないんだし。
「えっと、信仰の方は大丈夫なのでしょうか?」
「まぁ、今回の報酬の半分近くは消費するが……元々予定外で得た信仰なのだし、腐らせるよりは使うべき時に使うのも大切だろう?」
「それはそうですが……。」
高柳君が何を心配してるのかは知らんが、早めに高レアキャラを出してしまえば、早めに育成出来てお得だ。
それに何より、俺は高レアの女性キャラが欲しいのだ。
今後は戦場をチェックすることも多くなるだろうし、戦場にも華が欲しいのだ。
「では、いくぞ。」
「はい。……あの、掛け声はなさらないのですか?」
え?
掛け声?
「掛け声、ですの?」
「ええ。ナルキア殿をお呼びした際には、『レッツ・ガチャゴー』という掛け声をなさっていましたので。」
おい、止めろ。
クロードよ、俺の黒歴史を掘り返すでない。
あれはちょっと、テンション高ぶり過ぎてやっちゃった的な、アレだ。
若気の至り的なヤツなんだから、わざわざそれを知らないナルキアにまで言うんじゃない。
「あら……それは必要な掛け声ですの?」
「だと、思うのですが……。」
ヤバい。
ナルキアとエーリッヒが懐疑的になってる。
もしもここで言わなかったら、なんであの時言ったんだ?的なことになる。
そんな時の言い訳なんか用意してねぇよ!
流石に今更、「あれは深夜のテンションに近いノリです。」なんて恥ずかしくて言えねぇよ!
つーか、あの時はテンション任せに適当に言ったから、あの言葉が文法的に合ってるのかも分かんねぇし。
レッツゴーガチャが正しいのか?
いや、レッツゴーガチャが日本語でどういう意味なのかも分からんが。
俺、英語苦手だったし。
……致し方がない。
やるか。
「……では、言うぞ。」
「あ、必要だったんですね。」
水を差すな高柳君。
気合入れてんのに。
「……レッツ、ガチャゴー!」
「「「「レッツ・ガチャゴー!」」」」
掛け声によって俺の心はズタボロに引き裂かれる。
しかし、ガチャ抽選機が登場したことで、砕けた心は一瞬で立ち直った。
吐出口からカプセルが吐き出され、抽選機は静かに消えていく。
カプセルを手に取って開ける。
この瞬間が、俺にとって至福の時だ。
「青い石、か。」
レアリティが☆1~3なら白。☆4~6なら青。☆7~9なら赤だ。
☆7が出ればいいなと考えてたが、流石にそんな美味い話はないらしい。
まぁ☆5は確定なんだし、☆5でも十分嬉しいからいいんだけど。
頭の中で『開示』と念じる。
すると、英雄の魂の上に半透明の画面が現れ、英雄のキャラ情報が表示された。
本日22時に後編を投下します。
前後編合わせると9000字オーバーになってたのに気付いたので前後編に分けておきました。
今回の話はちょうど良く半分くらいで分けれそうだったので分けましたが、今後は9000字オーバーでも一話分として投下することもあります。
4~5千文字ぐらいが調度いいんでしょうが、残念ながら私に文字数調整能力がないので、ご了承のほどお願い致します。




