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ソーシャルな神様、始めました  作者: 九重市 九十九
第一部:世界の管理、始めました。
11/59

主人公は見ていた。


 朝起きると、突然目の前に謎のディスプレイが現れた。


 一体何事だ?

 そう思いながら見ていると、映し出されたのは軍人英雄達の日常だった。

 しかもただ日常風景が見えるだけじゃなく、彼らが思っていることなんかも頭の中に直接モノローグ風に聞こえてくるという、訳の分からない状態である。




 ―・―・―・―




 ……エーリッヒって、そんな悩みがあったのか。

 彼らが考えてる通り、もうエーリッヒを責める人なんて居ないんだ。

 だから、彼には出来るだけ幸せになってほしいな。

 ってか秘書のエーリッヒの野郎、ちょっとカッコ良かったじゃないか。

 ムッツリだと思ってたけど、実は色々と悩んでたんだな。


 クロードの話はちょっとウルっときた。

 というか涙が出た。

 あの自己犠牲の孤児のくだりは反則だろう。

 ちょっと、朝から俺の目を赤くするのは勘弁して欲しい。

 もう若くないんだし、涙腺緩いんだよ、俺。


 高柳君は最初のモテモテっぷりにイラッとしたが、そう言えば十七歳で死んだんだよなと思うと、イラついていた気持ちも消えてしまった。

 忘れがちだが、英雄は全員戦場に生きて、死んでるんだよな。

 彼には、今からでも青春を楽しんで欲しいものだ。

 まぁ……流石にナンパはどうかと思うが。




 というかだ。

 エーリッヒ=Fは一体何があったんだ?

 それまでの感動話を全部吹き飛ばすぐらいにびっくりしたぞ。

 エーリッヒ=Fてめぇ、純朴な高柳君に何てことを教えてやがるんだ。


 取り敢えず今度巡回のクロードに会うことがあったら、高柳君は恋文が好きだと街の女性に言ってもらうようにしよう。

 出来れば情熱的で慎ましやかなヤツ。

 そうすれば、ナンパ青年高柳が誕生を未然に防げるだろうし。


 それにしても、だ。

 どうにも同じ存在だと思ってた同じ顔の英雄たちも、創造してから日が経つにつれてそれぞれ個性が出来始めてるらしい。

 心が軽くなったエーリッヒも居れば、過去に囚われたままのエーリッヒも居る。

 孤児院通いを続ける中で、新たな出会いを見つけたクロードも居る。

 比較的平和なこの世界で、青春を取り戻そうと各々が模索する高柳君も居る。


 これもやっぱり、ゲームとは違うところなんだな。

 ゲームだと例えキャラが被っても、それぞれのキャラに別のストーリーやキャラ設定なんて用意されていなかった。

 複数同じキャラを持ってる利点は殆どなかったので、同じキャラを集めてる人なんてコレクター的な感性を持ってる人か、よほどそのキャラが好きな人ぐらいだった。


 だが、彼らは現実に生きている英雄だ。

 それぞれが別の生活を送って、それぞれが別の人と出会っている。

 そういった別々の暮らしをしていく中で、最初は同じ存在だった彼らにも、変化が生じているようだ。

 そんなの普通に当たり前のことなんだが、元々が同一人物というイメージが強すぎて、今まで気づけていなかった点だ。




 と、それは良いとしてだ。


 なんで、突然こんな映像が出てきたんだ?

 それぞれの映像の時間帯やら進行具合やらを考えると、どうにもリアルタイムで映ってた感じだったぞ?

 特にクロードとか、延々と子供と遊んでたり、お菓子を食べているシーンまで、全部を見ることになったし。


 いやまぁ、今日はナルキアの愚痴飲み会の翌日で、仕事が休みだったから良いんだけども。

 本当に、なんでこんな映像が出てきたんだか。

 ゲームだった頃にこんなシステムなんて……。




 ん?

 あったな。

 そう言えば、あった気がする。


 英雄達は、一定以上好感度が貯まると、英雄ごとに用意されたイベントシーンが見れるシステムがあった。

 ゲームだと、それを見ることで英雄たちに感情移入していって、愛着を持つって感じだったんだが……。


 ぶっちゃけ、あのゲームって登場キャラ数が多すぎるんだよね。

 手持ちのキャラだけで数百近いキャラが居るのに、そんな一人一人のイベントなんて毎回見る時間がない。

 しかも、俺はどんどん新しいキャラをガチャで出すタイプだったので、一人ずつ好感度を上げてイベントを解放するなんてこと、面倒だからやってなかったのだ。

 ゲームを始めたばかりの初期だとちょっとだけ見た気もするが、元々俺はノベルゲームとかあんまり好きじゃないから最初の頃から殆ど読み飛ばしてたような気もする。


 ……まぁとにかくだ。

 これは、軍人英雄達の俺に対する好感度が上がったから、イベントを見ることが出来たってことか?

 いやまぁ、彼らの気持ちや考えが分かるのは、確かに嬉しくはあるんだが。




 だがなぁ……。

 盗撮同然の形で、というのは勘弁してほしい。


 なんかやってることがどう考えても盗撮と盗聴だ。

 彼らの秘密を、彼らの意志とは無関係に勝手に覗き見ていることになる。

 それは、なんか、非常に居た堪れない。

 俺は彼らと顔を合わせた時に、どんな顔をすればいいのか……。


 今回は男軍人ばかりだったからマシだけども、もし今後女性英雄のイベントシーンが現れた時にはどうなるんだ?

 もしも着替えシーンが映ってたら?

 もしもお風呂シーンが映ってたら?

 ……それはちょっと見てみたい気もする。


 いや、そうじゃない。

 彼女たちの秘密を知ってしまって、それを会話の中でポロリと口走ってしまったらどうなる?


 これはゲームじゃなくて、現実なんだ。

 少なくとも、俺に対する信頼度がダダ下がりするのは間違いないだろう。


 それは流石に本気で勘弁して欲しい。

 イベントが見れるってことは好感度を高めた状態だってことだから、好感度が高い状態から好感度が急落するなんて、落差がある分余計に辛いに決まっている。


 今後、もしも女性英雄のイベントが出てきた時には、なんとか見ない聞かないでスルーするしかないかね。

 いやでも、モノローグ風の声とか、頭の中に直接入ってきてたしなぁ……。

 見ないのはギリギリ出来るだろうけど、聞かないってのは物理的に不可能なんだよなぁ。

 なんで、こんな仕様になってんだよ。


 それにこれが出てる間は画面を閉じれないから、碌に行動出来なくなるんだよ。 流石に英雄達の前で盗撮映像を出しっぱなしとか、最悪だし。

 今回も、朝飯前にエーリッヒ。昼飯後にクロード。夕方に高柳君と、殆ど何かする暇もなく、連続で見させられたからなぁ。




 ……そう言えば。

 このイベントを見る切っ掛けになった好感度って、多分アレだよな。


 胡乱げながらに覚えてる、昨夜の軍人達との飲み会。

 あのナルシスロリに落胆した俺を慰めるために、軍人たちが開いてくれたアレ。

 そこで好感度が上がったから、イベントが出たんだよな?


 あの愚痴吐き祭りで好感度が上がったのか。

 弱ってるとこを見せたから、親近感が沸いたって感じなんだろうけど。


 なんか、もう……。

 昨日のことは恥ずかしいから、出来れば忘れて欲しい。

 ああ……今日は休みだからいいけど、明日あいつらにどんな顔で会えばいいんだよ。


 二重の意味で合わす顔がないぞ。

 何とかポーカーフェイスでいかねば……。




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