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今日あたしは筆頭聖女を辞めました。  作者: そらのたまご


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09 ごはんのついでじゃないんだからね

٩(ˊᗜˋ*)و


 さてさて無事? に冒険者として登録してから2日。

 あたしは再び冒険者ギルドの食堂のお世話になってるんだな、これが。

 本日チャレンジしているのは冒険者ギルドの名物の1つ、ファングピッグの旨辛スープでございまーす。


 うーん、からいー、おいしいー!!

 舌がひりっとするのに匙が止まらない。

 ふーふー息を吹きかけながらもうひと口ふくめば、辛さの奥からじわっと旨みが追いかけてきて、思わず顔が緩んじゃう。

 それを見ていた隣の席のおじさんが、豪快に笑いながら話しかけてきた。


「ははははは、嬢ちゃんはほんと旨そうに食うよなあ」

「美味しいものはちゃんと美味しいって思わないと損じゃん! あたし美味しいもの大好き!」

「はははははは! いいことだ!」


 初めてここに来た時にも笑われたけど、そういえばこの街に来てから何度か同じようなことがあった。

 たぶん、あたしが美味しいものを食べてる時って、ものすごく幸せそうなんだよね。

 幸せオーラでも出てるんじゃないかな。

 食べてるあたしも幸せで、見てる方までちょっと楽しくなるなら、なかなかお得な話だよね。


「ほれ、辛いの平気ならこっちも食ってみるか?」

「え、いいんですか?」


 差し出された小皿には、こんがり焼かれた肉が2切れ。

 ありがたくひと口かじると、香ばしい脂の甘味の後からぴりっとした香辛料の刺激が追いかけてきて、思わず目を丸くする。


「これもおいしい!!」


 はしゃいだところで、ふと冷静になる。

 あれ、これ、もしかしなくても食いしん坊キャラが順調に育ってない?

 うら若き年頃の乙女としてその評価でいいの?

 ってちょっと考えてみたけど、悪い反応じゃないみたいだし、あたしも美味しいもの我慢するのはヤダし、まあいいか! 放置!

 この食いしん坊さんに、美味しいものどんどん教えてくださいな! ってね。

 色恋沙汰に興味なしな奴が乙女って言い張るのもな、って気持ちもなくはないしね……。

 今のあたしは、食欲が全てに勝る時期なのだよ!


「ふーー、お腹いっぱい。美味しかったー、ごちそうさまでした!」

「初めて来た時も思ったが、ちっこいのによく食うなあ」

「むむ、それだとまるであたしが大食いみたいじゃないですか! 普通の一人前ですよ!」


 からかってくるおじさんに言い返しつつ、そういえばギルド食堂はちょっと量多いなって思って、さり気なく周りを確認する。

 街の食堂より体格のいい人が多いかも?

 もしかしてだけどここの1人前って、冒険者相手の食堂だから盛りがいいのかしら?


 あれえ? と思っておじさんを見ると、あたしの様子を見てたのかニヤニヤ笑ってる。

 食いしん坊はともかく、大食いはなんとなくイメージが崩れる気がするので却下しておきたいのが女心ってやつよね。多分。

 どこにもサイズ大きめとか書いてないので普通に1人前ってことで!

 あたしの中で結論が出たので目の前のにやけ面はスルーして、さっさと別の話へ変えていく。


「ここって面白い食材多いわりに高くなくて良いですねえ」

「お? まあいいか。それな、狩猟帰りの冒険者が処分と小遣い稼ぎに、いらない部分を売ってくんだわ。とにかく外に売りに行くより楽だし、そうやって安く作られるメシ、結局は自分たちにも恩恵があるからな。結構な量がここに流れてくるってことだな」

「なるほどー。じゃあ採取品も多めに持ち帰ったら買い取ってくれたりするのかな?」

「大抵は大丈夫だろ。細かいとこはギルド員に聞いてくれや」

「はーい。ありがとー! ところでおじさん、どちらさま?」


 めっっっちゃ爆笑された。

 ちょっと待ってみたけど返事してくれなさそうだし、時間がなくなってきたので諦めて席を立つ。

 まあここに食べに来たらまた会うでしょ。


 あたしが今日ギルドに来た本命はご飯のためじゃない。

 ついに冒険者としての活動を! とかだったら、もう少しおじさんに色々聞いてみたかったかも。

 でもここのギルドは講習会をやってるんだって。

 魔物の森以外の街の外とかなら必要ないけど、魔物の森で活動したい人は最初に参加しないといけないんだって。

 どんな話が聞けるのか、ちょっとわくわくする。


 魔物の森専用のルールとかあるのかな?

 なんて想像しながら、ギルド真ん中の黒石板の壁近くにひっそり存在してた階段で2階へ上がると、左右に伸びる広めの廊下に扉が……いっぱい?

 えっと、右側奥の赤い札のついた部屋、だったはず。


 おそるおそる廊下を進むと、突き当りの扉がない部屋の上に赤い札が付いてるのが見えて、そーっと中をのぞき込む。

 まず見えたのは、奥の壁に設置された大きな黒石板。

 その一番上のところに『ラズヴェイン樹海 講習会』とでっかく書いてあるのを見て、やっと一安心。


 中に入ると、部屋の中は黒石板を囲むように長机が3つと、それぞれに椅子が3つずつ並んでた。

 先に2人待ってる人がいたんだけど、右の机に男の子、左の端っこに女の子が座ってたら、そりゃー女の子のほう行くよね。

 さすがに1人でど真ん中を陣取るほど豪気ではないよ、うん。


 先に座ってた女の子の様子を見ながら、真ん中の椅子を1つ開けてそっと座ったんだけど、めっちゃビクッてされた。

 こ、こわくないよー。


最後まで読んでくれてありがとうございます(*'▽')

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