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今日あたしは筆頭聖女を辞めました。  作者: そらのたまご


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22 セシルという新しい友人③

――ヽ( *•ω• )人( •ω•* )ノ――


リズ視点です


 新しい友人のセシルは先日1人でCランクに昇格した。

 チームでもなく個人で、しかも半年でCランクっていうのは完全に別格だ。

 そもそもカエル系は攻撃力が低いけど、斬撃も打撃も魔法にも耐性があるので倒すのはそれなりに難しい。

 だから初めて、呪文もなく一撃でカエルを灰にしたところを見た時は、本当に言葉を失った。


 過去のことを知られたくない人にしては、少し目立ちすぎている気がする。

 そういうところも、心配になる理由のひとつだった。

 最近は何かを察している様子の人も増えてきたと思う。

 もちろん、大切な友人たちもその中の2人だ。


「カエル嫌いになった理由を聞いた後だと、あの称号は可哀想だと思うんだけどね……わたしじゃフォローしきれないよ」

「あー、その感じだとまだ壁消えてないのな」

「……無防備と警戒心の強さって両立するものだったか?」

「多分ね、セシル本人が気付いてないの」

「気付いてないって……まさか自分の人間不信にか?!」

「うん……」

「……手の付け所がないな」


 まったくもってその通り過ぎる。

 セシルは自分で気付いてないなりに、わたしというリハビリ相手を選んで、再構築しようと頑張っているのだ。

 強いけど、傷口から目を背けようとするほどには弱い。

 だけど負けん気が強くて頑張り屋で、痛みを知っている優しい女の子。

 わたしにとってセシルはそういう子だ。

 

 わたしにはジオンとトールという、自身の成長と共に10年かけて絆を繋いだ、大切な人たちがいる。

 それはわたしの自信となり、わたしの指針であり拠り所として、わたしを支えてくれている。

 でも今のセシルにはそれがない。

 だから今度はわたしが、セシルを支える柱の、その一部になれたら嬉しい。


 叶うなら、大切な友人たちも仲間に入れてくれると嬉しいんだけど。

 ただ、その辺りは急がず、無理をさせないように気をつけながら、少しずつやっていけたらと思っている。


「ん、これくらいで大丈夫かな。どう?」


 休憩ついでに魔導具であるトールの投擲ナイフの調整をしたので、使用前に確認してもらう。

 速度上昇の効果を付けたナイフは、トールの手がひらめくと同時に離れた木に何本も突き刺さっていた。


「────ん、いい感じ。ありがとな」

「いいなあ。オレもリズの魔導具使いたい」


 本人曰く器用貧乏なトールは中衛の斥候職で、ショートソードによる攻撃と、投擲武器や魔導具による補助を状況によって切り替えながら、近接戦闘メインのジオンを補佐するスタイルだ。

 一方のジオンは、力で押し切るタイプの長剣使いで、前に出て敵を切り倒していくことが多い。


 だからわたしの魔導具は大半がトールに回されていて、ジオンに渡すことがほとんどない。

 わたし自身が近接職とは縁遠いから、そういう魔導具をうまく作れないだけなんだけど。

 でも、最近になってやっと作れたものがある。


「ええとね、ジオン……帰りにうちの店に寄れる? まだ試作なんだけどね、魔力を流すと切れ味が上がるタイプの、新しい剣を作ってみたの。それでね……」

「寄れる! 絶対行く! オレ用のリズの新作! やっほーい!!」


 自分でもなんかジオン専用っぽいなって思って、ちょっと気恥ずかしくなってたら、言い終わる前に食いつかれて途中で言えなくなった。

 けど、ジオンはすごく喜んでるのを隠さないから、じわじわと嬉しくなって思わず笑ってしまう。

 トールは何だか呆れ顔だけど。


「よし、あと少し探索したら今日はもう帰るぞ! そんでリズの店に行こうな!」


 テンション高く荷物をまとめるジオンと、呆れたように、諦めたようにハイハイと頷くトールの姿に、くすくす笑いながらわたしも荷物をまとめた。

 だいぶ苦労したけど、頑張ってみた甲斐があったなって胸が温かくなる。

 その後は絶好調のジオンがバンバン倒した魔物を回収して、全員怪我もなく元気に帰路についた。


 せわしなくギルドの手続きを終わらせて、おじいさまの魔導具店まで戻り、新しい剣を受け取ったジオンのテンションは天井知らずだった。

 裏庭で軽く試し振りをして少しだけ調整したけど、その間もずっと賑やかなものだから、おじいさまから雷が落ちて、結局3人そろって店を追い出された。

 そのままトールのお気に入りの店で夕食を取って、また賑やかに笑って。

 そんなふうに、楽しい1日は過ぎていった。



 ────だから、わたしの作ったその剣のせいで、2人の命が危険にさらされることになるなんて、その時は思ってもみなかったのだ。


最後まで読んでくれてありがとうございます(*'▽')

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