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第17話


エッグプラントをはじめコパー都市国家の100余りある都市全域にお触れが出た。


年のころは10余り、そして詳しい容姿や髪の色など。


どうやら人探しをしているようだ。



僕はいま、平民軍団長カウスリップ様のいた屋敷にいる。


カウスリップ様はあの戦場で妹の死を知りそのまま国外へ出奔してしまった。


僕は後始末をして軍を解散し帰ってきたところだ。


屋敷の主であるカウスリップ様がいなくなった以上この屋敷も処分しないといけない。


スマルト将軍の部下は去っていったが、まだ数名お手伝いの者や、見習いのジオ君が残っている。


さてどうするかと考えていた矢先に人探しのお触れを聞いた。


そういえばジオ君はこの人探しの特徴、容姿や髪の色に似ている気がするな。


まあでもジオ君がこの人探しの該当者とは思わないが。


第一、記憶喪失でもあるしね。


・・・・記憶喪失。


あれ?


じゃあ、もしかして、ジオ君がこの人探しの該当者にあたるかも。


容姿も似ているし。


一度、スプルース・ミルキーのもとへ連れて行こうか。


ジオ君をミルキー商会へ連れて行くと、容姿の似た子供が10名ほどいた。


ジオ君と同じように特徴が似ている子が集められたのだろう。


だけどその後はどうやって探している子だと判断するのだろう?


そう考えているとスプルース・ミルキーとみずぼらしい服装だが威厳のある顔立ちの人がいた。


その隣にはいかつい鎧を着たみるからに騎士団のお偉いさんのような人がいる。


「聞け!!わしはこの国の王である。わしは数年前に平民の強盗に馬車でいるところを襲われて我が子をみすみす奪われてしまったのだ!!」


「今日は我が子グラジオラスの容姿と特徴が似ているものを集めてもらったのだ」


「グラジオラスよ。我が子よ。長い間探せなくて済まなんだ。どうか父のもとに顔を見せに来てくれんか」


国王と名乗る人物が言う。


しかし誰も動かず話もせず、辺りは静寂が漂っていた。


その静寂を壊したのは僕だった。


というのもホーネットが僕に向かってポツリと、


「ご主人様、国王が探しているグラジオラスとはこのジオのことでございますよ」


とこともなげに言う。


「ええ!!」


思わず大きな声をあげてしまった。


その声を聞いてこちらを見る国王とスプルース・ミルキー。


仕方ないので、ジオ君を連れて前へ出る。


「あの、この子、ジオというのですが、記憶喪失だったので見習いとして雇っていました」


しかし国王はすでに僕のほうを見ずにジオ君に目を向けて、おお、と感動して涙を流していた。


「間違いない。すこし痩せてはいるが、この顔を忘れるものか、なんと、記憶喪失とな、不憫な、不憫な」


その様子を見ていたスプルース・ミルキーは国王を制して


「お待ちを国王陛下。本当にこの者がグラジオラス王子殿下であるかどうか、確証がありませぬ。それにこの連れてきたの者はかつてカウスリップの側近でございました」


「このような偶然がありましょうや?カウスリップはご存じのように国王陛下を恨んでおります。いまは身を隠していますが、その側近が王子に近い人間を連れてくるとは思えませぬ」


「王子に似た者を用意して言い含めて、王族に害をなすつもりかもしれませんぞ」


僕を険しい目で見るスプルース・ミルキーは衛兵たちに


「この者をひっとらえよ!!」


と命じ、あっという間に僕は衛兵たちに拘束されてしまった。


「このジオと申すものが本当に王子であればよいが、そうでなければお前を処刑する!!」


なんだこれ?なんで僕が捕まえられ、処刑されないといけないんだ。


ああ、またか。またなのか。


また、権力者のせいで僕は理不尽な目にあってしまったのか。


僕は今までに受けてきた理不尽な仕打ちがフラッシュバックし抵抗する気もなく牢屋へ入れられてしまった。



牢屋の中。


現在僕は牢屋の中に入れられている。


しかし僕は意外にも快適に過ごしているのだ。


もちろん従者のホーネットのおかげだ。


牢屋番にはわからないように身代わりを置いて異空間に入り、そこで快適に過ごしていたのだ。


しかし身体は疲れていなくても僕の心は傷ついていた。


なぜ、人探しのお触れを受けてその該当する子を連れて行くと牢屋へ入れられるのだろうか。


なぜ、その子が王子でないと処刑されるのだろうか。


ホーネットが言うには、


「言いがかりですわ。どうやらガーネットを自分のものにしたい余りにご主人様の存在が目障りみたいですね」


「ご主人様を処刑したあと、本当の王子かどうかにかかわらず王子として国王に引き渡す考えのようです」


ならば、処刑を決める裁判の場でジオ君が王子であるという証拠を見せ、本物の王子だと証明できればいい。


そうすれば僕の処刑は回避されジオ君も本当の家族のもとへ帰ることができる。


だけどそんなことが可能なのだろうか。


「はい。可能でございますよ。ご主人様。ご主人様は大変頑張りました。どうか、今は何もかも忘れてゆっくりなさってくださいませ」


「ご主人様はなにも悪くありません。ご主人様は身寄りのない不憫な一人の少年に手を差し伸べたのですよ。とても良い行為をなさったのです」


「それにあの場で下手な抵抗をすると印象を悪くしました。だからおとなしくついていったご主人様の行動はとても素晴らしいものでしたよ」


ホーネットは優しく僕を抱きしめながら励ましてくれていた。


僕はホーネットの気遣いのおかげで、トラウマになっていた権力者からの理不尽な仕打ちに耐えることができた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇


エッグプラントは平民が主体である。


ゆえにどんな罪を犯した者でも公平に裁判を経て罰を受けることになっている。


僕もよくわからない罪でスプルース・ミルキーから処刑と言われたが、やはり裁判の場を設けられている。


しかし、僕の場合、ジオ君が本当の国王の子供であるかどうかを証明しないといけない。


そしてその裁判の場に宗主国であるシルバー王国から派遣されたという事務官が僕の弁護人としてやってきてくれたのである。


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