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第14話

スマルト将軍はいま、重大な決断に迫られている。


スマルト将軍には願いがあり、それを叶えるためなら否やはないのだ。


「その話は本当だな。ならばわしに任せてもらおう。準備があるのでこれで失礼する」


スマルト将軍は踵を返して出て行った。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇


平民軍団長カウスリップのもとへ急報が届いた。


「急報!!急報でございます。エッグプラントに敵対する軍が迫っております。平民軍団長様におかれましては至急エッグプラント会議へ出席をしてほしいとのことです」


とエッグプラント会議からやってきた伝令係が言う。


カウスリップは、


(平民軍団長様、か。普段は呼び捨てなのにな)


と伝令係の言葉に軽く笑う。


「あいわかった。これから会議のほうへ向かう」


カウスリップはエッグプラント会議へ急ぎ出向いた。



エッグプラント会議はミルキー商会が建てた建物で行われる。


ミルキー商会の力が強い証拠だ。


会議の間には13人が座っておりその真ん中には、いつもミルキー商会の商会長ドラセナ・ミルキーが座ってきた。


ところが、今回は違っていた。


ドラセナ・ミルキーにかわり、息子であるスプルース・ミルキーが座っていたのだ。


カウスリップは、不審に思ったのだが、いまは緊急事態なのであえて質問はしなかった。


スプルース・ミルキーはカウスリップが会議の場に現れるのを見て、現状を伝えた。


「スマルト将軍がこのエッグプラントに敵対行動をすることを表明しました。さらにここを攻めるために兵士を集めています」


「偵察の報告では、スマルト将軍が握っている平民軍団の3分の2ほどが集まっているようです。つまり推定15000人」


「加えて、王城からも動きがあり、王城が保有している騎士団、こちらは500ほどですが、連携してこのエッグプラントを狙っているようです」


「さしあたってこちらも兵を集めねばなりません。すでに大金をかけて募集をしておりますが、食いつめものやあぶれ者がほとんどで実戦経験のない者がほとんどです」


「現時点で3000人を超えない程度しかいません」


シーン。


という擬音語が消えるぐらい会議の場は静かだった。


15000対3000。しかも少ないほうが兵の質も低い。


ここでカウスリップが口を開いた。


「現状は承知した。スマルト将軍はここを攻めてくるのにどれだけ日数がかかるだろうか」


スプルース・ミルキーは


「将軍は大変慎重な方です。本来このような行動をするだけでもこちらは驚いているほどです。よってこちらから攻めるまで攻めてこないかもしれません」


迎撃するほうが得意なのです。と、付け加えた。


カウスリップはなるほど、と言い、さらに口を開いた。


「では、集まった兵士に訓練用の槍と正式な鎧を装備させて私のもとへ集めてください。時間が惜しい。集まり次第、練兵をします。あとはお金で釣るしかないでしょう」


「承知いたしました。これからは倍の給金で兵士を募集し、すでに兵士になった者にも倍の給金を保証します」


「感謝する」


カウスリップはそう言い捨てて会議の場を出て行った。


時間が惜しいようであった。


ここからのカウスリップの行動は早かった。


すぐに集まった兵士を集め、簡単な練兵を施し、適正をみながら十人隊をつくりつつ、十人隊長を任命していく。


先日起きたシルバー王国との戦いのときもそうであった。


カウスリップは兵と戦争があれば輝いていく男だった。


こいつにはこれ以上与えるわけにはいかないな、とこの光景をみながらスプルース・ミルキーは改めて思うのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇


僕はいま、王都の食堂にいた。


この食堂は数少ない平民が入ってもいい食堂だ。


王都にいる平民とは、ほぼすべてがどこかの貴族に仕えている下人であったり、下女である。


こういうところへくれば何がしかの情報が得られるのではと期待して入ったのだけど客は非常に少ない。


収穫無し、か。


思ったよりも情報が得られないので仕方なく店をでた。


すると、王都の雰囲気がいつもと違っているのに気づく。



「騎士団が出陣するってよ」


「相手は野蛮な平民たちでしょ。ケガをしないでほしいわ」


そう言った声が聞こえてくる。


騎士団が出陣って戦争をするのか。


相手はだれだ?誰だと言っても魔物でなければ人間相手だろう。


もしかしてカウスリップ様の出番かもしれない。


それに気づいた僕は早くエッグプラントに戻ろうと思い、王都の門をでた。


ホーネットを連れて道を急いでいると、目の前に黒いローブを被った集団が現れ、こちらに敵意を向けてきた。


なんだ?急に。


だけど、この黒いローブには見覚えがある。


・・・・・闇ギルド。


「おまえたち、闇ギルドの者か!?」


僕の問いに答えるように、


「俺たちが何者かわかるのか、悪いが命令だ。命をとる!!かかれ!」


と集団のリーダー格の者が指示をだし、襲ってきた。


僕たちが防戦していると、ホーネットが


「ご主人様、あちらから援軍が来るようですよ」


と指を示す。


その方向から、銀色の矢が飛んできた。


その矢はリーダー格の男の肩に突き刺さる。


「グアッ!!」


次々に銀色の弓矢が飛んできた。


狙いすましたように、黒いローブを着た男たちの方や足、腕に突き刺さっていく。


「仕方ない、退け!!」


その言葉で闇ギルドの集団は退いていった。


少数だが、連携が取れており練度の高い連中だった。


次に会ったときはより手強くなっているだろう。


「危ないところだったな。ケガはないだろうか?」


そう声をかけたのは、Aランク冒険者「風神」のパロットさんだった。


道理で強いわけだ。


「助かりました。ケガはありません」


そう僕が答えると、パロットさんは気づいたように、


「お、おお、君か少年。こんなところで会うとは奇遇だな」


ハッハッハと朗らかに笑う。


聞くと、いま、コパー都市国家では戦争準備が行われており、大金で凄腕の冒険者を募集しているそうだ。


面白そうなので来てみたという。


僕は思い切って、パロットさんを僕の護衛として雇うことにした。


大金だろうが、経費としてあとでジングート将軍にまわそう。


「パロットさん!!僕の護衛として雇われてくれませんか?」


パロットさんは僕の申し出に快く引き受けてくれた。


「いいとも。命を狙われているようだし。戦争よりも知り合いの君を守るほうを優先にするよ」


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