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第11話

「わかってきただろうが、俺には手足となる従士を雇う金すら無い」


僕はいま平民軍団長カウスリップ様と今後の方針を決める話をしていた。


そしてエッグプラントの有力者と話をした成果も報告していた。


途中、スプルース・ミルキーの条件をきくためにプラチナ帝国へ行き予定より長く留守をしてしまった。


そのことを詫びつつどんなことを話したかも報告していたのだが、カウスリップ様の反応は芳しくない。


「まあラズベリー商会からの食料はありがたいけどさ」


とブツブツ言うだけで建設的な話はできなかった。


しかたなく、僕は部屋を出る。


僕が動いた成果としてはスマルト将軍、ラズベリー商会、そしてミルキー商会が少しだけ平民軍団長に手を貸すという形をとることができた。


その結果、食料と武具、スマルト将軍の部下と見習いの子ジオがカウスリップ様のもとに来た。


僕たちがカウスリップ様のために用意した屋敷はそれらを住まわせるには十分な部屋があったので、ホーネットが手際よく部屋割りをしてくれていた。


「さあさあ、今まではどうか知りませんがカウスリップ様の屋敷に来たからには自分たちで料理洗濯、掃除もしてもらいますよ」


と大の男たちを相手に指示を与える。


その指示が的確で有無を言わせない雰囲気があるためスマルト将軍の部下たちはあたふたとホーネットの指示に従って屋敷の内部の仕事をしだした。


さすがホーネットだ。


僕の従者は有能すぎる。


そう思っているとホーネットは見習いのジオ君にも


「ジオ様、ジオ様はカウスリップ様、この屋敷の主へお茶を持って行ってください。礼儀作法も教えて差し上げますからね」


と言い、ジオ君にお茶を持たせながらカウスリップ様のいる部屋へついていった。


僕は先ほどの話でもカウスリップ様が煮え切らない態度を取る理由を考えていた。


「先立つものはお金だ。経済的基盤が必要なのかな」


と独り言をいいながら、考えをまとめていた。


つらつら考えるに、このコパー都市国家の王族が弱いのは経済力が無いということが原因だと思う。


経済力、つまり税金だ。


税金が王族や貴族にいかず、エッグプラントと各都市で留めている。


そのため王族や貴族は何も手を打てないでいる。


そしてエッグプラントの権力の拠り所も経済力と言えるだろう。


なので、平民軍団長も発言力をもつには独立した経済力を持つ必要があるのだ。


そんな簡単なことを僕はやっと分かってきた。


僕もかつては商業ギルドに所属しお金を稼いできたことはあるが、エクレアたちをそのお金で養いきれていたとは思えない。


僕はエクレアをはじめとするメイドたちにずいぶん世話になっていたのだろう。


そのことに考えがいたると自分に稼ぐ力がないように思えて恥ずかしくなってしまった。


すると急にホーネットが側にきて、


「輝かしきご主人様、決してそのようなことはございません。ご主人様は立派に仕事をされ、お金を稼いでおりましたわ」


「わたくしどもはご主人様がいてこそ安心して生活ができるのでございます。どうかご自分を責めませんよう」


そう言って僕を慰めてくれる。


相変わらず神出鬼没で僕の心の内を読んでいるかのようだ。いや、絶対読んでいるよね!?



ともかく、このままではやはり埒が明かないと気づいた僕は思い切ってコパー都市国家の首都へ行き、国王陛下に直接会って話をしてみようと思いついた。


たとえ、目通りがかなわくても王城へいき、その目で見てくるだけで何か得られるものがあるかもしれない。


そう考えて僕はエッグプラントを出て首都へ向かった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇


スマルト将軍はある男に会いに屋敷を訪れていた。


お互い護衛はいるが構わない。


と思いきや、相手の男の側にいる護衛はいつもと違う顔だった。


赤い髪に赤い瞳の女性の騎士だ。


男の表情は蕩けるような顔で護衛に向けるような視線ではなく、恋人に向けるような目を向けている。


この冷徹な男にも人並みの感情があったのかと軽く驚いた。


しかしすぐに頭を冷静にした。


スマルト将軍は目の前の男がこのエッグプラントを陰から支配していることを知っている。


エッグプラント会議に出られないにもかかわらず、この男の描いた絵図通りにエッグプラントとコパー都市国家は動いているのだ。


その陰謀能力は自分の足元にも及ばないだろう。


しかし、自分の強みは平民軍団を握っていることである。


この強みを盾に今日はこの男と交渉しにきたのだ。


「どうかな?そろそろ良い返事がもらえるかと思い来たのだが・・・・・・」


「やはり、エッグプラント会議に、軍事力を担う者が入っておらんと公平な議論が成り立たないのではないかな?」


そうわしはこの男に言ってやった。


しかし相変わらずこの男はのらりくらりとかわしてくる。


「そうはおっしゃいますが、このエッグプラントは争いをさけ対面での話合いで成り立ってきた都市です。逆にスマルト将軍が表に出ると無用の警戒心を抱かせるのではないか」


この言葉も想定内と言える。


だが今日はいつもと違うぞ。


わしは心の中でにやりと笑う。


「そうですか。ならばわしの持つ平民軍団の力を正しく理解している御方のもとへ行くことにしましょう。国王陛下はわしをコパー都市国家の騎士団長に任じてもよいといってくれていますが」


国王陛下からの騎士団長と言う役職を与えるという言葉。


これはわしスマルト将軍がエッグプラントを捨てて国王側へ乗り換えることを意味する。


この言葉にはさすがのこの男も押し黙ってしまった。


しばしの沈黙のあと、


「エッグプラントを捨てるのであれば相応の犠牲を覚悟してもらいますよ」


と警戒心をあらわにし、探るような目つきをする。


しかし考えているのであろう。


わしが国王側へ乗り換えることによるリスクとわしをエッグプラント会議へ推すことによるリスク。


どちらが重いのか。


まあ、どちらでもよい。どちらに転んでもわしの目的は達成できるのだから。


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