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第10話

僕は今、魔法国家プラチナ帝国の帝都プラチナムにいる。


会いたい人物がいるからだ。


その人物は魔法省長官のパンジー・マリーゴールドという人物だ。


この人はかつてはプラチナ帝国六大公爵の1人というとてもとても身分の高い貴族であったが、帝国に反乱を起こした罪で身分を落とされた。


しかし、のちに勇者パーティと行動をともにし魔王を討伐したという功績で元の公爵に復帰し、本来の役目である魔法省の長官に戻ったというとても波瀾万丈な経歴の持ち主。


僕がこの人物に会う必要があるのはどうしてもプラチナ帝国の魔法技術の一つである結界魔法をパンジー・マリーゴールドから聞き出すため。


パンジー・マリーゴールドはプラチナ帝国の守りの要である結界魔法を管理している。


さらに、結界魔法の研究も進めており結界魔法の第一人者でもあるのだ。



平民軍団長カウスリップ様が地位を盤石にするためには、ミルキー商会の後押しが必要。


そしてそのためにはプラチナ帝国の結界魔法が必要となった。


ああ、どんどん話しが大きくなっていく。


おそらくスプルース・ミルキーは、僕が魔法省長官パンジー・マリーゴールドと旧知の仲ということも調べたのだろう。


僕は意を決して魔法省に入り、受付の人に名前を名乗って長官と面会したいと伝えた。


10分後、なんとパンジー・マリーゴールドその人が目の前に現れた。


忙しい身であるにもかかわらず僕のためにパンジー・マリーゴールドが時間を割いてくれたのだ。


「ふぅ。久しぶりね。そうね、大賢者様の庵で勇者アレル様と別れて以来、かな。どう、元気にしてた?」


と気軽に声をかけてくる。


実は僕は以前にパンジー・マリーゴールドと行動を共にしたことがある。


それだけでなくパンジー・マリーゴールドがとてもとても敬愛している人と一緒にいるので僕にも優しくしてくれるのだ。


「大魔導士イオニーア様は?来てないの?ねえ?ねえってば!!」


しまった。


パンジー・マリーゴールドにお願いするならイオニアを連れてくればよかった。


僕は一瞬後悔した。が、すぐに驚いた。


隣にすでに、転移魔法でイオニアが現れていたからだ。


「お召しにより参上いたしました。ご主人様」


と僕に優雅なカーテシーをして敬意を払うイオニア。


そしてイオニアを見てとても目を輝かせる魔法省長官のパンジー・マリーゴールド。


「イ、イオニーアさまあ!!ご機嫌麗しゅう。あ、あの、イオニーア様に似合うのではないかと思い、魔石を加工したイヤリングや首飾りを用意しているのです」


「お気に召していただければこれに優る喜びはございません。どうか、受け取ってくださいませ!!」


とどこから持ってきたのか一目見て、とても高価だとわかる宝石や魔石、イヤリングなどの装飾品を目の前に広げて見せる。


そんな様子を無表情で見るイオニア。


イオニアは静かに口を開いて、


「パンジー。そのようなものは必要ありません。どれも高価なものばかりでしょう。あなた、これ魔法省の予算を使っていないでしょうね。それとも公爵家の予算かしら?」


「そんなことより私のご主人様の望みを聞いてほしいの。お願いできるかしら?」


「できます!できます。できます。できすぎまっする!!!」


僕の方を向いて、


「さあ、何でも言ってちょうだい。お金?魔法省?公爵家?は、まさか私の身体?でもいいわ。何でもあげるから!!」


と血走った目をしてくる。


いやいや、身体って・・・・・



僕はパンジー・マリーゴールドから望みの物を手に入れることができた。


「そんなものでいいの?そんなんじゃあ、イオニーア様に喜んでいただけない!!もっと要求してよお!!」


うっとうしいので、イオニアに1日パンジー・マリーゴールドの相手をするようにお願いをしておいた。


パンジー・マリーゴールドは血走った目をさらに充血させて喜んでいた。


これでいいだろう。


さあ、この防御結界の術式が乗っている魔導書をエッグプラントに持って帰ろう。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇


スプルース・ミルキーにさっそく持ち帰ったものを見せた。


「驚いたな・・・・・・・本当に持ち帰れただなんて」


信じられない表情で結界魔法の術式がのっている魔導書を読んでいる。


「本当に調査どおりとは。しかし、頼んでおいてなんだが、プラチナ帝国からしたらこれは軍事機密だろう。どうやって持ち帰れたんだ?」


と聞くので答えた。


「というよりも、軍事機密ではなくなったようです。もともとパンジー・マリーゴールド様は結界魔法を特別のものと考えていませんでした」


「プラチナ帝国が現在、帝都プラチナム全域を覆うほどの結界を展開するにはそれを可能にする装置と大きな魔石が必要なのです」


「大っぴらにはしていませんが、知られたからと言ってすぐに実現するにはプラチナ帝国と同程度の魔法技術が必要になるので、結界魔法をそこまで機密扱いにしようとは考えていなかったようです」


「それにシルバー王国や神聖ゴールド聖教国とは同盟を結びましたので戦争の危険が無くなりました」


「だから問題ありませんよ」


「そうだったのか。たしかに我が国でこの結界を張るには魔力も魔石も全然足りないな」


そうスプルース・ミルキーはつぶやく。


「だが、これで俺の目的に一歩近づいた」


え?と思ったがそのあと、スプルース・ミルキーはとんでもないことを言い出した。


「話は変わるが、一つ提案があるんだ」


「僕も平民軍団長殿と結びつきを強めたいと思っている。なので君のほうから一人私に護衛と言う形でだれかつけてくれないか」


「ああ、ちょうど君の隣にいるレディ。君の護衛だろう?彼女を私の護衛とするのはどうだろう?」


「そうすれば私、ミルキー商会と平民軍団長殿は結びついたと周りは受け止める。そうすれば環境は良くなると思う」


いい考えだろう?と得意満面な表情で僕に提案してくる。


・・・・わざとらしい。演技にすらなっていない。


もともとガーネットを側に置きたくて仕方がないことが見え見えだ。


だけど提案としては悪くないかもしれない。


僕はチラリとガーネットを見ると、ガーネットの赤い瞳は僕のほうを向いていた。


そしてニコリとほほ笑み、顔をスプルース・ミルキーに向けた。


「承知いたしました。平民軍団長様とミルキー商会の間をとりもつために、」


といったん間を置き、


「スプルース・ミルキー様の護衛につきましょう」


ととりもつことを強調してガーネットは護衛を承諾してくれた。


本当にありがとう。


いつも迷惑をかけてごめん。と僕は心の中で謝った。


そんな僕の心の声を知らないスプルース・ミルキーにガーネットは、


「自分の名はガーネットと申します。護衛としてこれからよろしく」


とあいさつをする。


そんなガーネットの言葉を満面の笑顔で聞いているのだった。


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