第5話
「そこまでだ!!!」
僕はリューシェの転移で闇ギルドに所属しているという黒いローブの男が転移したさきの建物に入っていった。
見るからに怪しい人物、ゾーラとその周りにゾーラの従う闇ギルドの者たちが集まっていた。
「なんだあ、てめえはあ!!」
襲い掛かる闇ギルドの者を僕とリューシェが倒していく。
(リューシェの倒す人数が9割以上で、僕が倒した人数は1人です)
「さあ、のこったのはおまえ1人だ!!!おとなしく観念しろ!!そしてその危険な魔神具をそこに置くんだ!!」
僕はゾーラという闇ギルドの幹部をにらみつける。
「くっくっくっく、なぜほとんど活躍していないお前が偉そうな口を利くのかは知らんが」
「う、うるさい!!リューシェは僕の従者だから、リューシェが倒したことは僕が倒したことになるんだ!!」
隣でコクコクとリューシェがうなずいている。
そんな様子を不思議そうにゾーラは見ていたが、再び僕のほうを見て
「おまえはともかく、となりの女は相当やばいな。だが、もう遅い!!魔神具は発動した。俺はこれで創造神に会いに行く!!!」
言い終わると、ゾーラの手にある首飾りが大きく光りだした。
あの首飾り、たしかに侍女のマーヤがつけていたものだ。
「ご主人様。どうやらあの魔神具の効果は転移のようです。それに相当膨大な魔力を貯めているようですわ」
「魔力量からみて、ここではないどこか。もしかするとこの次元を飛び越えた別の場所へ行くことも可能なほどでございます」
ゾーラは誇大妄想なことを口走っていたし、このまま転移させると良くない気がする。
僕はゾーラから魔神具を取り上げることにした。
なんとか転移を防がないと。
僕は走り出し、ゾーラのもとへ駆け付ける。
「ぐっはははははっはは!!もう遅い。すでに起動したわ!!!」
ゾーラの笑い声が響き渡るなか、部屋にはだれもいなくなった。
その場にいる全員が転移に巻き込まれたのだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
僕はどうやら転移に巻き込まれてしまったようだ。
ここは一体どこだろう。
どこへ転移したんだ?
リューシェは次元を超えた場所へも行けると言っていたがまさかね・・・・
すこし離れた場所にゾーラがいた。
こちらからは木の陰になっていて向こうからは見えないようだ。
ゾーラは周りを見渡し、
「おお、ここが創造神のいる世界か・・・・・・うん、うん、清らかな空気だ。まさに創造神のすむにふさわしい世界といえるだろう」
「ぐっふっふ。うあーはははは!やったぞ!転移に成功した!やった。やった!」
全身で喜んでいるのがわかる。
落ち着いてくると、きょろきょろとあたりを見渡しだした。
「ふむ、大きくてきれいな建物だ。それによく見ると自然も豊かで、目の前には海が広がっている。なんて綺麗な場所なのだ」
僕はゾーラが創造神に会ったらどうしようかと考えていて、ふと気づいた。
あれ??ここ、この場所ってどっかでみたことがあるような?
え~と、たしかエクレアに連れてきてもらった異空間の中に似ている気がする。
そんなわけない、気のせいだと思っていたが、やはりよく見ると以前エクレアに連れてきてもらった異空間の休憩地に似ている。
だけど。
やっぱり、ここ、異空間の中の僕の休憩地だ。
だってここの海岸の浜辺に僕作った砂の城がまだ残っているもの。あ、砂の城の上にまだ貝が乗っている。
「え、一体どういうこと??ここは創造神様のいる世界のはずじゃ??」
そうつぶやく僕をよそにゾーラは声をあげていた。
「あ、あなたが創造神様ですか?わたしはあなた様に会うために、え、いや、な、なにをする?!ぎゃああああああああ」
ゾーラはどうやら何者かに襲われたようだ。
僕は声のするほうを見ると、そこには以前、異空間の中で紹介されたメイドのアマリリスがいた。
アマリリスは僕がいることに気づくとにっこり微笑んで一礼をし、相変わらず鈴の音が鳴るようなきれいな声で、
「これはこれはご主人様、ご機嫌麗しゅう、お久しぶりでございます。また、こちらへお越し下さったのでございますね。どうぞ心ゆくまでごゆっくりと」
「われら、使用人一同、ご主人様の訪問とご滞在を心より歓迎いたしましてございます」
そう、ゾーラは創造神がいると思われる場所へ転移したのだが、実は僕の知っている異空間へ移動し、ついて早々にアマリリスに消されてしまった。
闇ギルドは最大派閥をまとめていた幹部を失った。
そのため、急速に力を失うことになる。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
僕は今、異空間の中にいる。
アマリリスらが献身的にお世話をしてくれるのでゆったりできる。
その中でゾーラのことを考えていた。
「ゾーラは魔神具で創造神様がいるという世界へ転移した」
「ところがその世界はエクレアたちの用意した異空間だった」
「ということは、まさかエクレアたちは・・・・」
「創造神さまの知り合い?」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
先日、魔神具によって異空間へ転移させられた僕は、エクレアに頼んでもう一度異空間へつれてきてもらった。
やっぱり同じ世界だった。
ということは、魔神具を使わなくても僕のメイドたちはここへ来れる。
やはり僕が考えたのように僕のメイドたちは創造神様の知り合いなのだろうか。
はっ。もしや創造神様の使徒かもしれない。
たしにかに常人離れした能力を持っているし。
いや、でもまさかねぇ。
聞いたら答えてくれるだろうけど、聞く勇気がでないや。
聞いたら取り返しのつかないことになりそうだし。
結局、事の真相を聞くことはできなかった。
あとでホーネットから、アマリリスについて詳しい紹介をしてもらった。
「アマリリスには、この異空間と邸宅の管理を任せております」
「また、多才な能力をお持ちで魔道具作りも得意としております。作成した魔道具のいくつかは世に出回っておりどれも高い評価を受けていますよ」
「その中でも最高傑作と謳われておりますのが魔神具と呼ばれる物なのでございます」
「そう、アマリリスは魔神具をつくった作成者の1人なのでございます」
「ええ!!」
まさか、あの魔神具を僕に従うメイドが作ったものだとは。
ここまでくるとメイドがすごすぎて僕の存在がちっぽけに思えるよ。
驚く僕をよそにホーネットは、
(まあ、使徒になるための卒業試験的なノリで作成させたものなのですが、ご主人様の表情を見るととてもそんなことまで言えませんね)




