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第2話


今日も僕は晩御飯を腹いっぱい食べて満足していた。


部屋へ戻りくつろぐ。


時間はそろそろ入浴の時間だ。


しかし今夜の僕はいつもと違った。


「デザートのプリン、おいしかったな。まだ残っていると言ってたな。今からこっそり食堂へ食べに行こうかな」


そうつぶやくと途端に我慢ができなくなってきた。


「そんなことをしたらエクレアに叱られちゃうかな。・・・・うん、ばれないようにすれば大丈夫かも!」


ということで、僕はみんなに見つからないように食堂の食材庫へ行くことにした。


たしかあそこの食材庫の中にデザートのプリンのが置いてあったはずだ。


見つかりませんように。見つかりませんように。


僕はそう念じながら、慎重に歩を進めていく。


こっそりと食材庫の扉をあける。


そしてメイドが誰もいないことを確認する。


よし。いない。いまだ!



結論から言うと、僕は無事にプリンを食べることができた。


こっそり部屋へ持って帰り、部屋でプリンを堪能することができたのだ。


やはり、美味い。


美味い。美味い。


は~満足した。


ふふふ。


僕にかかればエクレアの1人や2人、目をかいくぐってプリンをちょろまかすことなんか造作もないのさ!


◇◇◇◇◇◇◇◇◇


僕は今日、話があると言われて商業ギルドへ向かっていった。


久しぶりにエクレアから、


「今日は私がご主人様のお供をしてよろしいでしょうか?」


と申し出てきたのでお願いした。


珍しいこともあるもんだなと思いながら、ギルドに入ると、そこにはギルド長と職員たちが並んで待っていたのだ。


しかもただならぬ雰囲気を醸し出している。


「え?え?なにこれ、なんか偉い冒険者でも来るんですか?それで皆さん勢ぞろいしているとか?」


僕が目をぱちくりしていると、真ん中に立っていたギルド長が、


「いや、俺たちはお前さんを待っていたんだ。単刀直入に言うと、おまえさんを今日限りでこのギルドから追放処分にすることが決まった」


「悪いが、飲み込んでくれ」


そう言うギルド長は申し訳なさそうな顔でいた。


「え、追放、処分・・・・・・ですか。なんでですか!?理由は?」


そう言う僕の言葉をさえぎるように、別のギルド職員が、


「はあ、これだから平民は。理由はねぇ、あなたがいると当ギルドの信用がなくなるからですよ!!」


「いつも、はいはいと依頼を受けていたんだから、この追放処分もはいはいと受けれ入れればいいんですよ。はあ、くだらない。あなたの間抜け顔を見たくて待っていましたが」


「もうこのギルドに来ないでくださいね。品位が下がる」


ギルド職員たちは僕を侮蔑した目で見ている。


僕は愕然とした。


すこし扱いが雑だなと感じてはいたものの、ここまで見下されていたとは気づかなかった。


ギルド長も何とも言えない表情でいる。


周りを見ると、職員以外の他の商業人たちもこちらを見ていた。


僕は前にもこんなことあったなと思い出しながら、最後のあいさつをしようとしたその時、


「お待ちを・・・」


と静かな声がギルド内に響いた。


「いままでご主人様が受け入れていた依頼に何かクレームでもあったのでしょうか?それどころか、もう一度ご主人様に来てほしいという依頼が多いのではないですか」


側に控えていたエクレアが静かに声をあげた。


え?そうなの?


僕のところにはそんな来てほしいという声は聞いたことがなかった。


職員やギルド長は渋い顔をして否定しないところを見るとどうやら本当のようだ。


「ご主人様が築いてこられた信用をご主人様に還元もせず自分たちが懇意にしている商業人に回し、不確かなウワサをもとに真面目に依頼に取り組んだご主人様を追放するのがギルドの方針なのですか?」


静かだが怒りを感じる声でエクレアはギルド長のほうへむく。


ギルド長はビクッとし表情をするが、何も言わない。


代わりに別の職員が口を開こうとすると、エクレアがそれをさえぎり


「あなたの名前、スターチスさん、でしたわね?たしか、懇意にしている商会と結託して毎月ギルド員の給料を少しずつ誤魔化し懐に入れている。ああ、証拠は彼の机ではなく、ロッカーの下に置いてある小箱の、」


と言葉をとめ職員の反応をうかがう。


エクレアの言葉を聞いた職員たちは真っ赤になっていたり、真っ青になったりしている。


他には「まさか」という信じられない表情で「そういや、少し少ない気がすると思っていたんだ」という声がささやかれていた。


「さらに二重底になっている中に入ってますよ。お疑いなら後で調べてくださいな」


エクレアは淡々とした口調だ。


ギルド長がすぐに職員に指示を出し、指示を受けた職員はすぐに走り出していた。


「ああ、あと、たしかシラーさん、でしたっけ?」


エクレアは別の職員のほうを向く。


振り向かれた職員はビクッとする。


「あなたの家族はたしか・・・・娘さんが2人いるようですが、どちらも父親はご主人ではないのですね。そう、ギルド内の出世のため、ですか。ならご主人にも本当のことを言わないとね」


「あなたの稼ぎが悪いから私が出世するために子供ができるほど身体でご奉仕したのよ、と。それはそれはご主人思いですのねえ。ご主人もきっとお喜びになるわ。これはぜひ伝えないとね」


エクレアはニッコリ笑う。


シラーと呼ばれた女性職員はブルブル震えたかと思うと、へたり込んでしまった。


「なぜ、知っているの。もうあの人は転勤して、このことを知っている人はだれもしらないはずなのに・・・・」


とブツブツつぶやく。


聞いている僕もだんだんいたたまれなくなってきた。


なんだこれ?


僕を追放しようという場だったのに、ギルド職員の暴露兼断罪の場みたいになっている。


しかし、エクレアは何でも知っているなあ。


エクレアに隠し事なんて無理だな。


あれ?


そんなエクレアが僕がだまってプリンを食べたこと知らないと思う?


この様子を見ていてとてもそうは思えない。


僕はエクレアの雰囲気に飲み込まれたギルド職員を見て、僕自身、昨日黙ってプリンを食べたことをエクレアは知っているはずだということに気づいてブルブル震えてしまった。


そして、そんな僕に構わずエクレアはその場にいる職員の半分以上に、それぞれが隠していた罪を次々と暴いていくのだった。


「それと・・・・・・」


まだまだエクレアの暴露は続く。


職員はエクレアに顔を向けられるとヒィッと叫ぶ。


「あなた・・・・、たしかご主人様を担当していた受付嬢ですわね」


エクレアは僕の担当をしていた受付の女の人に狙いを定めた。


「そう、良かったですわね。結婚が決まったのですか。妊娠したので責任をとって、ねぇ」


「ですが、その子供の父親は結婚相手の方ではないですよね」


というが受付嬢はイヤアアアと言って崩れ落ちた。


「あらあら、しかもできた子供はすぐに堕ろしたと。絶対子供は幼なじみとの子供しか生みたくない。けど幼なじみは日雇いで経済力がないからと」


「まあまあ、愛する男性との子供と経済の両方を得るためにしかたなく、ですか。それなら仕方ないですわよね」


エクレアは仕方ないような表情をする。


だが、周りの職員はドン引きだ。


かく言う僕もドンびいた。


愛くるしい表情と確かな仕事ぶりでギルド内でも人気があったのに、こんなドロドロした裏があったなんて。


「で、その外面の良さを利用してご主人様目当ての指定料を勝手に着服していたと」


「そしてさも、ギルドでも困ってますと言う雰囲気を出してご主人様に無茶な依頼を押し付けていたんですねぇ」


エクレアの言葉を聞いて、泣いていた表情が無の表情になる。


「それは横領罪で犯罪になるな・・・・・・」


ギルド長がつぶやいた声が静かにギルド内に響いた。


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