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第3話

あのあと、僕たちは大歓迎を受けた。


理由は回復魔法を使えるからだ。


正確には僕ではなく従者のリューシェだが、僕の許可なく回復魔法は使わないと周りの者に言ったため、僕が歓迎を受けることになった。


できれば国へ帰らずこのフクシア教国にとどまって回復魔法で治療をしてほしいと懇願された。


しかし、それを聞いて面白くないのは聖女プリムローズだ。


プリムローズは彼女の数多くいる侍女の1人から僕のことを聞いたみたい。


王城の1室に僕のために用意された部屋へわざわざやってきたのだ。


「ここなの?!偽聖女のいる部屋は!!」


大きな声で乱暴にドアを開けて聖女プリムローズは部屋へ入ってきた。


「ん、なあに、どちらなの?偽聖女は」


僕のほうを見て、


「あなた、男よね。じゃあ聖女じゃないわよね。じゃあ、そっち?」


そう言って従者のリューシェのほうをみる。


リューシェは目立たず体型のわからないローブを羽織っている。


「でもあなたも女かどうかわからないわ。それに地味だし。気を抜くと視界に入っているかどうかも分からなくなるわ」


「こんな人たちが回復魔法を使っただなんて、うそね」


「まあいいわ」


「たとえあなたたちが回復魔法を使えたとしても私の方がこの国では身分が上なのよ。わたしは聖女よ」


「ふふふ、少しでも目障りなものは排除するに限るわね。マートル、この者たちを牢にいれなさい」


聖女プリムローズは側にいた高位貴族の服装をした男性にそう命令した。


高位貴族の服装をした男性、マートル・アンプロシア侯爵子息は聖女プリムローズの側にずっといさせられていたのだ。


下手をすれば母親の治療が受けられなくなる。


「ぐ、ゆ、許してほしい。手荒な真似はしない。どうかおとなしくついてきほしい」


僕とリューシェはその言葉に静かに従うことにした。



牢屋の中。


リューシェが、


「お辛くはございませんか。ご主人様?」


と聞いてくれた。


「うん。大丈夫だ。平気。リューシェこそ辛くないのかい?」


「はい。私は、英明なるご主人様と一緒であればどのような場所でも天国に思えます」


リューシェは顔を赤らめながらいう。


それは言い過ぎじゃないか。まあ辛くないからいいか。


しかし僕のメイドたちは僕への愛が強すぎる気がする。


きっと姉が弟をみるような気持ちだ思うけど、もうちょっと自分の魅力を自覚してほしい。


ものすごい美人なんだからあんな言い方されると誤解をされるよ。


僕以外の男性にあんなこと言わないか心配だ。


そうあれこれメイドのことを考えていると眠気が出てきたので、僕は少し横になった。


するとどこから出したのかリューシェが、


「寝るのであれば、この毛布の上で寝てくださいね。あ、添い寝も致しましょうか?」


僕はリューシェが異空間から出してくれた毛布の上で寝ることにした。


あ、添い寝は丁重に断ったよ。子供扱いみたいで恥ずかしいし。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇


私の名はわけあってマーヤと言います。


本名は違うのですが今は言えません。


今は王妃様付きの侍女として働いております。


ですが、控えめに言って私は常日頃から王妃様に虐待まがいの仕打ちを受けております。


夜遅くまで仕事を言いつけられ、朝はまだ暗いうちから起きて仕事をするよう命じられています。


また、王妃様が行くところを必ず側についていくよう厳命され、食事をする時間も取れないありさまです。


今日は起きた時から頭が痛み、風邪を引いたかもしれないと思っていました。


案の定、お客様の目の前で意識を失い、倒れてしまったようです。


回復魔法で回復し気が付いたらすぐに王妃様の後を追いかけなければいけなかったのでお礼を言うことはできませんでした。


ですのでのちほど牢屋へ助けてもらった礼を言いに行きました。


「あの~。マーヤと申します。さきほどは助けてくれたお礼も言えませんで、礼を欠きました。申し訳ございません」


するとローブを羽織っていた方から驚くべき言葉をかけられたのです。


「それはそうと、プリムローズさん。あなたはなぜ、聖女の役目をせず、マーヤと言う偽名で王妃付きの侍女をしているの?」


その言葉に私は驚きのあまり、目がくらみまた倒れそうになりました。


なぜならその言葉はまったく正しく、そして私はそのことを隠して生きてきたからです。


「な、な、なぜ、そのことを知っているのですか?秘密は完全に隠してきたはずなのに・・・・・」


私は今まで頑なに隠してきた秘密を言い当てられて動揺するとともに、気づけば牢屋の中に入れられている目の前の人がまるで創造神様か聖処女神エリューシオン様の化身かと見まがうような魔力を発していることに気が付いたのです。


そう、私は相手の魔力を感知することができるんです。


目の前にいる方はとても地味なローブを羽織った何の力もないふうに装っていますが、魔力はまるでこの大陸全てをすっぽり覆いつくすほどな大きさなのです。


私はそのことがわかるとあまりの魔力の大きさにガタガタと体全体が恐怖で震えてきました。


相手の方は目を閉じ、魔力を抑えてくださいました。


あ、もしかして私が魔力に怯えているのに気づいて抑えてくださったのかな?


親切だなと思っていると、


「質問を変えましょう。あなたが首にかけている呪いの首飾りはだれからもらったのですか?」


え?呪いの首飾り。


これは初めてこの国に来た時まだお優しかった王妃様が手ずから渡してくださり、何があっても外してはいけないと言われた首飾りです。


これは魔道具だから安全よと言われたのですが、この首飾りのことを指しているのでしょうか?


私はそっと首にかけている首飾りに手をかけた。


すると、バチッと弾く音がする。


ええええ。


首飾りをとることができない。


どうして?


やっぱり呪われているの?


じゃあ、王妃様は本当に私のことが嫌いでこの首飾りをつけさせ、毎日虐待まがいのことを私にしていたんだ。


王妃様の本当の気持ちに気付いた私は思わずひざをつき、涙が止まりませんでした。


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