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第2話


今日のギルドからの依頼は他国への配達であった。


場所はフクシア教国。


プラチナ帝国の隣にある国だ。


隣とはいえ、馬車を使っても2日ほどかかるほどの距離だ。


依頼人はフクシア教国の王妃殿下付きの侍女である。


まあ、こういうものはたいてい王妃自らの要望だが、侍女の名前で依頼を出したのだろう。


届け物は箱に入っている。


当然開封は厳禁だ。


ただ、箱の大きさや持った時の重さからみて魔石が入っているのだろう。


かなり大きな魔石だと思う。


まあ、そんなことよりフクシア教国まで行くのだからついでに観光でもしようか。


聞いた話だとプラチナ帝国と同じぐらい繁栄しており国民も穏やかで過ごしやすい国らしい。


それぐらいの軽い気持ちで僕は依頼を引き受けた。


今回は従者にリューシェを選んだ。


馬車はギルドが用意してくれていたのでそれに乗っての旅だ。


途中の暇つぶしにリューシェからフクシア教国の歴史を教わっていた。


その教わったフクシア教国の歴史は次の通り。


かつて、フクシア教国はフクシア神教国と言う名前であり、当時の大国であったゴールド王国と敵対していたらしい。


どちらも創造神様を祀っていたのだが、どちらも自分こそが正しいと主張しあっていたみたいだ。


500年前に、ゴールド王国の同盟国から空の勇者があらわれ、フクシア教国からは大地の勇者と呼ばれる勇者が出現したそうだ。


「ちょうど、ここを行ったところにあるウェッジの町が大地の勇者の出身地らしいですわ」


とリューシェは山のほうを指さす。


その後は空の勇者が魔王を討伐し、フクシア神教国は力を失いゴールド王国に屈したらしい。


その後、プラチナ帝国が台頭してきてその国の傘下に入ったことでいまの繁栄を築いたそうだ。


フクシア教国に着いた僕たちは指定先の王城へ行き、依頼主の侍女を呼んでもらった。


王城の広間で待っていると、金切り声をあげた女の人がやってきた。


「ああ!!まったくもう。うっとうしいったらありゃしないわ!!ふん!!」


とぞろぞろ複数の侍女を引き連れており、そのうちの一人に対してずっと文句を言っている。


僕が呆気に取られて眺めていると、その金切り声を上げていた女の人がこちらに気づき、


「だあれ、あなたたち。ちょっと護衛の騎士たち。役に立たないわね。不審者がいるわよ。さっさと追い出してちょうだい!!」


護衛の騎士が僕たちを拘束しようとしたところで、


「お待ちなさい」


と静かな声でそれを止める命令が出た。


王妃殿下だった。


この国の王の隣にいるべき王妃殿下とその侍女らしき人物がゆっくりこちらへ近づいてくる。


「遠いところ、荷物を運んでもらいご苦労であった。侍女のマーヤ宛の荷物であるが、本当の依頼人はわらわなのよ」


僕は礼をして預かっていた荷物をマーヤと言う侍女に手渡した。


マーヤと言う侍女はおどおどした感じだ。何かに怯えているようにも感じられた。


「ご苦労」


「それと聖女どの。そのように大声で侍女をいじめるものではないぞえ。はしたなく見える」


王妃殿下はキーキー言ってた女の人に向けて言った。


え、この人聖女なの。こんな性格の人、聖女らしくないなあ。


言われた聖女様はブスッとした顔をして部屋へ戻っていった。


「災難であったな」


そう王妃殿下に声をかけられたところで、ドサッと音がした。


王妃付きの侍女であるマーヤと言う侍女が倒れてしまったのだ。


「大変だ。すぐ聖女様を呼べ!!」


と聖女を呼ぶ声が聞こえたが、王妃は何でもないような声で、


「あら大丈夫よ。ね。平気よね。ほら立ちなさい。いつまで寝ているの」


と言う。


しかしマーヤはピクピクして動かない。


その状況に合わない王妃の口調もおかしいし、倒れている侍女を誰も心配しようともしない状況もおかしく感じられた。


このおかしさに気づいた僕はすぐに倒れているマーヤのところへ行き、手を口に持って行って呼吸があるかを確認する。


僕の行動を周りは黙ってみている。


王妃も僕のすることをなんでもない目で見ている。


逆に自分の侍女が倒れているのにこんな目をすることがおかしいのだ。


僕は思い余って、


「リューシェ、お願いできるかい?」


と従者のリューシェに回復をお願いした。


「もちろんです」


という声とともにマーヤの身体を銀色の魔力が囲い、光った。


聖属性魔法、いわゆる回復魔法をかけてもらったのだ。


その中でも最上級のレベルといっていい。


「あ、あれ、わたし、そうだ。倒れたんだ」


マーヤと言う侍女は身体をさっと起こし、王妃を見つけると怯えた目で


「王妃様、申し訳ありませんでした」


と頭を下げる。


「別にいいのよ。さ、行きましょう」


王妃殿下はなんでもなかったような様子で、スタスタと行ってしまう。


マーヤはその後をついていく。


その場に残された者たちの出す雰囲気は見たくないものを見せられて困惑しているという感じだった。


僕も王妃に対しても周囲に対しても憤りを感じていたが、なによりあのマーヤという侍女の怯えた表情が最もおかしく感じていた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇


去っていく姿を見て


「やはり、あの子は聖女ですね・・・・・」


リューシェは誰に聞かせるわけでもなくポツリとつぶやいていた。


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