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メインエピソード6  聖女の不正     第1話

フクシア教国。


この国はプラチナ帝国と最も親密な関係を作ることに成功しておりプラチナ帝国に次いで発展していると言われている。


プラチナ帝国傘下の国としては最高位である序列1位だ。


国王とその王族の魔力は高く民思いで、国民からの支持も厚い。


それを補佐する大臣もフクシア教国と国王に忠誠を誓っており反乱のきざしなどかけらもない。


次代を担う貴族の子息、令嬢にも不貞を働こうという考えはなく婚約者同士も仲が良く、親交を温めあっている。


さらには、この国民のほとんどが聖属性の魔力を持って生まれ、非常に穏やかで思いやりにあふれた国民性であると言われている。


ここまで挙げればこの国はなにも悩みがなくとても平和な国のように聞こえるが唯一にして最大の悩みがこの国にはあった。


その悩みは国王以下貴族平民を問わず、共有していると言っても過言ではない。


「これさえなければ我がフクシア教国は中央平原一の素晴らしい国なのに」


そう言われるほどこの悩みは、フクシア教国をおとずれる旅人、冒険者を問わず広く周知されているのだ。



「キーーー。痛いわよ!!なあに、私に危害を加えるつもりなの!!侍女の分際で!!」


「申し訳ございません。そのようなことは決して。痛みを与えてしまったことはお詫びいたします。どうかお許しを」


「もういいわよ。あなたはクビよ。クビ。さっさと私の前から姿を消しなさい!!」


この会話はもはや王城内では日常茶飯事である。


護衛の騎士も側に控えている数多くの侍女も暗い顔をしている。


声の主は聖女。聖女プリムローズという。


聖女はプラチナ帝国内にあるエリューシオン教会から派遣されており、教会の責任者である大司教の判断で派遣される聖女が決まる。


十年前、プリムローズが12歳になると聖処女神エリューシオンに聖女として認定された。


その後、教会に引き取られ聖女の修行を終えるとすぐにこのフクシア教国に派遣されたのだ。


きた当初は大変つつましやかで世話をしてくれる侍女にいつもお礼をいうほど淑やかであった聖女プリムローズはある日突然、人が変わったように周りの侍女をいじめだしたのだ。


「はあ、またですか。今度は何が原因ですか?」


「なんでもあの侍女は聖女様が目にかけておいでの騎士どのと婚約をしたかららしいですよ」


という会話がなされる。


聖女プリムローズは自分のために侍女を揃えろという。


国王はほかでもない聖女のために侍女をつけるが毎日3回はいちゃもんをつけクビにしていくのである。


そして王城内をうろつき見目麗しい男性がいるとすり寄り、その男性に婚約者がいるとわかれば手を回し侍女にさせ罵倒して辞めさせる、ということを繰り返している。


しかし、聖女としての実力は本物で日に数回とはいえ、医者でも直せない難病の病人を何人も回復魔法で治療しているのだ。


聖女としての実績があり、国王自身も不治の病を治してもらったことがある以上、聖女の振る舞いや言動に問題があったとしても強く言い出せないでいる。


「私は聖女なのよ。私がいないと難病を治せる人がいなくなるわよ。それが嫌なら私に頭をさげて私を敬いなさい。ましてや平民など、ハッ、ゴミムシ同然だわ」


このような暴言まではく始末。


国王はあまりのひどさに家臣からの勧めもあってエリューシオン教会の大司教に聖女を変えてくれるようにお願いしたこともあった。


ところが、どうも反応がおかしい。


「いや、まあ、その、疲れているのでは?」


とあいまいな態度をとる。


どうもおかしいと感じた国王たちは聖女プリムローズのことを調べてみると、この件はエリューシオン教会ではなく、プラチナ帝国5大公爵のひとつであるアマランス公爵家が関わっていることが分かった。


たとえ王国といえど、宗主国の公爵家のほうが財力も権力も発言力も上である。


しかし、なぜアマランス公爵家が我が国の聖女と関わりがあるのか。


もともとアマランス公爵家は聖女とエリューシオン教会に深く関係のある家というウワサだったが。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ねえ、マートルさま~。あんなブスと婚約関係を結ばされておかわいそうだわ。あんなブスとは婚約破棄をなさって私と結婚してくださらない~」


「え、そ、そんなことできないよ。それにブスって、カトレア王女殿下のことかい?だれもカトレア王女殿下をブスなんて思ってないよ」


「いいえ!私がブスと言ったらブスになるんです。それともぉ、マートルさまはぁ私のほうがブスというのかしらぁ」


「そんな悲しいことを言うのならぁ、今度治療する予定のぉ、マートルさまのお母さまへの回復魔法、十分に魔力をのせられなくなるかもぉ、しれませんねぇ?」


聖女プリムローズはクスクスと笑う。


「そ、そんな、母を人質にするなんて」


私は抗議めいた言葉を言いそうになるのをグッとこらえた。


私マートルはフクシア教国のアンプロシア侯爵家の嫡男だ。


私には幼き頃より婚約関係をむすんだ愛しい人がいる。


その人はこの国の王女殿下であらせられるカトレア・フクシアン。


フクシアン王家とアンプロシア侯爵家との結びつきを強めるために結ばれた婚約者だ。


しかし、私もカトレア王女殿下も政略結婚とは理解しつつもお互いに一目ぼれで愛し合っている。


ところがこの「困らせ聖女」プリムローズはこのような王女殿下への暴言を吐きながら私に婚約を迫るのである。


しかも母上の治療を人質にとってまで。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「・・・・・・というわけです。もう我慢の限界です!!なんとかあの「困らせ聖女」を追放することはできないのですか。私にたいする無礼だけでなく、王女殿下やあまつさえ母上の治療を盾にしてきたのです」


マートル・アンプロシア侯爵子息はフクシア教国の国王に直訴せんばかりに国王の執務室にまでおしかけて涙ながらに聖女の横暴さを訴えていた。


婚約者が押し掛けてきたというのでカトレア王女も国王の隣で話を聞いていたのである。


「マートル様・・・・・よくぞ、我慢をなさいました。大変お辛かったことでしょう。どうか、辛い顔をしないでくださいませ。私のことはいいのです。聖女様が望むのであれば婚約も解消いたしましょう」


カトレア王女は目に涙を浮かべる。


「待て、それはいかん。待て待て少し落ち着け!!」


「わかった。我が国の貴族の婚約にまで口を出すようであれば、たとえ治療を盾に取られようとわしは聖女どのに対しはっきりとした態度をとらねばならん」


国王は毅然とした口調で言った。しかしカトレア王女は、


「ですが、お父様。そうなればマートル様のお母さまが治療を受けられません。マートル様のお母さまは私にとっても母同然でございます。どうかご容赦を」


と言う。


マートルはそれを聞いて婚約者が自分と家族を大事に思っていてくれることに嬉しくもあり、そんな婚約者にここまで悲しいことを言わせた聖女に対し怒りを感じていた。


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