ショートエピソード 邸宅のお客様3
今日のお客はなんと神聖ゴールド聖教国の女王陛下だ。
何を馬鹿なと思うだろ。でも本当なんだぜ。
ゴールデア女王陛下。
腰まで届く流れるようなブロンドの髪に陶磁器のような白い肌。慈愛を湛えた瞳。
はじめて素顔をみたけど、びっくりするほど若い。
まだ20代かもしくは、17、8歳でも通用するぐらいと言っていい。
まさか、平民である僕が王様の中の王様であるゴールド王国の女王陛下をこの目で見る日が来ようとは!!
ゴールデア女王陛下はこの名で神聖ゴールド聖教国という歴史も国力もある大国を500年以上も統治してきた中央平原でも最も高貴な方と言っていい。
人族のような外見だが、人族でありえない寿命だ。
かといってエルフ族でもないし、魔力の波長から魔族でもない。
一体どうやって長寿を保っているのだろうと考えていると、女王陛下が僕のもとへやってきた。
あ、一応主人は僕だからその挨拶かなと思っているとゴールデア女王陛下はゆっくりひざまづき、そして頭を下げた。
まるで土下座をしているようだ。平民の僕に!!
どうしようかと焦っているとゴールデア女王陛下はゆっくりと口を開いた。
「はじめましてご主人様。わたくしはいま、神聖ゴールド聖教国の女王をつとめておりますゴールデアと申します。位階第170位の使徒にございます」
「挨拶が遅れ大変申し訳ありませんでした。これからはご主人様の忠実なしもべとしてお仕えする所存にございます」
「わたくしは、社会的には神聖ゴールド聖教国を統治する地位にいますので、ご主人様の意のままに神聖ゴールド聖教国を動かすことが可能でございます」
「また、この肉体、知識、美貌、つたないものではございますが、ご主人様に使っていただければこれに勝る悦びはございません」
僕はあまりの内容に目をぱちくりさせていた。
え?なにこれ?女王さまでも冗談、言うの。
あ、でも使徒って言ったよね。
だからかエクレアの使徒、お弟子さんだから僕にもそういう言い方をしたってこと?
社交辞令?にしても国を意のままにとか知識を使ってとか・・・・・・
僕がどう返答しようか悩んでいると、横からホーネットが.
「ふふふ、ゴールデア女王陛下、どうやらご主人様は決めかねているご様子ですわ」
そう言って助け舟を出してくれた。
それを聞いてゴールデア女王陛下は雰囲気を柔らかくして、
「あらあら、申し訳ございません。でも、困ったことがあったらなんでも言ってくださいね。私はこちらにいるホーネット様と連絡を取り合っているので」
さらに、
「本当に遠慮なさらないでね。我が国が誇る聖教六武威にもなにかあれば協力するようにと伝えてありますのでね」
とまるで少女のような笑みを向ける。
僕はチラと窓から外の様子を見る。
邸宅の外は神聖ゴールド聖教国の護衛兵が少数ながら待機している。
その中に交じって聖教六武威の1人であるマホガニー将軍が立っていた。
聖教六武威のマホガニー将軍は僕も面識がある龍族の将軍だ。
女王陛下の護衛としてこのプラチナ帝国にある僕の邸宅に来たのだろう。
マホガニー将軍は長く神聖ゴールド聖教国の武の象徴として聖教六武威に君臨してきた実力者で、ある事件をきっかけに僕もその力を借りたことがある。
マホガニー将軍はとても頼れる兄貴的な存在なのだ。
聖教六武威はマホガニー将軍以外にも魔族のフラグラント将軍やキャナリィ将軍、エルフ族のミモザ将軍等、伝説的な存在がいる。
特にミモザ将軍は500年前には当時の勇者のパーティに入って魔王討伐の任にもついたことがあるらしい。
そして最近有名になったのが六武威筆頭の、
「あ~ら~、これはこれはゴールデア女王陛下!!麗しゅうございますぅ」
とても明るい声が聞こえてきた。
最近メイドとしてエクレアに師事することになった龍族のナイルだ。
本人がいうには、六武威筆頭の座についているらしい。
底抜けに明るいその様子からは六武威という伝説級の役職についているようには見えない。
だけど、実力はある。
ナイルも龍族だ。そして龍族の長でもあるらしい。
肩書だけみればすごいのだけれど威厳を感じさせない明るい物言いは僕の気分を明るくしてくれる。
女王陛下はそんなナイルを見て、
「うふふ、久しぶりね。ナイル。ご主人様にご迷惑はかけてませんか?これからは私も一緒に使徒としてお仕えするつもりよ。よろしくね」
その言葉にナイルは
「はい~~。こちらこそ~」
と明るく答えた。
ゴールデア女王がホーネットとナイルに挨拶をし終わった。
僕はいまだにドキドキしている。
やっぱり使徒、弟子だと言っても僕にとっては雲の上の存在だから。
そんな僕の心の内を知ってか知らずかしょっちゅう僕に視線を送り、目が合うたびにニコリとほほ笑んでくる。
そのたびに僕はドキドキしっぱなしだ。
ひととおり話を終えた女王陛下は「今日のところはこれでお暇を」と言い腰を上げた。
そこで廊下に控えていたガーネットを見つけた女王陛下は驚いたような表情で、
「あら・・・・・・久しぶりね。ク」
「お待ちを女王陛下。その名はすでに捨てました。いまはガーネットと呼んでください」
「ウン、そ、そうね。そうだったわね。ごめんなさいね。久しぶりに会えてうれしさのあまり、つい」
どちらも気まずそうなよくわからない雰囲気を出している。
なんのことやらわからないが、どうやらゴールデア女王陛下はガーネットと顔見知りのようだ。
いやそれ以上の仲のようにみえた。
女王は、まるで我が子を見るかのようにガーネットを見ていた。




