メインエピソード5 2人の文官2 第1話
「あ、このネックレス返しそびれちゃった」
わたしは彼から預かったネックレスを触りながら独り言をつぶやいていた。
わたしの名はエリカ。
今は平民の身分だけど、もともとは貴族の生まれなの。
今は亡きブルー王国の貴族として生を受けたわ。
でも、隣国のコーラル王国に攻められ滅んだ。
いまは、幼なじみだったリナリアと一緒にこのプラチナ帝国で生活をし、皇太子宮で文官として働いている。
さらにわたしは皇太子補佐官というエリート中のエリートになるべく試験をうけ、その内定通知をもらった。
まあほぼ決まりよね。
内定が来た日は嬉しくてリナリアと朝まで飲んで祝ってもらったわ。
その試験に受かるためにってこの付与魔法がついているネックレスを彼から預かったの。
試験に受かるための応援だって言われて。
内定ももらったしほぼ受かったも同然だから彼にこのネックレスを返そうと思っていたら先日、彼と意外なところであったんだけど、私も空腹だったり別のことに気を取られたりですっかりネックレスを返しそびれた。
それまで大事にしまっておくとするわ。
彼からの大事な預かりものだし。
彼。確か名前はグリーンと言うのよね。
(作者に代わってエクレアからの一言メモ)◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ご主人様の名前はグリーンと言います。
気づけば今作品もページがかなり経っているというのにようやくご主人様の名前が初めて出ました。
読者の皆様も混乱されたかと思いますが「僕」と言っている方の名前はグリーンです。
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初めて会ったときはボーッとしてるように見えてそっけない態度をとってしまったけど、どんな無茶にも文句ひとつ言わずついてきてくれた。
貴族の文官からのありもしない中傷にもへこたれず、必死で自分の職務を全うしてくれたわ。
気づけばいつも私は彼のことを考えるようになっていた。
でも、私にはある目的がある。
それが叶うまではとても男女のお付き合いをしようという気にはならない。
まあ地味な私から誘われても男性はうれしくないだろうし。
だから私の目的、ブルー王国を救ったアザレア平原の戦いで活躍したという平民隊100人隊長に会ってお詫びするまでは、遊んでいる暇なんか無い!!
(作者に代わってエクレアからの一言メモ)◇◇◇◇◇◇◇◇◇
この方が言う100人隊長とは、ご主人様のことです。詳しくはシリーズ第1作目をご覧くださいませ。
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「さて、時間だわ。皇太子殿下に呼ばれている時間はそろそろね。一体何の御用かしら?うう、少し緊張するわ」
私は部屋をでて皇太子殿下の執務室まで足を運んだ。
「やあ、待っていたよ。エリカ補佐官。と、そうだった。まだ正式には補佐官ではなかったね」
皇太子であるローレル殿下は部屋に入った私ににこやかにそう告げた。
「内定通知は送ったけど、正式に補佐官になったわけではない。今日来てもらったのはそのことについての話をするためだ」
「君の能力や実力は十分に補佐官として満たしていることは、私を含め側近や他の補佐官も認めていると思ってほしい」
「しかし、慣例により筆記試験を受ける必要があるんだ」
とここで皇太子ローレル殿下は一度言葉を切った。
「それでは、筆記試験をうけろ・・・・とそう仰るわけですか」
「そうだよ。1か月後にこの執務室で筆記試験を受けてもらう。でも形式的なことだと思ってほしい。だってこれから君に補佐官としての仕事を割り振るつもりだからね」
つまり、実質補佐官になったけど、慣例として、筆記試験を形だけでも受けろということね。
もちろん私に否やはない。もともと筆記試験を受けるつもりで勉強をしてきたのだから。
そして補佐官として仕事を割り振ってもらえるなんて私にとって嬉しい事だ。
「仕事と筆記試験の勉強、大変だと思うが両方、よろしく頼む」
そう告げられ私の前に仕事が割り振られる。
割り振られた内容も帝国の機密にあたる部分が含まれており本当に補佐官として扱われていることが分かった。
私は周りにわからないように小さくガッツポーズをして部屋へ戻った。
2週間後。
「姉様。試験勉強は順調?」
とかわいい妹分であるリナリアが私に声をかけてきた。
「ええ。順調よ。ありがとう」
「あともう少ししたら補佐官の筆記試験なんでしょう?それが終わったら正式に補佐官として名乗れるようになるのね」
「なんだか楽しみだわ」
そう言ってリナリアは嬉しそうに笑う。
私だって嬉しい。
だけど喜びすぎて油断して筆記試験の内容は思わしくないという事態にならないよう勉強に手抜きはできない。
再び私は机の上に集中する。
と、部屋の扉がノックされた。
だれか来客が来たようだ。
なんて間の悪い。いませっかく集中していたのにと残念に思っていると、リナリアが
「え。えええ。ええええーーーーー。試験問題用紙が盗まれた!!そのせいで筆記試験は延期!!」
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僕は今日は珍しくギルドを通さずに皇太子宮に来ている。
以前いっしょに働いたことのあるエリカさんから直々に助けてほしいというお願いで来たのだ。
なんでも皇太子補佐官の筆記試験を受ける予定だったのに、その試験の問題用紙が盗まれてしまったらしい。
取り返すことも必要だが、犯人を見つけて試験が再開できるようにしてほしいとのことだ。
このことを教えに来たのは同じ補佐官で、補佐官の中では一番長く皇太子殿下のそばに勤めている。
その方から、この件は誰にも口外しないようにと言われた。
それは当然のことだと思う。
皇太子宮の中で盗難があったと事はとても不名誉なことだ。
またそのような犯罪を犯すものが皇太子宮の中にいるということにもなる。
リナリアさんは仕方がないとしても部外者の僕にまで言ってよかったのかと心配になる。
エリカさんからはこのことは秘密のままで一緒に犯人探しをしてほしいと言われた。
もちろん僕は快く了承し、皇太子宮に来たというわけだ。
僕は探し物をしてほしいと聞いていたので、エクレアから探し物を見つける魔道具を借りてきた。
早速それを使ってみると、探し物である問題用紙の方角を魔道具は示した。
僕たちはドキドキしながら指し示す道を進んでいくと、ある皇太子補佐官の執務室に行きついた。
エリカさんは補佐官の名前をみて絶句していた。
「この部屋は私に試験がなくなったと伝えてくれた方の部屋だわ」
「一体どういうことかしら。まったくわけがわからないわ」
エリカさんは首をかしげている。
しかしこのままでいるわけにいかないので、部屋をノックし部屋に入った。
部屋の主である補佐官は僕たちを見て、
「なんだね、エリカ君。探し物は順調かね?」
「そのことなんですけど、もしかしてあなた様が問題をお持ちなのでしょうか?実は知り合いに協力して魔道具を使ったところ、この部屋に行き着いたのでございます」
「何、知り合い?それは困ったことをしたね。この件を部外者に知らせるなんて」
と不機嫌そうに言う補佐官を横目に、僕は部屋に入り、魔道具を動かした。
すると魔道具は補佐官の机を差し示す。
それを見たエリカさんは「失礼」と言いながら補佐官が座っている机の引き出しを無遠慮に開けた。
すると探していた補佐官の問題用紙が入っていたのだ。




