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第5話

「いいんじゃよ。わしの自業自得なんじゃ、おぬしには命を助けてもらって感謝しとるよ。ぐふっ」


とこれまでに見たことがないぐらクレマチス侯爵様はしおらしい態度になっていた。


このままでは寝覚めが悪いので、どうしようかと考えていると、ナイルが


「お困りなのであれば、ポケットにあるポーションを飲ませてはどうでしょう?」


と助言をしてくれた。


そうだった。


旅にでるまえにエクレアから大量にポーションをもらっていたっけ。


あぶないあぶない。すっかり忘れていた。


・・・・・あれ?ナイルにそんなこと言ったっけ。


まあいいや。


僕はポーチからポーションを1個取り出しクレマチス侯爵様に飲ませた。


ゴクゴクゴク、ピカァ。


「ん?んん、う~ん、おお、なんだか気分がいい。いま、飲ませてくれたのはなんだ?」


「ポーションです」


「んん、ん~、おかしいぞ。これはポーション程度のものではない。毒だけでなく、身体のあちこちの痛みが消えている。伝説にきくエリクサーと同じ効果が出ているとおもうぞ」


「少年、お主、そのポーションはどこで手に入れた?まさか店とは言うまいな」


「え、あ、はあ。このポーションは家の者からもらいました」


「そうか、ではその者が作ったのか。ならば間違いなくその者は最高レベルの錬金術師じゃ。これはまぎれもなくエリクサーじゃ」


「エリクサーは万病を癒すという。現にわしのいぼ痔が治っている。ポーションではこうはいくまい」


「じゃがなあ、こんなに簡単にエリクサーで治されると、エリクサーの材料を探す意味がなくなるわい!!!」


僕たちは、このあと、無事に龍族の集落についた。


ここに炎の龍がいるらしい。


あ、戦って倒すとかじゃないよ。


そんな野蛮なことをする必要はありません。強いし。


ちなみにエクレアから聞いてきたけど、龍族は他種族の追随を許さないほど強い。


その理由の一つに「魔法剣」というとんでもない技があるらしい。


この「魔法剣」。


なんでも、攻撃魔法を自分の身体にかけ、魔力を攻撃力に変えてしまうという方法で威力は絶大だが身体への負担も大きいという荒技だという。


なぜだか、エクレアから、


「人族が絶対に使ってはいけない技ですよ。魂の力が削れてしまいます」


そう言って圧を感じる説明をされてしまった。心配しなくても僕が使うはずないのにね。


・・・話がそれてしまった。


とにかく僕たちは炎の龍さんにお願いをしてウロコをちぎってもらいそれを交渉して購入することを目的として来たのだ。


まあ、かなりの高額になるらしいけど。


集落の入り口にくると、ナイルが急にこちらの方へ振り返り、


「ようぅこそ、みなさぁん。我ぁが龍族の集落へ。改めて、あぁたくしは龍族の長をつとめますナイルと申します。みなさんを心より歓迎いたしますわぁん」


と少々芝居がかった言い方をした。


え!!!ナイルって聖教六武威の一人というだけでなく龍族の長でもあったのか。


そんな偉い人に案内までさせていたなんて。居心地悪いなあ。


あ、ちなみに龍族は、年を経ると人間に化ける力を得る。


目の前にいるナイルも龍族の長ということは龍族だし、人族の姿をとっているのは人間に化けているということだろう。


「たしか、お求めの品は炎の龍のウロコでしたわねん。さっそく炎の龍のいるところへ案内しますわん」


と言って、侯爵様と従者のベンさんをどこかへ案内した。


残された僕を見てメイザリン様が話しかけてきた。


「あー、ところでだなぁ。あのときのぉ君には驚かされた。あのぉとんでもない魔法」


「なんて言ったかぁ。ああそうそう、ブースターと唱えた君のぉ魔法。凄まじい効力だったぁ。あんな魔法が実在するとは」


(500年前に使われていたら私は勝てなかったな・・・)


「え?なんて言いました?」


「あ、い、いいや、なんでもないぃ。あのブースターとかいう魔法はぁとんでもなく素晴らしかったと言いたかったのだぁ」


あせったようにメイザリン様は僕をほめてくれた。


「いやあ、あの魔法、1秒しか効果がないうえに使うと3日間は動けなくなるんですよ。今回も気を失う羽目になったし」


「なるほどぉ。そうだったのかぁ。やはりぃ、強すぎる魔法は反動も大きいのだな」


「そうなんです。使いどころが難しくて。今回はメイザリン様たちのところへ行けば助かると確信していたから使えたんですよ~」


「なるほどなぁ。ははは」


僕とメイザリン様が和やかに会話しているところで、ナイルが戻ってきた。


そして僕に対しうやうやしくひざまずき、


「うっふっふっふう。改めましてご主人様、あぁたくし、エクレア様の使徒で位階第91位の座を預かるナイル、でございます」


「ああたくし、こう見えてもご主人様の忠実なるしもべ、にございます。以後、気軽にナイルと呼び捨ててくださいませね。うふふ」


そう言いながらもうっとりした目を僕に向けている。


「え~と、もしかしてナイルもエクレアの使徒、なの?」


「はいぃ。さようでございますわ。そしてご主人様にお仕えもしていますわよん。ご主人様にはメイド兼従者を務めるつもりでございますわあ」


あー、つまり使徒、お弟子さんみたいなものかあ。


エクレアの弟子だから、メイド修行の弟子ということかなあ。


でもガーネットとノワールもそうだけど、これだけ社会的な地位をもっていたらわざわざメイドにならなくてもいいと思うんだけど。


でもせっかくお弟子さんとして修行?をするんだから僕が邪魔しちゃいけないかなあ。


「そっかあ、じゃあこれから、よろしくね。(ニコッ)」


その後の話。


僕は、こうしてナイルという龍族とも一緒に暮らすことになった。


このあとは、ナイルの転移魔法でプラチナ帝国に戻ってきた。


僕にとってはメイザリン様と交流をもてたことが今回の依頼の一番の収穫だ。


クレマチス侯爵様は念願の炎の龍のウロコを手に入れたようだが、かなりボられたようで


「散財した~、破産じゃあ」


と嘆いていた。


とにかくこれで炎の龍のウロコ採集クエストは無事終了となった。


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