第4話
一行は、いよいよ目的地に近づいた。
延々とひろがる広い森が目の前にある。
炎の龍のウロコを採集するために、炎の龍と会わなくてはいけないが、炎の龍は神聖ゴールド聖教国内にある龍族の集落に住んでいるそうだ。
目の前の広い森は龍族の住処につながっている。
ここからは馬車ではいけないので徒歩になる。
森は危険ではないが、決して安全ではないらしい。
「いよいよぉ、私の出番が来たようだなぁ。安心して森に入ってくれ」
そう言ってSランク冒険者メイザリン様は馬車から降りた。
「この森の中にぃ龍族の集落がある。わたしはぁその道を覚えているので安心してついてきてくれぇ」
とても頼もしい言葉だ。4人は準備を整えて森の入り口に近づく。
さて、森に入ろうかと言うその時、
「ちょっと待ったー!!!」
と声をあげて僕たちを呼ぶ声がした。
シュバババッ。
目にも止まらない速さで僕たちの目の前に現れたのは、巨大、と言うのは失礼だから、とても大きい女性がいた。
2mほどか。
僕より頭2つ分は大きい。
メイザリン様とおなじかやや大きい。
そしていろんなところが大きい。
胸とか、胸とか、胸とか、あ、腰は細いや。
プロポーション良すぎでしょ!!
しかもものすっごい美人。
髪はプラチナブランドで腰まで届くほど、目は大きく肌は白い。
一体何者だろうと思っていると、このゴージャス美女が口を開く。
「よおうこそ、龍族の集落につづく森へ」
「ここからはあ、ああたくしも案内人の1人として旅に同行いたしますわよん」
「あたくしの名はナイル。聖教六武威のナイルよん」
そういいながらうやうやしく頭を下げる。
が、なんだか僕のほうに向かって頭を下げている気がする。
そんなわけないか。僕の自意識過剰かな。
そう思っていると不意に、
「よく似ているわねん」
という言葉が聞こえてきた。
聞こえたほうを振り向くとナイルがうっとりした目で僕のほうを見ている。
さっきの言葉はナイルが言ったのか。それともこれも気のせいなのか。
クレマチス侯爵様が、
「聖教六武威だと!?あの、聖教六武威殿でいらっしゃるか。・・・・・・・・これはこれはご高名な六武威殿にご案内をしていただき光栄に存じます」
「かの名高き聖教六武威様にこんなところでお会いできるとは私は果報者でございますなあ」
とあきらかに媚びた声を出す。
選民意識の強い貴族がこんな対応するなんて聖教六武威の名前はすごいな。
聖教六武威とは、中央平原3強の一角である神聖ゴールド聖教国の軍を率いる将軍のことを指す。
かつてのゴールド王国の守護神としてずっと昔から存在し続けており伝説になるほど有名なのだ。
「・・・・・・どういたしまして。それでは、ご案内いたしましょう」
ナイルと名乗るゴージャス美女は侯爵の言葉にはそっけない態度で返し、森の奥へ入っていった。
僕たちも遅れないようにナイルの後を追っていった。
ザクザクザク
森の中を踏みしめる足音だけが響く。
ここからは低ランクの魔獣が出た。
もちろんメイザリン様とナイルが魔獣を倒していく。
メイザリン様はSランクだから強いのはわかっていたけど、このナイルという人も強い。
もしかしたら、メイザリン様より強いかもしれない。
そう思っているうちに、Bランクの魔物であるサーベルタイガーの群れが襲ってきた。
1匹でも手強い相手なのに群れで襲ってきたのだ。
しかし、これもメイザリン様とナイルが難なく倒していった。
しかし、こちらに手が届かなくてもサーベルタイガーの咆哮やうなり声に、冒険に慣れていないクレマチス侯爵様がおびえてしまい、フラフラと道からそれてしまった。
それに気づいたのは僕だけで従者のベンさんはサーベルタイガーを倒すところに気をとられて、気付かなかった。
仕方ないので僕だけで侯爵様を見失わないよう後を追った。
ようやく、侯爵様をつかまえ、
「侯爵様、それ以上行ってはいけませんよ!!さあ、元の道まで戻りましょう!」
と声をかけた。
しかしそこは運の悪いことに、Sランクの魔物ベヒーモスの縄張りに近いところだった。
ベヒーモスがこちらに気づき近づいてくる。
しかも1匹でも厄介なベヒーモスが数匹以上もいる!!!
その上、ベヒーモスの1匹が僕と侯爵様にめがけてブレスを放ってきたのだ。
このままでは僕も侯爵様も死んでしまう。
不運にもこの場には、メイザリン様もナイルもいない。
なので僕は奥の手を使うことにした。
あのイオニアからもらった超付与魔法である。
この超付与魔法は全ての能力を一時的にだが1000倍にまで高めることができる。
一時的とは、たったの1秒だ。
1秒しか使えないうえに、反動で3日は動けなくなってしまうというハイリスクの魔法だ。
しかし、背に腹は代えられない。さあ、覚悟を決めて行くぞ。
「ブースターーーーーー!!!」
効果はたった1秒。
素早くクレマチス侯爵様を抱きかかえて、メイザリン様とナイルのいる場所まで逃げるのに精一杯だった。
そこで僕は気を失っていたようだ。
目が覚めるとあれから3日経っていた。
ナイルが僕に、
「もう大丈夫ですわよん。なんんんの心配もいりません。あのクレマチス侯爵という者は自業自得で毒にかかっていますけどねん」
と僕にとてもにこやかな表情で言う。
「え、毒?!クレマチス侯爵が!!」
慌てて起き上がるが、頭がぐらつく。
後でナイルに聞くと、侯爵様はあのときベヒーモスのブレスによる直撃は避けたが、その余波で毒を受けてしまったみたいで、命に危険がある状態になってしまったのだ。




