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第2話

今日は依頼人の貴族、クレマチス侯爵とSランク冒険者のメイザリンとの顔合わせの日。


貴族であるクレマチス侯爵はともかく、Sランク冒険者と出会うのは僕にとっては心躍ることだ。


僕にとってはヒーローも同然。なのでウキウキで冒険者ギルドへむかった。


ギルドの扉をあけると、


「お主がSランク冒険者とやらか。あ~ん」


となんだか感じの悪い声が聞こえてくる。


みると、40代ぐらいの身なりが立派な貴族風の男性が、となりの大柄な魔族に話しかけている。


だけどどう見ても貴族風の男性が大柄な魔族にからんでいるようだ。


「見たところ、魔族のように見えるが、なんと嘆かわしい。この偉大なる魔法国家プラチナ帝国の帝都にこのよう魔族風情が堂々とのさばっているとは!!」


なんだそれ、種族差別も甚だしい。


このプラチナ帝国をはじめ、中央平原ではそのような種族差別はなくなったと思っていたのに・・・・・。


たしかにこのプラチナ帝国では、人族以外はあまりみかけない。


だからといって何も悪いことをしていない人にそんなひどいことを言うだなんて!!


僕は、貴族風の男性にとてもいやな気持ちがした。


「ふぅぅむぅ。それは、悪いことをした。だが、我がここへきたのはそちらの人族のギルドが我を呼んだからであるぞぉ」


大柄な魔族がギルド員のほうを向いて言う。


それにこたえてギルド員が、


「そ、そうです。わたしどものが今回のクレマチス侯爵さまのご依頼に合わせてお呼びした方です。どうか、無礼な物言いはお止め頂きたい」


と顔を青くしながら貴族風の男性に言う。加えてギルド長らしき人が、


「そうですぞ。たとえ侯爵様といえど、Sランク冒険者メイザリンさまにさような暴言は許されません。厳に慎んでいただきたい!!」


と強い口調で嗜めた。


話をきいていると、この意地悪なことを言う貴族の男性が今回の依頼の依頼人であるクレマチス侯爵で、大柄な魔族があのSランク冒険者メイザリン様というわけか。


メイザリン様はともかく、やっぱり貴族は嫌な感じだな。


だけどこの雰囲気のままにしておくわけにいかない。


僕は雰囲気を和らげるため、わざと呑気な言い方で、


「あの~。すいません。商業ギルドから派遣されました商業人です。遅くなって申し訳ありません。いや〜、途中でチカンと間違えられちゃって」


「誤解を解くのに時間がかかっちゃいました。てへ」


クスクスと周りから笑う声が聞こえてくる。


それに救われたようにギルド長が、みなに聞かせるように、


「あ、商業人のかたですか?お待ちしておりました。今回、エリクサーの素材である炎の龍のウロコの採集の旅のメンバーがこれでそろいました」


「あちらのテーブルで顔合わせと旅の打ち合わせをお願いしたい。リーダーは当然メイザリンさまにおねがいします」


Sランク冒険者メイザリンは手短く、


「心得た」


といい、指し示されたテーブルのほうへ向かった。


僕も依頼人のクレマチス侯爵もすなおにテーブルにむかった。


同行者全員が席についたのを確認したメイザリンが話を始めた。


「改めて、自己紹介をする。今回の旅の安全と無事に目当てのものを採集することを目的として・・・」


途中で言葉をとめたメイザリンさまにみなは不審におもうがメイザリンさまはそれに構わず僕の顔を見て驚いた顔をしていた。


どうしたんだろう。


僕をみて驚いてる?


誰か知り合いに似ているとか?


僕は絶対初めて会ったはず。


だけど、なんだか以前にも会ったことがあるような雰囲気がする。


ふふっまさか前世で?そんなのまるで宿命の相手みたいだね。


「・・・・この旅のリーダーを任されたメイザリンという。短い間だがよろしく頼む」


この大柄な魔族は言葉少なく自己紹介をした。


途中の空白はなんだったのだろう。


それはともかく、Sランク冒険者なのに僕たちを見下すとか全くそんな感じをしない。


やっぱりSランク冒険者は僕にとってのヒーローだ。


続いて、クレマチス侯爵が口を開いた。


「わしが今回の依頼をしたクレマチスだ。隣にいるのが従者のベン。例のダンジョンクリアのためにエリクサーを作成したいと思っているのだが、素材の一つである炎の龍のウロコがどうしても必要だということがわかった」


「一刻も早く手に入れたくてこの旅に同行することにした。わしの足を引っ張らんようにな」


やっぱりお貴族様は、こちらを平然と見下してくるなあ。


そして隣にいた壮年の男性が、


「はじめまして、わたしは旦那様のお世話をさせていただくためにこの旅に同行いたします従者のベンと申します。よろしくおねがいします」


こちらは平民なのだろう。


如才なくあいさつをし頭をさげる様子が手慣れているように感じられる。


そして最後に僕があいさつをしようとした。しかしクレマチス侯爵が、


「まあ、おまえの自己紹介はよい。わしは気が急いて仕方がないのじゃ。はよう、出発しようではないか。自己紹介は馬車に乗りながらでも構わんじゃろ」


そう言って僕をさえぎって出発をしようとする。


とても失礼だけど、ギルド員たちは何も言わない。


ただ、メイザリン様だけは、


「それは失礼ですぞ」


と不満を示してくれたが、侯爵も従者も立ち上がって馬車の準備をし始めたので、それ以上は何も言わなかった。


まあこんな扱いを受けるのは慣れたもんだけどさ、それでもちょっとひどくない?



侯爵が乗る馬車は居心地の良いものだった。


御者は従者のベンさんがつとめた。


・・・・・・・と言いたいところだったけと、僕も御者をするよう言われた。交代だって。


馬車の中で座るのは侯爵様とSランク冒険者メイザリン様の2人だってさ。


目的の龍族がすむ森まで馬車で10日かかる。


ということは最短でも20日以上はかかる依頼になるわけだ。


この人達と20日も一緒か。


はあ。ため息がでるよ。

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