メインエピソード4 Sランクの冒険者 第1話
最近、冒険者ギルドが賑わっている。
なんでも帝都プラチナムの近くに新しいダンジョンが見つかったそうだ。
早速、魔法騎士団がうごき、ダンジョンに防御結界魔法を施したらしい。
これを行うことで、周囲は安全になる。
次にすることは、このダンジョンのクリアだ。
最下層までいき、ダンジョンボスとよばれる魔物を倒すことでそのダンジョンは安全になる。
なので、こぞって冒険者たちがダンジョンに挑むのだ。
僕?僕はそんなあぶないことはしないよ。冒険者でもないしね。
ただ、冒険者ギルドがにぎわうと、その影響で商業ギルドや薬師ギルドがにぎわうんだ。
ダンジョンから持ち帰った魔石や素材などを商業ギルドで買い取ってもらったり、逆に高価な武器防具を買い求めるということが起きるから。
それに、ポーションをはじめとした魔法薬も必要になってくる。
そちらは薬師ギルドの守備範囲になる。
なので、こういうダンジョンの出現は各ギルドに大きな恩恵をもたらしてくれるといっていい。
だから僕たちはそういう情報収集に余念がないのだ。
1週間後。
「じゃあ、あのダンジョンクリアには伝説ともいえるエリクサーが数本は必要ってことなのか?!!」
「ああ、あいつらの情報だとそうなるな」
「う~ん。ダンジョンクリアが見えてきたのはいいけど、さすがにエリクサーはなあ」
「わ~かってるよ!!だけどな、すでに薬師ギルドは錬金術師ギルドと連携してエリクサーの確保に動いているんだぜ」
僕は、いまナスと商業ギルドのなかにある食堂で昼ご飯をたべていた。
あ、ナスというのは、僕の親友で、彼は現在魔法学園の学園生だけど、空いた時間に僕の依頼を手伝ってくれている。
今日も依頼を手伝ってくれたので昼ごはんをおごっていたところなんだ。
ギルドの食堂は情報とウワサの宝庫だ。ただいるだけでとんでもない情報が手に入ったりする。
さきほどの会話もそれに入るだろう。
ナスが僕に話しかける。
「おいおい。これまたとんでもない話をきいてしまったぞ。例のダンジョンのことだよな?」
「それにエリクサーが必要って。は~、とても俺たちの手出しできるレベルじゃあないが、話としては面白いかもな」
「エリクサーって、たしか魔法薬でも最高レベルのものだったよね。薬師ギルドでなくて錬金術ギルドの守備範囲にはいるんだっけ?」
「ああ。そうだ。ポーションやマジックポーションはスキル「調合」で作成できるが、エリクサーはスキル「錬金術」でしか作れないはずだ」
「体力や魔法力を全快にし、状態異常もすべて回復する。手足の欠損なんかもたちどころに元通りにすると聞いたことがあるぞ」
僕はエリクサーの効果のすごさにびっくりした。そしてそれを説明できるナスにもびっくりした。
「も、もしかしてナスはエリクサーの作成に必要な素材も知っていたりするの?」
「え?いや~さすがにそれは・・・・」
「さっきのエリクサーの説明もたまたま知っていたんだよ。たまたま」
僕の親友のナスはとても博識だ。ついついいろんな質問をしてしまう。
だけど、知っていることは快く教えてくれる僕の大事な友人なのだ。
「さあって。俺はそろそろ学園に戻るか。おいしかったよ。ごちそうさん」
ナスは手を振ってギルドを出て行った。
さて、僕はどうするかな。
ナスのおかげで今日は早く依頼が終わったのだ。
もう帰ってもいいが、商業ギルドの依頼をみてもいいかな。
そう考えていると、顔なじみの受付嬢が僕のほうへやってきた。
「あ、よかった。まだギルドにいたんですね。実は緊急で受けてほしい依頼ができたんですよ」
依頼の内容はまさにエリクサーについてだった。
薬師ギルドからの依頼でエリクサー作成に必要な素材をとりにいくのに商業ギルドからも応援をだすことになったらしい。
しかし、危険な地域へいくので商業人のだれもがしり込みをするそうだ。
そのため僕に白羽の矢が立ったと言うわけ。
「僕だってそんな危険な地域へ行くのは嫌なんだけど・・・・」
「だって、だって、他に人がいないんですぅ。それにあなたギルドからの依頼を断れるんですか?」
と言われてしまった。
なんか、どんどん僕へのギルドの扱いがひどくなっている気がするな・・・・
はあ、仕方がないか。
僕は依頼を受けることにした。
「ふふ、あいかわらずチョロイ」
「うん?なんか言いました?」
「いえいえ、なんにもー」
受付嬢はにこやかに答えて依頼の説明に入る。
なんでも今回の目的は「炎の龍のウロコ」だそうで、龍族の住処まで行く必要があるという。
依頼人は錬金術を昔から研究している変わり者の貴族らしくて報酬は高額だった。
そのうえ危険な地域へ行くという理由から、護衛としてSランク冒険者が付くそうだ。
冒険者ギルドのSランクは国をあげて保護するほど貴重な存在で大げさにいえば王族扱いをされることもあるほどだ。
ちなみに、Aランクでも侯爵や公爵などの高位貴族と同じ扱いをうけるほど貴重だとか。
だから、護衛という面倒くさい依頼をAランク冒険者でも受けるのはめずらしいのに、Sランク冒険者なんて方がよく引き受けてくれたなあというのが話を聞いた僕の感想だ。
たしか、この中央平原においてSランク冒険者を名乗る方は1人しかいなかったと思う。
そしてさらに事情をきくと、今回の依頼人である貴族、プラチナ帝国の侯爵家の当主でクレマチス侯爵閣下がこの冒険についていくというのだ。
変わり者という評判はうそではなかった。
貴族、それも当主みずからが冒険の旅についていくというのは前代未聞のことだ。
それもあって冒険者ギルドは無理してでもSランク冒険者をつけたたと言えるだろう。
僕は、その内容を聞いておどろくやらあきれるやらだ。
そんな面倒な事情があったから僕にお鉢が回ってきたんだな。
ホント、僕って便利に使われているな・・・・・・・
そして顔合わせの当日、僕は冒険者ギルドへ向かった。




