表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔石が欲しかっただけなのに  作者: かに
SFはファンタジーに含まれますか?
15/39

レシピ追加しておくんだったなぁ

それから僕は、慎重に森の中を探索した。


魔石は、森の中にいる「魔獣」という属性をもつ生物からだけ取得できることが分かった。魔石をもっている生物は、決まって赤い目をしていたので、見分けるのは容易だった。


さらに幸運なことに、これまで見つけた「魔獣」は、僕の手持ちの施設群だけで倒すことができた。空を飛んでいる魔獣は少し手こずったが、獣の肉を使った罠でおびき寄せる方法で、あっさり倒すことができた。


戦いの中で、僕は様々な装置を試した。


まず、防御に関しては「選択式透過型フィルタ」が役に立つことが分かった。


範囲を指定すると、その場所に青白い膜のようなものが出現する。その膜は、指定した物体しか通過できなくなる。つまり、通過できる物体を「空気」だけにしておくと、それ以外のあらゆる物体の侵入を防いでくれる。


僕はこれを「結界」と名付けた。まさしく、結界のイメージそのものだし。


ただし結界は、衝突のダメージを防ぐことができても、衝突したものを跳ね返す力がない。イノシシ型の魔物にぶつかられたときは、その衝撃でふっとばされてしまった。


それに、衝撃が大きすぎると、結界自体が変形してしまうこともわかった。もし、大木が倒れてきたら、結界を張っていても、そのまま押しつぶされてしまうだろう。


結界はそこまで過信はできないものの、森にいる魔獣の攻撃を防ぐには十分だった。これが使えるようになってからは、僕はかなり安全に森の中を勧めるようになった。


食料と水については、すぐに解決した。


「万能調理装置」のゲートを開くことで、ゲートから調理済みの食料を取り出すことができた。水も同様に「水タンク」からいくらでも取り出せた。


ただ、残念なことに「万能調理装置」で取り出せる食事は「味のないパン、味のないスープ、味のないドリンク」だった。


これって・・・


・・・あのとき、料理のレシピ追加しておくんだったなぁ


僕は本気で後悔した。


寝る場所の確保のために、土壁と木の屋根で作った、粗末な小屋も作った。


最初の夜は、特に何も建物を作ることなく、結界に頼ってちょっとした洞窟の中で寝た。すると、翌日に目が覚めたとき、たくさんの虫にたかられていた。


結界の内側に入ってこないものの、大量の虫にわらわらと囲まれるのは、精神衛生上よくない。


というわけで、気休め程度に壁と屋根を作ってみた。小屋の建設自体は、土木作業用の設備をいくつか使うことで、それほど時間をかけずにできた。


ベッドや椅子といった家具は、「家具製作装置」で出すことができた。非常にシンプルかつ種類の選択はほぼできなかったものの、自分でゼロから作ることを考えれば、かなりありがたい。


風呂については、「自動洗浄装置」を自分に使えば、服を着たままで体を綺麗にすることができることが分かった。


最初は風呂桶を作って、水を出して、湯を沸かして・・・なんてことを考えていたのだけど、洗浄装置で一括洗浄できるなら、それでいいやという気分になってしまった。


そんなこんなで、快適とはいえないまでも、安全な住居と食事を確保することができた。魔石集めについても、時間こそかかりそうではあったが、終わりは見えていた。


日を追うごとに、ゲートの使い方にも慣れてきた。四つ使えるゲートを駆使して、効率的に魔獣を狩ることができるようになってきた。


工夫すればするほど、効率が上昇していくという状況は、むしろ最適化ゲーマーとしては非常に楽しい状況でもある。


僕は楽観的になっていた。


ただひとつの点を除いて。


「・・・ここからどうやって帰るんだ?」



魔獣がうろつく森へとやってきて、五日目の朝を迎えた。


僕は、味のないパンをかじりながら、魔石の数を確認する。


手持ちの魔石は45個あった。宇宙船の建造に必要な魔石は100個だ。


このペースなら、遅くとも一週間以内には必要個数が集まるだろう。


それは問題ない。


問題なのは、帰還する方法が分からないことだ。


個々へ来るときは、ゲートを「使用開始」した。ならば、帰るときはゲートを「使用停止」すれば良さそうなものなのだけど、ゲートのメニューにはそんな項目がない。


全部の装置のゲートをすべて閉じてもみた。しかし、宇宙船建造工場のある惑星に戻ることはできなかった。


もともと、ここへ来た時点ですべてのゲートは「閉じた」状態だったのだから、ダメだろうことは予想はしていた。しかし、他に思い当たる方法がない。


「どうしたものか」


僕は思案した。


食事のことを除けば、この世界もそう悪くはない。


ゲートを使ってプチ無双しながら、魔獣を狩るのはむしろ楽しい。


「けどなあ」


突然、行方不明になったら、親が大騒ぎするだろう。


親戚の大家さんにも迷惑をかけそうだ。


あの納屋の状態も気になる。


何も知らない人が、「こちら」へ入り込んでしまったら、どうなるだろう。僕のようにうまく生き延びることができない可能性が高い。


僕の脳裏には、僕のことをちゃん付けで呼ぶ「はとこ」の姿が浮かんでいた。


もし、あいつが迷い込んでしまったら・・・


僕はブンブンと頭を振る。


やっぱり、あちらの世界に戻る必要がある。彼女がうっかり入ってこないようにするためにも。


「山の向こうへ行ってみるか」


今日は、少し遠くに見えている山へいってみることにした。


この森は、起伏が少なく見通しが悪い。山に登って遠くを見ることができれば、新たな手掛かりが得られる可能性がある。


空を飛ぶ方法でもあればいいのだけど、残念ながら手持ちの「施設」の中に、そんな機能をもつものはなかった。


環境探査機を使えば、離れた場所の情報を得ることができる。しかし、その方法で探査できるのは、自分を中心に100m程度の範囲で、それ以上遠くには「ゲート」を設置できなかった。


「はあ」


・・・移動速度アップの装置とかあればなぁ


アルケインステラの惑星上では、移動用の車両やドローンが使えた。しかし、ゲートを通しtえその手の装備を呼び出すことはできない。


結局、遠い場所の情報を得るためには、地道に歩いて移動していくしかない。僕は、足場の悪い森の中を、山を目指して進んでいった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ