【第二章】第十三部分
「そんなことも知らずに魔法を使っておったのか?まあいい。解説してやろう。この世は時空でできている。時空、つまり時間と空間はまっすぐにしか進まない。そこに法則は存在しない。進行方向はひとつしかないから。法則とは進行方向を増やすもの。例えば三角形はなかったんじゃ。時空にほんのわすかな歪みを作って、方向を変えることで三角形が生まれてきた。三角形ができれば、あとは少しずつ時空の方向を変えて、N角形を作ったんじゃ。この世界には二角形がないのは、三角形から始まったからじゃ。このように時空方向を変えて、たくさんの法則を作っていった。法則を現実化すると、魔法になる。現実化というのは、現実の事物に影響を及ぼすということじゃ。魔法で、何もない世界は、豊かなものに変わっていったんじゃ。」
「そうなんだ。じゃあ、法則魔法が今の世界を作ったということになるの?」
「まあそうとも言えるのう。豊かな世界を作ろうと躍起になっていた頃、ワシにはパートナーがいたんじゃ。」
るとの顔にサーッと赤みが差した。
「そのメス顔。まさか、パートナーって、男子だったの?」
「そ、そうじゃ。それはそれはとびっきりの美少年じゃった。涼しげなマスクは女の子と見間違ってしまうような白さと輝きに包まれておった。彼はいつもワシを陰から日なたから助けてくれた。かと言って、ワシらは純潔な男女をしてるわけでもなかった。そのままでもよかったが、オトメの純情も法則魔法と同じで、同じ方向を向いたままじゃと、それ以上の発展はないからのう。そこで、清水の舞台から飛び降り自殺する勢いで、ワシは彼に迫ったんじゃ。」
「ずいぶん物騒な告白劇になりそうね。」
「ワシは緑鮮やかな草原の中で、カニの横ばい運動で、彼ににじり寄った。」
「ブキミな動き方ね。ほとんど不審者だわ。」
「『ねえ、るとのことをどう思ってる?と、直球で聞くのは恥ずかしいから、さりげなく、るとの持ち物できこうかな。るとの象徴って、キレイな黒いツインテだよね。これを彼の前で、振ったらきっとイチコロよね。』ワシはこのように考えた。ワシは、草に座っていた彼の前に立って、背中を見せて、わざと髪を左右に振った。
『おお。これは、左右対称、シンメトリーだな。美しいぞ。よし、これを応用して、モノを投影するものを作るか。』
彼はそばにあった水溜まりを凍らせて、自分の顔を映したんじゃ。
『よし、まったく同じモノが映っているな。これを鏡と名付けよう。鏡の原理ということだ。いいヒントをくれたな、ると。』
『う、うん。新しい法則が見つかってよかったね。あはは。』。
次に、ワシは名札を見た。そこには『ると』と書いてあった。
『名前をかわいいって、言ってくれるかな?名前を出せば、るとに気持ちが伝わるわ。』とワシは考えた。
『ねえ、この名札を見てよ。かわいいでしょ。』
ワシは口に指を付けるというロリコン向けのサービスも付帯した。
『おっ。かわいいじゃないか。』
『食い付いた。餌付けに成功したわ!この名札の文字だが、こうすると、もっと箔が付くぞ。』
すると、彼は、『留兎』と書いた。
『これを漢字と名付けて、黄河周辺にばらまこう。そこに住んでいる人間が発見するだろう。』
こうして漢字が発明されたんじゃ。象形文字という漢字の原理の始まりじゃ。しかし、ワシはこの作戦を諦めて、次の思考へ移行した。ワシは膝小僧がキレイじゃった。膝のうずまきもチャームポイントじゃった。膝のうずまきを見て、彼は美しさを賞賛したんじゃ。
『これはバネといって、未来に電気が発見された時に使えるモノに応用できるぞ。』
通電による磁力発生、つまりフレミングの法則はこの時点で発生が決定された。またしても彼が、ワシ自身を見てくれることはなかった。ワシは忘れておった、彼は朴念仁だったのじゃ。ついにワシは最終兵器を持ち出さざるを得なくなった。」
るとの長いセリフにツッコミを入れる凪河。




