【第二章】第一部分
凪河と憂果莉が翌日の放課後にやってきたのは、地元警察署である。五階建てのビルで、大して大きくはなく、一般的な警察署の威圧感はほとんど感じられない。
「ここが、かの本署ね。でもこれってホンモノの警察署じゃないの?ここに来るのは、フツーの犯罪者じゃない。鍵は罪を犯したわけでもないのに、ここに拘置されてるっていうこと?」
「私にもわかりません。」
玄関にはアニメキャラの女警察官のイラストがある。キャラはウインクしながら平和を象徴するピースサインをしている。
「さあ、中に入るわよ。」
「猫柳さん!そんないきなり乱入とかマズいです。ここは警察署です、不法侵入で逮捕されます!」
「大丈夫よ。ここは公共機関なのよ。納税者によって支えられてるんだから、問題ないわ。」大股でずんずん進んでいく凪河を、追いかける冷や汗だらけの憂果莉。
中に入ると、5つの丸いテーブルあり、子犬柄のテーブルクロスが敷かれている。椅子はハート型の背もたれがピンクでかわいい。
丸テーブルの手前にある受付にはミニスカポリスがいる。無論、昨日の乱射マニアとは異なる美人婦警である。ブルーのメイド服を着ているが、ヘッドドレスの代わりに、警察帽を被っているので、警察官であることはわかる。
奥には小さなステージらしきものがあり、ブルーのメイド服婦警が愉しげに踊っている。凪河が受付嬢のところに行くと、笑顔のお返しがあった。
「いらっしゃいませ、ご主人様。」
「あら。アタシ、来るところを間違えたのかしら。」
「そんなことはありません。納税者はご主人様ですから、そのようにお呼びしております。」「そうだわ。アタシも消費税をきっちり払ってるんだから、立派な納税者ね。」
「ご用件はスケパンデカ本部から伺っております。ご案内差し上げますので、こちらへどうぞ、ご主人様。」
「お人形が手を回してくれたのかな。すごく気分がいいわね。」
三人は階段で地下に降りていった。
「お尋ね者は、地下で管理されています。」
三人はエレベーターの前に立った。エレベーターのプレートから地下50階まであることが見て取れた。
「階上は小さいのに、地下はすごく深いわ。地上の建物は氷山の一角だったのね。頭隠して尻隠さずだわ。」
「猫柳さん。その例えはかなり解釈が困難です。」
「ど、どうでもいいじゃない、こんなこと!それよりも鍵よ、鍵。」
凪河は鍵の家のことを思い出していた。




