【第一章】第二十九部分
「こういう相手は優しくしてやるのです。」
憂果莉が男女の攻撃をかわしながら、パンチを繰り出すと、次々と倒れていく。
「なんなの、これって。まさか、薬物打ちまくり?」
「違います!それでも高校生ですか!すべて峰打ちです。スケパンデカはそういう力加減も重要です。」
「あれ?生徒会長⁉」
街灯が復活して、憂果莉の顔が見えていたのである。
「別に隠してないんですから、声で気づいてください。でも私だとわかってくれてよかったです。」
決して明るくはない中で、憂果莉は少し顔が赤くなっているのがわかる。
「生徒会長、どうしてこんなところにいるのよ?それにその顔、風邪でもひいてるの?」
「風邪ではありません。私もスケパンデカですから、使命を果たしに来ただけです。でもゆりキュアみたいにコンビで頑張り、い、いや何でもないです。」
「今、なんか、ゆりキュアとか聞こえたけど、アタシは家業がキライってこと、知ってる?」「知ってます。でもゆりキュアはいいです!」
「よくないわよ!自分でやってるとよくわかるんだから。生徒会長!やっぱり鍵をやったんだね。」
「いきなり脈絡もなくそんなことを。今はそんなことを言ってる場合じゃないです!早くコイツを倒さないと。」
「倒し方、わからないわよ。」
「テキトーに害意をもって攻撃してください。」
「そんなこと言ったって、わからないわよ。」
「ほら、すごくキライな相手をイメージして。」
「キライなキャラ?う~ん。」
腕組みをして両面を瞑り、しばし熟考した凪河は、顔を上げて、チラリと正面を見た。
「私です?ガクッ。」
膝から崩れた憂果莉。その瞬間に、凪河は声を出した。
「不確定性の原理!」
『ガタガタガタ。』
大きな音がした。
「え~っ!公民館が沈み込んだわ。」
目を白黒させて、足元よりもはるか下にある公民館を見おろす凪河。
「猫柳さん!いったいどんなイメージをしたんです?公民館は沈んだんじゃなくて、私たちが空高く飛んでるんです!」
慌てて足を動かす凪河は周りをよく見た。
「ホントだ。足が軽いわ。無重力状態って、こんな感じなのかしら。いいわね~。」
「脳天気過ぎます!うわああ~。」
『ドスン、ドスン、ドスン。』
転落音は3つ。田中も一緒に昇ってから転落して、倒れている。
「いたたた~!すごく痛いです!でもこれで敵を倒しました!」
憂果莉は田中を見た。ピンピンしていた。




