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真・恋姫†無双~北刀伝~  作者: NOマル
第一章~流星の遣い~
12/90

~張飛、孔明と張り合うのこと~

どうも!

最近、執筆スピードが遅れているような感じがしてます…。それでも、めげずに頑張るのでどうぞご覧になって下さい。

それでは、どうぞ!

晴れ渡る青空の下、一刀達五人は森の道を歩いていた。そんな中、一人だけどう見ても怒っている様に見える者がいる。他の四人の間には気まずい空気が流れていた。


「なあ星、さっきの事まだ怒っているのか?」

「別に怒っていない。酷く不機嫌なだけだ。」

「やっぱり怒っているではないか…。お主が厠に行っている間にメンマを食べたことは謝る!この通りだ!」


愛紗は星の方に体を向け、手を出し頭を下げる。しかし、星は顔を反らしたままである。


「いやあ、ずっと残していたからてっきり嫌いなのかなぁと思い、つい…。な?な?」


横で鈴々も首を縦に振る。


「そうではない。大好物だったから最後に食べようと大事に取っておいたのだ。」

「“やれやれ。”」


横で一刀がため息混じりで困っていた。

しかし何故こんなことになっているのかというと……







森に入るちょっと前、立ち寄った町の拉麺屋で昼食をとることにした五人。一刀と星は厠に行き、瑠華は外へ出て店の屋根に登り、のんびりと寝転んでいた。


「ング…ング…。ぷはぁ〜!おいしかったのだ♪」

「ふぅ〜、ごちそうさまぁ〜♪」

「あれ?」


二人は、拉麺を食べ終えた。鈴々は星の拉麺の器にメンマが残っているのを見つけた。


「星、メンマ残しているのだ。」

「ここのメンマ美味しいのにもったいない。」

「じゃあ、鈴々が食べるのだ♪」

「では私も。」


二人はそう言うと、メンマを一口で食べた。


「そういや、星。お前、メンマ残してなかったか?」

「ああ、メンマは大好物なのでな。最後にとっておいて、万全な状態で食したいのだ。」

「ふ〜ん、そうなんだ。」


一刀と星は厠から戻り、席に戻った。


「ああああああああああああ!!!!!」

「「「っ!?」」」


自分の器にメンマがないのを見た星は、顔を真っ赤にして大声で叫んだ。叫び終えると、愛紗と鈴々を睨み付けた。


「「うっ…」」

「何!?何かあったの!?」


大声を聞き付けた瑠華は急いで店の中に入っていった。

愛紗と鈴々を睨み付ける星とびくつく愛紗と鈴々。横で一刀が苦笑いを浮かべていた。

この状況を見て、瑠華は頭を傾げるのであった。











そして今に至る。


「…メンマ……」


後ろで星が空の方を向き、メンマと呟いている。


「鈴々、お前が食い意地張った事をするから。」

「愛紗だって食べたのだ!」

「だからそれは…」

「「うっ!」」


後ろを向くと、星が冷たい目でこちらを睨んでいた。


「そ、そうだ!次の村へ着いたらまた拉麺を食べよう!今度は私のメンマをやるから!」

「鈴々のも食べていいのだ!」

「星。二人も謝ってるし、許してやれよ。俺のメンマをやるから。」


横で瑠華もコクコクと首を縦に振っていた。


「人とメンマは一期一会。どうやってもあの時のメンマは帰ってこない……」


星は哀れむ様に空を見上げながら言った。四人は深いため息をついた。

気まずい空気のまま、道を進むと二手に別れた道が出た。


「分かれ道か。どっちに行ったものかなぁ〜。」

「………」

「うぅ…」


愛紗が大声で語るも、星は知らんぷりのままである。


「こんな時は鈴々にお任せなのだ!」

「どうするの?」

「こうするのだ!」


瑠華が聞くと、鈴々は蛇矛を立て、両手を合わせて念を送る。すると蛇矛は右へ倒れた。


「あっちなのだ。」

「はいはい。それじゃそちらへ行ってみるかぁ〜」


愛紗はわざと大声で言うも星は変わらず、目を反らしたままである。

そしてしばらく歩いていると、霧が出てきた。


「霧が出てきたな。」

「どんどん濃くなっていくのだ。」

「まったく、‘切りがないな。’なんちゃって〜…。」

「「「………。」」」


愛紗が咄嗟に言ったダジャレに他の三人は絶句し、星は相変わらず無言のままである。

そうこうしている内に、段々と霧が深くなっていく。


「まずいな、これだと道が外れても分からないぞ。」

「待て鈴々。一人で先に行くな。」

「あれ?星はどうしたのだ?」


先に行く鈴々を止めると、鈴々が星がいないことに気づく。


「え?星、いるのか?どこにいる?いつまでも怒っていないで返事をしてくれ。」


愛紗が叫ぶが、返事がない。


「いかん、どうやら星とはぐれたようだ。」

「急いで探そう!」


四人は霧の中を探し始める。


「おーい、星!どこなのだ〜!」

「返事してくれ〜!」

「星〜!」

「星!どこにいきゃあ!!」

「「「愛紗!!」」」

「みんな、足下に気を付けろ。崖になっているぞ。」


三人は足下に注意しながら、愛紗の元へ駆け寄った。


「愛紗、怪我はないか?」

「ああ、大丈…くっ!」

「どうした!?」

「…足を挫いてしまったようだ。」

「ええっ!?どうしよう…。」

「この霧じゃどうにもならない。下手に動くよりも、しばらくここでじっとしていよう。」


一刀の提案で、霧が止むまでその場にいることにした。












一方・・・


「…メンマ………あれ?」


周りをキョロキョロと見る星。完全に星は迷子になっていた…











「大分、霧が晴れてきたな。」

「あ、あそこに家があるのだ。」


鈴々が指をさした所に大きな家があった。


「助かった。あそこで少し休ませてもらおう。」

「そうだな。よし、それじゃ…。」

「え?きゃ!」


一刀は屈んで、愛紗をおんぶした。鈴々が偃月刀を持ち、瑠華が一刀の木刀を持っている。


「す、すみません。一刀殿…」

「気にしないでいいよ。」


愛紗は顔を赤くしながら、一刀の背に体を預けた。


「“まあ、これはこれでいいかな…?”」


一刀も愛紗の胸が背中に当たり、顔を赤くしていた。












四人は家の前まで行き、一刀は門をノックした。


「あの〜すみませ〜ん!」

「は〜い。」


門が開くと、そこには一人の女の子がいた。

髪は金髪のショートカットで赤いベレー帽を被っており、背の小さな女の子である。


「はわわっ!先生〜!」


一刀達を見た途端、その女の子は急いで家の方へと走っていった。


「大変です!水鏡先生!」

「どうしたのですか?朱里。そんなに慌てて。」


女の子が家に入ると、そこには知的な雰囲気を出す美しい女性がいた。


「旅の方々が来られたんですけど、ひどい怪我をされてて。」

「ええ!?それは大変!」











「そうですか。それは災難でしたね。この当たりでは、急に濃い霧が出ることはよくあって…。」


女性は愛紗の挫いた足に薬を塗り、治療を行っていた。


「これでよし。足が治るまで、ここでゆっくりなさるといいわ。その内に、はぐれた方が見つかるかもしれないし。」

「ありがとうございます。」

「かたじけない。」

「私は司馬徽。水鏡と号しております。」

「私は諸葛亮。字を孔明と言います。」


女性と女の子が自己紹介をすると、横で一刀は臥竜[諸葛孔明]の名に驚いていた。


「朱里、包帯を巻いてあげて。」

「はい。」

「世話をかけるな…。」

「いいえ。」


諸葛亮は薬が塗ってある愛紗の足に包帯を丁寧に巻いている。


「ふぅ、できた!」

「あら、随分上手く巻けたわね。」


水鏡の言うとおり、包帯は丁寧かつしっかりと巻かれていた。


「はい。先生みたいに上手になりたくて、いっぱい練習しましたから。」

「そう、偉いわね。」

「えへへ。」


水鏡が優しく頭を撫でると、諸葛亮は擽ったそうに喜んでいた。

それから愛紗は寝間着に着替え、寝台に横になり、木の台の上から怪我した足を布で吊るしている。


「…水鏡殿。手当てしていただいたのはありがたいが、ここまでしなくとも…」

「何を言ってるんですか。骨が折れていなかったのが幸運なぐらいなんですよ?動かさないようにしないと。」


水鏡は念を押して、そう忠告した。


「はぁ…。しかし、これでは厠にも…。」

「大丈夫。おしっこがしたくなったら鈴々が厠まで連れて行ってあげるのだ。」

「いえ、そんなことしなくてもちゃんとこれがありますから。」

「へっ?」


そう言うと、諸葛亮は何かを取り出した。いわゆる尿瓶と言う物だ。


「催されたら、遠慮なく声をかけてくださいね。」

「いやぁ、それはちょっと…」


笑顔で言ってくる諸葛亮に愛紗は苦笑いを浮かべるしかなかった。











そして、夕食の時間。愛紗は一刀に肩を貸してもらいながら、移動した。


「おお!これはうまそうだな。」


愛紗の言うとおり、テーブルには美味しそうな料理が並んでいた。


「今日の夕食は朱里が作ってくれたんです。」

「へぇ〜、孔明ちゃんすごいな。」

「孔明殿は料理も得意なのか〜。」

「お口に合うといいのですけど…。」

「さあ、ではいただきましょう。」

「「「「「「いただきます(なのだ♪)」」」」」」


一刀達はそれぞれ、料理を食べ始めた。


「お、うまいな〜。」

「うむ、うまい。」

「おいしいのだ〜♪」

「おいしい♪」

「よかった〜♪」


一刀達から好評価をもらい、諸葛亮も笑顔を浮かべる。


「しかし、その歳でちゃんとした料理が作れるとは。それに比べて鈴々は食べてばっかりで…。」

「むっ!鈴々だって料理位できるのだ!」


愛紗に言われて、鈴々は怒りながら言い返した。


「ほぅ?じゃあ、どんなものが作れるんだ?」

「お…おにぎりとか…おむすびとか…」

「…鈴々、それどっちも一緒だから。」


一刀の一言で鈴々以外が笑いが起こった。


「な、何でなのだ?何でみんな笑うのだ〜?」


鈴々はご飯を口の中にかきこみ、やけ食いする。その様子を見て、また笑いが起こった。













夕食を食べ終えた後、愛紗は一刀に付き添ってもらい、寝台に横になり窓の外を見ていた。


「星の奴、無事だといいのだが…」

「星なら、きっと大丈夫さ。」

「そうだといいのだが…」

「所でさっき愛紗、鈴々にあんなこと言ってたけど、そう言う愛紗はできるの?」

「えっ!?あ、えと、その〜……」


口ごもる愛紗を見て、一刀は何となく察するのであった。


「ふはぁ〜、久し振りのお風呂気持ちよかったのだ〜♪」

「こら!そんな格好でうろうろするんじゃない!」

「そうだぞ鈴々。ほら、これ着て、頭も拭かなくちゃ、風邪ひくぞ?」

「にゃはは♪ありがとうなのだ♪」


一刀は、鈴々に寝間着を着せて、タオルで頭を拭いてあげた。そこへ、諸葛亮がお湯が入った大きな桶を持って入ってきた。


「関羽さん、お体拭きますね?」

「何から何まで世話になってすまない。」

「いいんですよ。困った時はお互い様ですから。さ、服を脱いで下さい。」

「“えっと、孔明ちゃん?ここに男がいるんだけど?”」

「あ、だがその前に…。」

「え?」

「だからその…いわゆる一つの生理現象というか、なんというか…」

「ああ!これですね。」


諸葛亮は尿瓶を取り出した。


「お…お気遣いはありがたいが、それはちょっと…」

「あ、もしかして大きい方ですか?」

「“純粋って時に恐ろしいよな…”」


なんの躊躇いもなく言う諸葛亮に一刀は心の中で呟いた。


「いや、そうじゃなくて…。鈴々!」

「合点承知なのだ!」


愛紗は鈴々を呼び、鈴々は愛紗を担ごうとする。


「頼むぞ。」

「お任せなのだ。」

「あの、それでしたら…」


諸葛亮は一旦外へ出た。すると諸葛亮は四足の木製の椅子に車輪をつけた車椅子の様な物を押しながら、戻ってきた。


「おお、これは。」

「私が作ったんです。足を怪我しても移動できるようにって。」

「作るって、すごいな〜。」

「これは便利だ。」


そんな中で、鈴々は面白くなさそうに膨れていた。


翌朝、一刀は裏の方で薪を割っており、鈴々は藁の屋根の上で寝転んでいた。


「【子曰く、学びて時に之を習う】」


諸葛亮は庭の方で椅子に座り、文学に励んでいた。


「【朋遠方より来たる有り、また楽しからずや。人知らずして恨みず、また…】えっと…」

「【また君子ならずや】」

「はわわっ!」


諸葛亮が暗読していると、後ろから急に声がした。びっくりしながら振り返ると、そこには瑠華がいた。


「ごめん、驚かせちゃって。」

「いえ、そんなことないです。月読君もこれを読んだことあるんですか?」

「うん、まあ…昔ね……」


瑠華はそっと目を反らしながら、そう答えた。


「もしかして、全部覚えてたり…」

「えっと〜【有子曰く、その人と為りや、孝弟にして上を犯すことを好む者は鮮なし。上を好まずして乱を作すことを好む者は、未だこれあらざるなり。】だっけ?」

「はわわ〜、すごいです…。」

「いや、勉学に熱心に励んでいる孔明の方がすごいよ。」

「いえ、先生に比べたら私なんて全然です。」


諸葛亮は本を膝に置きながら、空を見上げた。


「私も、いつか水鏡先生みたいに人の役に立てる様な人になりたいんです。そのためにももっと勉強しないと。」

「そっか、頑張ってね。孔明なら、きっとなれるよ。」

「ありがとうございます。」


諸葛亮は笑顔で瑠華にお礼を言った。

二人は更に文を読んでいく。

その様子を家の窓から愛紗が水鏡に足の治療をしてもらいながら眺めていた。


「水鏡殿。孔明殿は本当に良い子ですね。賢くて、素直で、言うことをちゃんと聞いて。」

「鈴々ちゃんも良い子じゃありませんか。」

「いや、鈴々は…」

「元気で、明るくて、私は大好き。それにとってもお母さん思いだし。」

「は?お母さん?」


水鏡の言葉に愛紗は目を丸くした。


「あら?違うのですか?私はてっきり北郷さんとの…」

「っ!?ち、違います!鈴々は姉妹の契りを交わした仲で!一刀殿とはそんな関係ではないし!そもそも何故そんな勘違いを!?それに私は子供が出来る様な行為はまだ一度も」

「か、関羽さん?分かりました。分かりましたから落ち着いて…?」


顔を真っ赤にして、手をあたふたしながら否定する愛紗を水鏡は何とか落ち着かせた。

愛紗が静まると、水鏡は諸葛亮と方に目をやった。


「あの子は両親を亡くし、姉妹揃って親戚の所をたらい回しになり、姉と妹とも離ればなれになってしまって…。そして、私の先生に当たる人の所で世話になっていたのですが、その人も亡くなり、私が預かることになったのです。」

「そうだったのですか…」

「最近では、あの子の性格が辛い境遇を過ごしていく内に染み付いてしまった性の様に思えて…」


水鏡の話を愛紗は静かに聞いていた。

そして、 その話を扉越しに一刀も聞いていた。

次の日の朝、愛紗は水鏡に足を診てもらっていた。


「う〜ん、腫れがあまりひいてないわね…。こんな時に〈サロンパ草〉があればいいのだけど…。」

「〈サロンパ草〉?」

「こういう腫れ等に効く薬草なの。それがあったら… 」

「先生!それなら私が取ってきます!」


水鏡が困った表情を浮かべていると、いきなり、諸葛亮が挙手をした。


「え?でも、〈サロンパ草〉は裏山の方にあるのよ?」

「大丈夫です!裏山なら先生と何回も行った事がありますし。」

「そうね…出来れば私も一緒に行けたらいいのだけれど、麓の村の方に薬を届けなければならないし…」


水鏡は腕を組み、頬に手をやり考えていた。


「…それじゃ、お願いしようかしら?」

「はい!」


それから諸葛亮はポーチを肩に下げ、出発した。


「足下に気を付けるのですよ?」

「はぁーい!」


水鏡は心配そうに見つめていた。

その後ろで一刀はキョロキョロと周りを見ていた。


「あれ?鈴々がいない。もしかして…」


そう考えると一刀は瑠華を呼んだ。


「瑠華」

「どうしたの?」

「ちょっと頼まれてほしいんだけど。」

「何?」

「あのな?…」


一刀はゴニョゴニョと瑠華の耳元に囁いた














一方、諸葛亮は〈サロンパ草〉を摘みに裏山へと向かっていた。そんな彼女の後を草陰に身を潜めながら尾行している虎の髪飾りをした赤毛の女の子がいた。


「“あいつだけにいいかっこはさせないのだ!こうなったらあいつの後を追って薬草の所まで行ったら先回りして、薬草を摘むのだ。そうすれば…”」


鈴々は愛紗に感謝されている所を思い浮かべながら、ニシシと笑った。


「はわっ!」

「ん?」


諸葛亮を見ると、彼女は急に前向きに転んだ。すぐに立ち上がり、砂埃を払った。

その様子を見ていた鈴々は口を手で覆いながら笑っていた。


「プククッ!何もない所で転けるなんてあいつとんだドジッ子なのだ♪足も遅そうだし、余裕でいけるのだ。」


鈴々は、まるで獲物を狙うかの様に目をキランと光らせ、笑みを浮かべていた。

そのまま進んでいると、裏山へと繋がる吊り橋に出た。しかし古いのか、所々傷付いており、今にも折れそうな感じだった。


「はぅ〜先生と一緒の時は平気だったけど…ううん。関羽さんのためだもの。がんばらなくちゃ!」


すると諸葛亮は、手すりの部分を持ち、下を見ない様にゆっくりと渡り始めた。歩く度に吊り橋の足場がギシ、ギシと軋む音がする。彼女は怖くない、怖くないと自分に言い聞かせる様に呟きながら歩いていく。

そして、ようやく渡り終えると、体の力が抜ける様に諸葛亮は座り込んだ。


「はあ〜…怖かった…。」

「はあ〜、やっと渡ったのだ。」


鈴々は呆れながらその様子を見ていた。







「あ!あった!」


諸葛亮はついに白い花が咲いている草。〈サロンパ草〉を見つけた。しかし、それは崖の壁のかなり高い部分に咲いていた。その様子を後から来た鈴々は見ていた。


「運動がダメダメなあいつには無理なのだ。どうせ、諦めるに違いないのだ。」


しかし、鈴々の思惑とは違い、諸葛亮は崖を登り始めた。


「くっ!うぅ…。はわっ!」


華奢な体でゆっくりと崖を登る。すると、不意に下を向いてしまい、恐怖のあまり顔を隠す。しかし、また登るのを再開した。


「何でなのだ?何であいつ、あんなに必死なのだ?」

「それは、愛紗のためだよ。」

「にゃ!?」


鈴々が慌てて振り向くと、すぐ後ろに瑠華がいた。


「な、何で瑠華がいるのだ!?」

「一刀に頼まれてね。愛紗の介抱しないといけないから鈴々と孔明の様子を見といてくれってさ。“まあ、頼まれなくても行くつもりだったけど…”」


瑠華はそう言うと、孔明の方に目を向けた。

諸葛亮はなおも登り続けている。


「孔明言ってたよ。水鏡先生みたいに人の役に立てる様な人になりたいって。」

「……」

「さっきも言った様に、孔明は愛紗のためにやってるんだ。鈴々も愛紗のために摘みに来たんでしょ?」

「そ、それは…」

「だから意地はってないでさ、協力しようよ。二人とも愛紗のためにやってるんだからさ。」

「うぅ〜」


瑠華は鈴々を説得するも、鈴々はまだ納得してない様な様子を見せていた。


「う…く…もう、少しで…」


諸葛亮の方は〈サロンパ草〉のすぐ下にまで来ていた。瑠華と鈴々が見守る中、必死に手を伸ばすと手が「サロンパ草」に触れた。

しかし、


ガラッ!


「きゃああ!」

「「っ!」」


突然、彼女の足場が崩れ、地面に向かって落ちていく。彼女は目を瞑った。しかし、痛みが来ないことに疑問を抱きながらゆっくりと目を開けると、瑠華と鈴々が二人係りで諸葛亮を抱きとめていた。


「ち、張飛さんと月読君?」

「ふぅ〜危なかった〜。」

「何とかなったのだ…。」


諸葛亮の無事を知ると、二人は安堵の息を吐いた。


「あの、どうして…」

「ち、違うのだ!散歩のついでに通りかかっただけなのだ!」

「こんな山奥を? 」

「うっ!と、とにかく薬草を摘むのだ!」

「“意地張っちゃって…”」


ごまかすかの様に鈴々は大声でそう叫んだ。

瑠華は背中に携えている撃剣を取り出すと紐を振り回し、崖の上目掛け、クナイを投げた。薬草の上部分にクナイは刺さり、瑠華は紐を引っ張ってしっかりと刺さっているのを確認する。

次に鈴々は紐を掴みながら崖を登っていき、薬草を手に入れると、地面に降りて諸葛亮に渡した。


「ん!」

「え、でもこれは、張飛さんが…」

「お前が先に見つけたんだから、お前が手に入れたのだ!」

「は、はあ…」

「やれやれ…」












夕焼けに染まった帰り道を、三人は歩いていた。

そして、吊り橋の前に来ると、鈴々が諸葛亮の前に手を出した。


「え?」

「ほら、手を繋いでやるのだ。そうすれば、怖くないのだ。」

「うん、そうだね。」

「あ、ありがとうございます。」


諸葛亮の右手を鈴々、左手を瑠華が握って橋を渡った。そのまま歩いていると、諸葛亮は不意に笑みをこぼした。


「…張飛さんと月読君、優しいんですね」

「にゃ!?」

「ん?」


諸葛亮の言葉に鈴々は顔を赤くした。


「か、勘違いするななのだ!べ、別にお前の為なんかじゃ…」

「恥ずかしがっちゃって…」

「う、うるさいのだ!」

「あ、あの〜」


瑠華と鈴々が言い合っていると、諸葛亮が会話に入ってきた。


「えと、張飛さんと月読君の事、真名で呼んでいいですか?」

「え?ああ、僕は別に構わないよ。僕の真名は瑠華だよ。」

「瑠華君…。なんだか、女の子みたいな名前で可愛いですね。」

「う〜ん、そうなの…?」


笑顔で言われ、瑠華は恥ずかしそうにしていた。


「か、勝手にすればいいのだ!お前が鈴々の事を真名で呼んでも、鈴々はお前の事を真名では呼ばないのだ!それでもいいのなら勝手にするのだ!」

「はい!鈴々ちゃん♪」











水鏡の屋敷に着くと、諸葛亮は水鏡に〈サロンパ草〉を渡した。


「おかえりなさい。一人でよく頑張ったわね」

「いえ、一人ではなくて、鈴々ちゃんと瑠華君の三人で摘んだんです。」


諸葛亮が二人の腕を抱いてそう言うと、夕焼けのせいか、二人の顔はより赤くなっており、水鏡もその様子を見て、微笑んでいた。












「うん、これでもう大丈夫。〈サロンパ草〉がよく効いたのね」


〈サロンパ草〉をすりつぶした薬のおかげで愛紗の足は腫れが引いていた。


「いや〜水鏡殿には本当に世話になって、なんとお礼を言ったらいいのやら…」

「いいのですよ。困った時はお互い様です。」

「いえ!それでは、私の気が済みません!私に出来ることがあるのなら!」

「…それでは、一つだけお願いがあるのですが…」

「それは、孔明ちゃんの事ですね?」


横で一刀が話に入ってきた。


「すみません、盗み聞きするつもりはなかったのですが…」

「いえ、いいのです。一刀さんの言う通りです。ご迷惑かもしれませんが、朱里を…あの子を旅の仲間に加えていただけませんか?」

「孔明殿を?」

「はい、あの子は以前から旅に出て見聞を広めたいと言っておりました。しかし、御存知の通り最近は物騒な事が多くなって、いくらあの子がしっかりしていてもあの年で一人旅というのは…」

「それは、確かに…。しかし、水鏡殿はそれでいいのですか?」

「確かにあの子がいなくなったら、ここは寂しくなります…。しかし、あの子が私に言った唯一のおねだり。それを叶えてあげたいのです。」


水鏡は目に涙を溜めながら、そう答えた。

一刀と愛紗は一度顔を見合せ、そして覚悟を決める様に水鏡の方を向いた。


「分かりました。この関羽、孔明殿を責任もってお預かり致します。」

「同じく、北郷一刀。その願い、引き受けました。」

「お願いいたします。」


水鏡は深々と頭を下げた。












そして翌朝、孔明は一刀の旅に加わった。


「水鏡先生〜!お元気で〜!」


孔明が手を振ると水鏡も手を振り、見送っていた。


「“水鏡先生!私、頑張ります!”」


こうして、諸葛亮 孔明が旅の仲間に加わったであった。



う~ん、ちょっと後半が微妙かな~…

今回は、ちょっと悪い所が目立ってしまったかもしれません。

そこら辺はなんとか直していこうと善処します。

次回も是非ご覧になって下さい。それでは!

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